ブロックチェーンのトリレンマとは?仮想通貨が抱える課題と、それを克服する技術をわかりやすく解説!

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ブロックチェーンは世界的に注目される革新技術です。しかし、いくつか課題を抱えています。その一つに、ブロックチェーンの「トリレンマ」と呼ばれるものがあります。

ブロックチェーンのトリレンマとは何か、そしてトリレンマを解決する可能性がある技術について、初心者の方にもわかりやすく解説をしていきます。

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ブロックチェーンのトリレンマとは?

ブロックチェーンには、「トリレンマ」と呼ばれる課題があります。ブロックチェーンのトリレンマとは「スケーラビリティ(Scalability)」「分散性(Decentralization)」「セキュリティ(Security)」のどれか2つを取ると、残り1つを諦めなければならない、というもの。

この現象は、イーサリアムの考案者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が提唱したとされており、ブロックチェーンが誕生した2009年から10年以上経過した2021年12月現在でも、未だ完全な解決策が見つかっていない課題です。

※原文では、「スケーラビリティのトリレンマ」として紹介されています。

ヴィタリック氏が提唱したトリレンマのイメージ図(出典:https://vitalik.ca/general/2021/04/07/sharding.html)

トリレンマとは、そもそも3つの中から2つを取ると残り1つを諦めなければならない、3つ同時に取ることはできないという状況(苦悩)のことです。

似たような言葉の「ジレンマ」は2つの中から1つを選ぶと、もう1つを選んだ時の利益は得られない状況のことを指します。つまり、トリレンマはジレンマの三者択一版、ということです。

 

トリレンマの要素

トリレンマの要素は「スケーラビリティ」「分散性」「セキュリティ」です。これらは、実際に仮想通貨の実情を見てみると非常に鮮明にトリレンマとなっていることがわかります。

仮想通貨の中で最も長い歴史を誇るビットコインでさえも、トリレンマに陥っています。ここでは、トリレンマのそれぞれの要素についてわかりやすく解説していきます。

 

スケーラビリティ(Scalability)

スケーラビリティとは、日本語では「拡張性」という意味です。仮想通貨でのこの言葉は、簡単に述べると、膨大な処理に耐えられるかどうか、という意味で使われることが多いです。

つまり「スケーラビリティがある」という状態は、多くの人がその仮想通貨の送金を行ったり、その仮想通貨プラットホームでデータのやり取りを行ったりした際に、その仮想通貨がデータ処理を迅速に行い続けられる、という状態を指します。

 

分散性(Decentralization)

分散性とは、中央集権ではない、ということです。「中央集権」とは、ある一部の人や組織に権限が集中している状態のことを指します。

例えば中央集権の例としては、銀行がよく挙げられます。銀行はお金の移動に関して、非常に中央集権的です。というのも、「誰がいくら持っているか」「誰が誰にいくら送金したか」というのは、全て銀行が承認した場合に認められるからです。

承認権限は、銀行という「中央」だけが持っています。このような、権限が一部の人や組織に集中している中央集権とは反対に、分散性がある状態(中央集権ではない状態)というのは、多くの人に権限が分散されている状態です。

仮想通貨で言えば、多くの参加者がいて、その参加者が送金データについての承認権限を持っている場合など、一部の参加者にその権限が偏っていない状態が、分散性がある状態と言われます。

 

セキュリティ(Security)

セキュリティは、「安全性」という意味や「脆弱でない」という意味です。仮想通貨のネットワークが、悪意のある者によって崩壊させるのが難しい状態をセキュリティが高い状態と言うことができます。

仮想通貨では、セキュリティが弱かったために崩壊してしまった、という事例がいくつもあります。

仮想通貨のセキュリティは、プログラミングの強固さだけでは測れません。金融システムとしての需要と供給のバランスや、参加者の経済的インセンティブなど、複雑に絡み合った要素によって成り立っています。

そのため、新しく作成された仮想通貨プロジェクトは、その安全性を判断するのが特に難しいです。

 

ビットコインのトリレンマ

ここで、具体例としてビットコインのトリレンマについて紹介します。

ビットコインは長年「スケーラビリティ問題」と呼ばれる課題に悩まされています。つまり、「スケーラビリティ」「分散性」「セキュリティ」のうち、「分散性」「セキュリティ」はクリアしているが、「スケーラビリティ」はクリアできていない、ということです。

スケーラビリティ問題は、先にも述べましたが、簡単に言えば、膨大なデータ量を処理できないというもの。

スケーラビリティ問題とは

ビットコインでは、多くの人が送金した場合に、送金を処理するブロックチェーンの容量がいっぱいになってしまうため送金データを処理することができない状態になります。

処理されなかったデータは後回しにされるため、処理に時間がかかってしまいます。「決済手段」として利用されることも想定して作られているビットコインにとって、決済に時間がかかってしまうことは非常に問題となります。

 

なぜスケーラビリティ問題が起きる?

