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2018年1月26日から国内仮想通貨取引所のcoincheck(コインチェック)がNEM(XEM)という仮想通貨が取引所から5億2,300万XEM(NEMの単位。約580億円)が出金された事を受けサービスの利用停止・記者会見を行いました。事実関係はまだcoincheckが調査中ですが、大きな話題を呼んでいます。今回の件について初心者の方にも分かりやすく解説をしていきます。
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今回の事件について補償方針がcoincheckから発表されました⇒coincheck、NEM流出に対する補償を発表
日本円出金再開予定を発表しました⇒coincheck(コインチェック)が日本円出金再開予定を発表(2018.02.09.)
業務改善命令に関わる報告書提出⇒coincheck(コインチェック)業務改善命令に関わる報告書を提出・日本円出金再開・投機熱と危険性(2018.2.13.)
coincheckからNEM流出か
国内仮想通貨取引所coincheckが2018年1月26日、サービス停止と記者会見を行い多額の仮想通貨「NEM(XEM)」が取引所から取り出された事を発表しました。その金額は5億2,300万XEM(NEMの単位。約580億円)で、外部不正アクセスから出金が行われた可能性が持たれています。
今回の件を時系列で追うと
1月26日 02:57頃 :事象の発生 (正確な発生時刻を特定するため、現在調査を継続しております。 ※1/27 10:35頃追記)
1月26日 11:25頃 :当社にて異常を検知
1月26日 12:07頃 :NEMの入金一時停止について告知
1月26日 12:38頃 :NEMの売買一時停止について告知
1月26日 12:52頃 :NEMの出金一時停止について告知
1月26日 16:33頃 :JPYを含め、全ての取扱通貨の出金一時停止について告知
1月26日 17:23頃 :BTC以外(オルトコイン)の売買の一時停止について告知
1月26日 18:50頃 :クレジットカード、ペイジー、コンビニ入金一時停止について告知
NEMが出金された異常を検知した後、NEMの入出金だけではなく売買、そして他の仮想通貨(ビットコイン以外)の入出金・売買を停止する事態に至りました。
coincehckは国内でもビットコイン取引高・アプリユーザー数1位をうたっている取引所で多くのユーザーが存在しています。
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記者会見で事情を説明
26日23時30分ごろ、記者会見が行われcoincheckの代表取締役社長・和田晃一良氏と取締役・大塚雄介氏は事情を説明しました。その会見によれば
出金されたNEMは顧客資産か会社資産か
出金された580億円は会社資産ではなく預かっている顧客資産で、何人分の資産に該当するかは調査中としています。ただしcoincheckで管理しているNEMのほぼ全てですのでcoincheckにNEMを預けている場合は既に流出してしまっている可能性が大きいでしょう。
NEMの管理体制
coincheckでは顧客のNEMをコールドウォレットという安全なオフラインでの管理ではなくホットウォレットというハッキングの可能性があるオンライン上での管理を行っていたと言います。
理由としてはNEMのコールドウォレット導入はシステム的に難易度が非常に高かった事を挙げています。
コールドウォレットというのは仮想通貨の移動が可能な暗号(秘密鍵と言います)をネットに繋がれていない場所で管理するウォレット(仮想通貨の財布)の事を言います。例えば紙に暗号を書いて保管していればそれはコールドウォレットになります。(紙のウォレットをペーパーウォレットと言います)
仮想通貨は多額の場合、秘密鍵をハッキングの被害可能性のないオフラインで管理する事が基本ですがオフラインのウォレットだと送金する場合に一度ネット上に繋がなければいけないので手間は増えます。
coincheckの記者会見ではコールドウォレットに出来なかった理由は開発に着手していたものの人材不足と技術的な難しさを挙げています。
またマルチシグネチャという出金の際に複数の秘密鍵を用いなければ出金できないという機能を実装していなかった事も明らかになっています。これを実装していれば一つの秘密鍵が盗まれても出金を防ぐ事ができるのでいくつかの国内取引所では実装されています。
またNEM以外の通貨のいくつかにはマルチシグが実装されており、いくつかには実装されていません。どの通貨かは明らかになっていません。
出金原因は何か
出金の原因は外部の不正アクセスによる出金であるとしています。セキュリティのどの部分で不正アクセスが行われてしまったかは調査中としています。
coincheckで取り扱っている仮想通貨、NEM以外は問題が無いともしています。ただし入出金や売買の開始目途は日本円を含め立っていません。
NEMは返ってくるのか
記者会見では流出したNEMは基本的に取り戻す事ができないとも発言されました。NEMはcoincheckが管理する仮想通貨ではない為、出金されたNEMの利用制限などを独自の判断で行う事はできません。
悪意のある者によって盗まれていた場合、仮想通貨をハードフォークという形をとる事で流出したNEMをロックする事などが可能です。しかしNEMの振興を進めるNEM財団によってハードフォークの可能性はない事が記者会見では発表されました。
ハードフォークによるロックとは、簡単に言えば仮想通貨のブロックチェーンをわざと分岐させる事で不正送金された通貨を不正な通貨とする事でロックする方法です。
<ハードフォーク簡略図>
ハードフォークを行う為にはその仮想通貨システム参加者の同意が必要なので影響力のあるNEM財団などの協力が必要です。その協力はNEM財団では行わないとしています。
顧客資産は保証されるのか
記者会見ではcoincheckは顧客資産を第一に考えて方針を決定していくとしましたが結果的にどのような結末を迎えるかは分かりません。
全額日本円やNEMで返却されるのか、倒産などによりcoincehck内に資産を入れている人の資産が失われる可能性もあります。未上場会社であるcoincheckではどのような財務状況なのかなどは不透明な部分が多くどのような決定が下されるのかは分からない状況となっています。
仮想通貨の管理
coincheckの事態は多くの取引所で起こり得る問題です。国内でも海外でも取引所を利用する場合は万が一の事を考え、多額の資産はしっかりと自己責任でコールドウォレットに入れておきましょう。
その利用方法が分からなければ知識をつけてから多額の資産を持つと良いと思われます。
参考:初心者の仮想通貨「安全保管」はハードウェアか取引所か 仮想通貨を安全に保管する為に最低限行っておくべき5つの事
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