オプティミスティック ロールアップ(Optimistic Rollups)とは?イーサリアムのレイヤー2技術について仕組みまでわかりやすく解説!

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イーサリアムのスケーリング問題を解決すると言われる「レイヤー2(セカンド)」。そのレイヤー2の中に非常に注目されるモデル「オプティミスティック ロールアップ(Optimistic Rollups)」があります。

オプティミスティック ロールアップとは何か?そして、実用化が進むとどのようなことが待っているのかについて、初心者の方にもわかりやすく解説をしていきます。

 

オプティミスティック ロールアップ(Optimistic Rollups)とは

オプティミスティック ロールアップ(Optimistic Rollups)とは、イーサリアムのレイヤー2で使用される技術、またはそのモデルですレイヤー2プロジェクトである「オプティミズム(Optimism)」などで実装されています。オプティミズム ロールアップを実装しているプロジェクトはいくつかあります。

オプティミスティック ロールアップとは

オプティミスティック ロールアップを実装したレイヤー2プロジェクトは、イーサリアムと繋がることで、イーサリアムのデータ処理速度を改善することができます。

オプティミスティック ロールアップについての技術的な話は、後ほど初心者の方にもわかりやすく解説をします。初心者の方は、技術的なことを理解する前に、まずオプティミスティック ロールアップを実装するプロジェクトについての概要を理解するといいでしょう。

例えば、オプティミスティック ロールアップが実装されているプロジェクトの一つ「オプティミズム(Optimism)」は、2019年に発表され、2021年にメインネットがローンチされています。そのため、すでにいくつものアプリケーションでオプティミスティック ロールアップを体験することができます。

Optimism公式サイト(出典:https://www.optimism.io/)

そのオプティミズムを運営するスタートアップである「Optimism」は、仮想通貨業界で有名な投資家の一人、アンドリーセン・ホロヴィッツ(Andreessen Horowitz:通称a16z)氏からも出資を受けるなどしており、オプティミズム ロールアップがいかに業界で注目されているかがわかります。

また、有名なDEX(分散型取引所)の「Uniswap(ユニスワップ)」などとも連携されています。そのため、安い手数料と早い送金スピードがすでに実現しているのです。

Uniswapと連携されている様子。右上の「Optimism」表示(出典:https://app.uniswap.org/#/swap)

 

オプティミスティック ロールアップの現状

オプティミスティック ロールアップを実装する、レイヤー2プロジェクトの主なものとしては先述した「オプティミズム(Optimism)」のほか、「Boba Network」「Arbitrum」(Arbitrumは厳密には少し異なる実装です)などがあります。

Arbitrum(アービトラム)とは?イーサリアムレイヤー2で最も資金ロックされる要注目プロジェクト

ここでは、オプティミスティック ロールアップの現状として、オプティミズム(Optimism)を例にして紹介します。オプティミズムは、2022年1月現在ではすでにメインネットがローンチされています。これまで、25万以上のアドレスで利用されており、代表的な利用可能アプリケーションは以下のようなものがあります。

・Uniswap(DeFi)
・Lyra(DeFi)
・Coinbase Wallet(Wallet)
・Meta Mask(Wallet)

オプティミズムが採用されるアプリケーション一覧(出典:https://www.optimism.io/apps/all)

すでに合計で2億7千万ドル(約30億円)以上の手数料(ガス代)が、オプティミズムによって節約されたと、オプティミズムは発表しています。

今後も、オプティミズムと連携するイーサリアム関連アプリケーションが増えていくことで、より安価にそして早くアプリケーションを利用できるようになっていくことでしょう。

ただし、現状ではレイヤー2プロジェクトは乱立している状態であり、どの技術・どのプロジェクトが開発者やユーザーに好まれるのかわからない状態となっています。

さらに、レイヤー2を実現する技術はオプティミスティック ロールアップだけではないので、オプティミスティック ロールアップ自体も、今後使われていく技術かどうかはわからない状況となっているのが現状です。

 

オプティミスティック ロールアップ関連のトークン

オプティミスティック ロールアップは、レイヤー2の技術なのでそれ自体が仮想通貨(トークン)を発行している、というものではありません。オプティミスティック ロールアップに関連した仮想通貨と言えば、オプティミスティック ロールアップを実装するプロジェクトが発行する仮想通貨がそれに該当します。

現在、主要なオプティミスティック ロールアップ採用のレイヤー2プロジェクトで独自の仮想通貨(独自トークン)を発行しているのは以下のプロジェクトなどがあります。

※()内はティッカーシンボル(トークン名)

・Boba Network(BOBA)

・Metis Andromeda(Metis)

オプティミスティック ロールアップを実装するレイヤー2プロジェクトの中でも、非常に有名な

「オプティミズム(Optimism)」

「アービトラム(Arbitrum)」

は、2021年1月執筆時点では独自トークンを発行していません。

 

オプティミズム ロールアップの仕組み

ここからは、なるべく初心者の方にもわかりやすくオプティミスティック ロールアップの仕組みについて解説をしていきます。

 

ロールアップから派生

オプティミスティック ロールアップは、レイヤー2で使われる「ロールアップ(Rollups)」と呼ばれるコア技術から派生して開発されています。

そもそも、レイヤー2とは、「レイヤー1」であるブロックチェーン以外の部分でデータ処理をする際に使用されるチェーン、またはその技術のことを言います。レイヤー2は、ブロックチェーンで生じるスケーラビリティ問題を解決するために開発が進められています。

スケーラビリティ問題とは、簡単に言えば多くのデータをパブリックなブロックチェーンは処理しきれない(処理スピードが遅い)という問題です。

スケーラビリティ問題とは?仮想通貨の課題と解決する技術について初心者にもわかりやすく解説!

