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前回記事⇒日本銀行とビットコイン ~日本銀行の役割②「銀行の銀行」~
前回記事では銀行の銀行としての役割を担う日本銀行とビットコインの比較から日本銀行がブロックチェーンを利用した場合の変化等を解説しました。ここでは日本銀行の主な役割の3つ目である「政府の銀行」という点から日本銀行とビットコインの違いを考えていこうと思います。
政府の銀行
日本銀行は役割の一つに「政府の銀行」があります。これは世界の中央銀行でも必ずしも一般的な役割ではなく、あくまで「日本の」中央銀行である日本銀行の役割の一つです。
日本銀行では政府の預金(国庫金)を管理する業務等を行っております。これは政府に対して意思決定を行う訳ではなく、あくまで管理等の事務処理を行うものです。これを行う事で政府の事務作業を減らしたり、日本銀行で残高等を一元的に参照できる事で政府の業務効率化が可能になります。
例えば国民が支払った税金は金融機関等を通じて国に届けられますがその税金は日本銀行へ集められて国の歳入をそこで照会できるようになります。現在では電子的(クレジットカード払い等)に支払いをできるようになっており、それは日本銀行の業務を効率化しています。
「政府の銀行」とビットコイン
政府の銀行としての役割を担っている日本銀行ですがこれは通貨発行主体である日本銀行の業務とは全く分離された業務です。
このような業務は政府もどこかに帳簿を持っていなければいけないという従来の金融システムから来ます。
もし日本円がビットコインに変わったとすればブロックチェーンに記載される「政府の」ビットコインアドレスがそのような役割を持つ事は可能です。
納税用のビットコインアドレス、政府発行有価証券用のビットコインアドレス、といったようにビットコインアドレスを使い分ける事で帳簿を管理する業務は不要になるのです。
しかし、ビットコインでは不安要素があります。それはビットコインの透明性です。仮に政府がビットコインアドレスを持ったとすればそのビットコインアドレスは莫大な資金が保有されている事が知られてしまうので攻撃の対象になりやすいでしょう。
ビットコインアドレスをいくつかの段階に分けて(金融機関別・地域別)税金を徴収する事でこの問題は解決できますが、政府のビットコインアドレスがブロックチェーン上に載ってしまいそれが世界に公開されるというのはセキュリティ上不安ではあります。
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記録保存としてのブロックチェーン
もし、日本銀行という信用母体を残したままにするのであれば政府の帳簿管理業務にブロックチェーンを取り入れる事も考えられます。
(画像元:https://www.imes.boj.or.jp/japanese/pf/chapter9.pdf)
しかし、ブロックチェーンを取り入れただけでは業務の効率化はそこまでありません。現在では既に電子システムが取り入れられており、「サーバーを介する記録保存」から「P2Pネットワークによる記録保存」というサーバーコストの節約が可能になるだけです。
ブロックチェーンを取り入れる場合はそのブロックチェーンに直接記録できる仮想通貨が必要で、その仮想通貨があるとすれば上図の「④一般代理店日銀当預 入金・引き出し」が不要になります。(「日銀当預」については日本銀行とビットコイン ~日本銀行の役割②「銀行の銀行」~を参照)
直接日銀が管理するアドレスへ(地域別等で分離をして)国民が振り込む事でその業務は数段階効率化される事が分かります。
日本銀行が仮想通貨を発行できるとすればこのような効率化が行える事が分かります。
まとめ
以上の事から「政府の銀行」という日本銀行の機能はビットコインや仮想通貨を利用する事で効率化される事が分かります。しかし、現状日本のキャッシュレスは決済全体の約19%と遅れており、韓国では約54%ものキャッシュレス化が進んでいる(参考:http://www.j-credit.or.jp/security/pdf/h26-cashless.pdf)事を考えると日本銀行の仮想通貨発行等は実現が遅れるかもしれません。
もちろんプライベート(管理主体のある)仮想通貨の開発が前提となりますが、ビットコイン並びに仮想通貨の可能性は日本銀行の在り方を変えると言えるでしょう。
Back⇒日本銀行とビットコイン ~日本銀行の役割②「銀行の銀行」~
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