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前回記事⇒日本銀行とビットコイン ~日本銀行の役割①「通貨発行」~
前回の記事では日本銀行の一つの役割である「通貨発行」とビットコインの比較を行いました。今回は日本銀行の役割である「銀行の銀行」について解説をしていきます。日本銀行の役割を知る事でビットコインや仮想通貨の理解を深めていただければと思います。
銀行の銀行とは
日本銀行は民間銀行等に対し預金を預かります。様々なサービスや政策を行う上で「日本銀行当座預金」という預金口座を民間銀行や金融機関に作成してもらう事は重要です。
日本銀行の口座「日本銀行当座預金(日銀当預)」は金融機関のみ作成する事ができます。個人が日銀当預を作成する事はできません。日本銀行が民間の金融機関の預金口座を管理し、その集めた預金を金融機関に貸し出しを行う事もします。
この形が民間銀行の「一般の方や企業から預金を集めて貸し出しを行う」という業態に似ているので日本銀行は「銀行の銀行」と呼ばれるのです。
日銀当預と決済システム
日銀当預は国内の決済システムにおいて重要な役割を担います。
例えば民間の銀行同士で振り込みを行う時に日銀当預は利用されます。
A銀行からB銀行へ100万円渡したい時に現金をいちいちB銀行へ届けるのは時間と労力がかかります。
この場合はA銀行の日銀当預からB銀行の日銀当預へ100万円を振り替える形で決済が行われます。
※振込:別の銀行や支店口座への資金移動 振替:同一銀行同一支店の資金移動
日本銀行が間に入る事によりA銀行からB銀行へ決済がスムーズに行われるのです。もちろんA銀行の日銀当預から100万円マイナス、B銀行の日銀当預に100万円プラスという帳簿の書き換えが行われます。
これも民間銀行が行う個人間の決済の役割に似ています。AさんがBさんに100万円振り込んだ場合もその銀行内で帳簿を書きかえるだけですので実際に現金の受け渡しはありません。
日本銀行が銀行の銀行になる事によって全国に張り巡らされた銀行決済システムがスムーズに行われる事になります。
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日本銀行のシステムとビットコイン
このような日銀の決済システムをビットコインと比較すると決済システムの相違点が分かります。
ビットコインでは決済が行われるとその取引がビットコインネットワークに送信されます。
ビットコインの帳簿であるブロックチェーンにAさんからBさんへ100BTC渡ったという情報が加えられ、決済は完了します。元々ブロックチェーンにAさんが100BTC(+手数料)以上の残高が無いと判断されればその決済は拒否されます。
ビットコインでは個人も企業も銀行も関係がありません。全ての決済ユーザーは対等な立場にあり、ビットコインアドレスという口座を元に残高が参照されます。
つまり日本銀行の決済システムがブロックチェーンにより実現されている部分は似ていますが縦割りのシステムではなく、全ユーザーが横並びになっているという点で異なります。
日本銀行がブロックチェーンを利用したら
このように日本銀行の「銀行の銀行」という役割のみを考えればここの部分はブロックチェーンに置き換える事ができます。
仮に日本銀行がビットコインのような仮想通貨を発行した場合は「銀行の銀行」となる必要が無くなり、個人も企業も金融機関も銀行も日本銀行の口座を持ち、振込を行えば日本銀行のブロックチェーンで帳簿の書き換えが行われるのです。
そうなれば銀行の業務である個人や企業からの「預金」は機能しなくなります。一国家に一つの銀行で良くなります。
銀行は預金業務が無くなればそれを元に行ってきた貸し出しや信用創造はできなくなるので解体します。
もちろん日本銀行がビットコインのような誰でもマイニングに参加できるパブリック(公な)ブロックチェーンを取り入れるのは問題がありますが、技術的には既に民間銀行が不要になっている事はこのような事から分かります。
あくまで「銀行の銀行」という役割においてのみですが、既に既存金融システムは危機に瀕しているのです。
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