レイヤー2(レイヤーセカンド)とは

しかし、イーサリアムで使用されているブロックチェーンとレイヤー2を合わせて利用することで、膨大な量のデータ処理を行うことや、よりスピード感のあるデータ処理を行うことができるとされています。

そして、ロールアップはレイヤー2において、使用されている技術(コア技術)の中の一つで、そのコア技術を利用して開発されているのがオプティミスティック ロールアップなのです。

〜ロールアップについて詳しくはこちら〜

ロールアップ(Rollups)とは?イーサリアムを躍進させる技術の仕組みについて初心者にもわかりやすく解説!

 

オプティミスティック ロールアップの特徴

このようにレイヤー2は、レイヤー1であるブロックチェーンの外でデータ処理を行う技術です。そして、レイヤー2を支える技術の一つが、オプティミスティック ロールアップです。

そのためオプティミスティック ロールアップでは、他のレイヤー2と同様にイーサリアムのブロックチェーンではないところでデータの処理を行います。しかし、他のレイヤー2と異なる部分で特徴的なものは、雑に言ってしまえば「レイヤー1で証明を行うこと」「楽観的にデータを残すこと」の2点です。

 

レイヤー1で証明を行う

オプティミスティック ロールアップをはじめとする、ロールアップ技術を利用しているレイヤー2モデルではデータの証明(取引/トランザクションの証明)をレイヤー1が行う、という部分が特徴的です。

レイヤー1にも、いわばセキュリティ部分を担保してもらうことにより、セキュアかつ高速なデータ処理ができるように設計するのです。

そんなロールアップ技術を利用するオプティミスティック ロールアップでは、まずレイヤー2部分で計算(例えばスマートコントラクトの計算)を行い、その結果をレイヤー1へ残す、という作業が行われます。

このようにすることで、レイヤー1だけではなく、レイヤー2部分でも並行して処理を行うことになるため、データ処理のスピードが向上することになります。

optimistic-rollupsのイメージ(出典:https://ethereum.org/ja/developers/docs/scaling/layer-2-rollups/)

 

楽観的にデータを残す

そして、レイヤー2で処理したデータをレイヤー1へ残す際に、その計算やトランザクション(処理)を基本的に問題ないもの(有効であるもの)として残します。ここが「楽観的(=オプティミスティック/optimistic)」と名付けられているゆえんです。

基本的にブロックチェーンに残すデータは、間違っているものは弾かれるよう設計されています。ビットコインやイーサリアムなどのブロックチェーンでは、ブロックチェーンに入るデータは参加者による確認が行われることになっているため、オプティミスティック ロールアップの「有効として一旦書き込む」というのがいかに特徴的であるかがわかります。

もちろん、「有効として一旦書き込む」ということは、不正なデータを書き込んでしまうこともできることを表しています。そのような不正に書き込まれたデータに対し、オプティミスティック ロールアップではそれが間違っていることを申し立てることができます。

もし、間違っていることが証明された場合には、そのデータはもちろんのこと、その後に続くデータ(簡単に言えば不正が行われている可能性がありそうなデータ)が丸ごと弾かれます。

この不正に対する異議申し立ての仕組みは「Fraud Proof(フロード プルーフ)」と言われており、例えばオプティミスティック ロールアップを実装しているオプティミズムにおいても、非常に重要な役割を果たしています。

オプティミスティック ロールアップの仕組み

ちなみに、オプティミスティック ロールアップでは、イーサリアムに書き込みを行うなどをする参加者を「シーケンサー(sequencer)」などと呼び、シーケンサーになるには、いくらかネットワークにお金を預け入れなければなりません。不正を行うと、そのお金が没収されてしまうため、シーケンサーが不正を行うことを経済的なインセンティブにおいても防止しています。

また、不正を発見すると報酬がもらえるルールにもなっているので、その点においても不正は積極的に発見されるような仕組みになっています。

ただし、オプティミスティック ロールアップではFraud Proof、つまり異議申し立てのための時間が必要なため、オプティミスティック ロールアップを実装しているプロジェクトから資金を移動する際には1週間程度時間がかかってしまう、などのデメリットも存在します。

 

オプティミスティック ロールアップとZK ロールアップ

オプティミスティック ロールアップに対し、注目されるレイヤー2のモデルとして「ZK Rollups(ZK ロールアップ)」と呼ばれるものがあります。ZKロールアップも、オプティミスティック ロールアップと同様にRollupsのコア技術の中に属するもので、イーサリアムの手数料を下げ、処理速度を加速させます。

今後のイーサリアムレイヤー2について、学んでいきたい方は、ZK ロールアップについても調べてみるといいでしょう。

 

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