ビットコインに、このようなスケーラビリティ問題が起きてしまう理由の一つとしては、セキュリティと分散性を優先している、ということがあります。

ビットコインは簡単に言うと、データを入れる箱の容量をあえて制限することで、問題なく稼働するセキュリティ体制が敷かれているような設定になっています。つまり、セキュリティを優先しているのです。

さらに、多くの人が承認作業に関わるために、一定の承認時間を設けている、というルールもあります。つまり、分散性を優先させているのです。

※この二つの例は、簡略化してビットコインのルールについて説明しています。ビットコインのルールについて、詳しく知りたい方は以下のページなどから深く学んでいただければと思います。

ビットコインを初心者にもわかりやすく解説!<最新>今後・仕組み・投資方法・儲かる?・買い方…の入門

セキュリティと分散性を維持したままビットコインのスケーラビリティ問題を解決できないか、多くの人・団体が日々挑戦を行なっています。ただ、現状では明確な解決策は出ていません。

 

分散性を諦めている例

ビットコインはスケーラビリティを諦めている例ですが、分散性を諦めているプロジェクトも多くあります。

その中の一つは、「プライベートブロックチェーン」と呼ばれる特定の組織・団体によって運営される仮想通貨プロジェクトです。このプライベートブロックチェーンでは、一部の参加者に大きな権限を与えることで、より早くより多くの処理を行います。

ただし、権限を一部の参加者が持つことで分散性はなくなります。つまり、どちらにしてもトリレンマの状況には変わらないのです。

 

トリレンマを解決する技術

しかし、このトリレンマを解決するための技術開発に、一筋の光が見え始めています。

色々な場所でいくつもの種類の解決策が提案されていますが、現在注目されるのは「レイヤー2(セカンド)」と呼ばれる技術。レイヤー2(レイヤーセカンド)とは、「レイヤー1」であるブロックチェーン以外の部分でデータ処理をする際に使用されるチェーン、またはその技術のことを言います。

ビットコインやイーサリアムなどで使用されているブロックチェーンと合わせて利用することで、膨大な量のデータ処理を行うことや、よりスピード感のあるデータ処理を行うことができるとされています。

レイヤー2(レイヤーセカンド)とは

レイヤー2(レイヤーセカンド)と一口に言っても、現在では様々なパターンの技術があり、いくつものレイヤー2プロジェクトが進められています。特定のデータのみを処理するために開発されているものや、すべてのデータを丸ごとレイヤー2で処理することを目指すものなどがあります。

レイヤー2の技術自体が開発段階のため、言葉の定義はその時やそのプロジェクトなどによって異なることが多いです。

ただ、大元であるレイヤー1の補完的な役割を目指していること、そしてレイヤー1以外の部分でデータ処理を行うのを目指していること、などの技術やプロジェクトが一般的にはレイヤー2と呼ばれてます。

レイヤー2によってスケーラビリティ問題を解決しつつ、もとのブロックチェーンでセキュリティと分散性を実現しようとしているのです。

〜レイヤー2について詳しくはこちら〜

レイヤー2(セカンド)とは?仮想通貨の今後を占う最新技術を初心者にもわかりやすく解説!

 

トリレンマを解決した先は明るい

このように、ブロックチェーンが長年悩んでいる課題「トリレンマ」。しかし、逆に言えばこのトリレンマが解決された時、ブロックチェーンや仮想通貨は飛躍することとなります。

イーサリアムは、特にユーザーも多く、初期からトリレンマの解決を目指して開発が進められてきました。イーサリアム2.0と呼ばれる、イーサリアムの進化形ができあがった時はトリレンマを解決している予定です。

<最新>イーサリアム2.0とは?将来性・価格・いつ?・今後の予定などをわかりやすく紹介!

このように、トリレンマの解決に向けた開発状況をチェックしておくことは、仮想通貨を保有する人にとって、非常に重要です。ぜひ、チェックしていただければと思います。

 

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