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2018年3月8日に金融庁は複数の仮想通貨取引所に対し業務改善命令と業務停止命令を下しました。仮想通貨取引所の免許である仮想通貨交換事業者に登録されているテックビューロ株式会社(Zaif)・GMOコイン株式会社(GMOコイン)には業務改善命令が下され仮想通貨と取引所の在り方を再度考えていかなければならない事態に発展しています。
業務改善・停止命令
2018年3月8日に金融庁は複数の仮想通貨取引所に対し業務改善命令と業務停止命令を下しました。
業務改善命令を受けたのは仮想通貨交換事業者登録をしている業者は2社、登録はできていないものの事業を運営している「みなし業者」は3社です。業務改善よりも重い業務停止命令はその他のみなし業者2社に下されました。(仮想通貨交換事業者登録とは)
・業務停止命令を受けた仮想通貨交換事業者
テックビューロ(Zaif)・GMOコイン
・業務改善命令を受けたみなし業者
バイクリメンツ・ミスターエクスチェンジ・コインチェック
・業務停止命令を受けたみなし業者
FSHO・ビットステーション
業務改善命令では金融庁の指摘する問題を解決しつつ業務継続をしていく事が認められますが業務停止命令では業務継続は認められず業務は停止する事になります。
仮想通貨NEM流出事件を起こしてしまったcoincheck(コインチェック)は二度目の業務改善命令になります。コインチェックのサービスは停止しており、流出金額の補償も行われておらず、サービス再開は更に先延ばしになる可能性があります。一度目の業務改善命令についてはこちらcoincheck(コインチェック)業務改善命令に関わる報告書を提出をご参照ください。
行政処分を受けたZaifとGMOコインとコインチェック
今回、業界でも大きなシェアがあるZaifとGMOコインとコインチェックが行政処分を受けた事で仮想通貨と取引所に対する信頼が低下する可能性が大いにあります。
仮想通貨自体の問題と取引所の問題は別なので今一度別問題として認識する必要がありますが、どのような問題が仮想通貨取引所にあったのかを知る事で今後取引所を利用する際の参考にする事ができます。
現在仮想通貨を購入しようとすれば取引所を利用するのが一般的なので仮想通貨自体に問題が無くとも取引所を知っておくことは今後の糧になると思われます。
Zaif
<テックビューロ(Zaif)の業務改善命令>
資金決済に関する法律第63条の15第1項に基づく報告及び現時点までの立入検査により当社の業務運営状況を確認したところ、当社では、システム障害や、不正出金事案・不正取引事案など多くの問題が発生している。しかしながら、経営陣は、その根本原因分析が不十分であり、適切な再発防止策を講じておらず、顧客への情報開示についても不適切な状況となっていることから、本日、以下の内容の業務改善命令を発出した。
適正かつ確実な業務運営を確保するための以下の対応
(1)実効性あるシステムリスク管理態勢の構築
(2)適切に顧客対応するための態勢の構築
(3)上記(1)及び(2)に関する業務改善計画を、平成30年3月22日までに書面で提出
(4)上記(3)の業務改善計画の実施完了までの間、1ヶ月毎の進捗・実施状況を翌月10日までに書面で報告(引用:http://kinki.mof.go.jp/file/rizai/pagekinkihp025000040.html)
テックビューロ社の運営する仮想通貨取引所Zaifでは顧客の資産が何かしらの原因で不正出金される事案や仮想通貨の価格が0円で取引されてしまう等の事案が以前から発生しておりました。
その際、公式から発表はあったものの原因などがユーザーに明確には分からず困惑する事態が発生していました。このような事態を受けシステム管理態勢の強化・顧客説明の強化がテックビューロ社に課される事になっています。
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GMOコイン
<GMOコインの業務改善命令>
資金決済に関する法律第63条の15第1項に基づく報告及び立入検査により当社の業務運営状況を確認したところ、仮想通貨交換業の業容が急激に拡大する中、システム障害事案が頻発しており、根本原因分析は不十分であり、適切な再発防止策が講じられていないことが確認されたことから、本日、以下の内容の業務改善命令を発出した。
適正かつ確実な業務運営を確保するための以下の対応(1)業容の拡大等実態に応じた実効性あるシステムリスク管理態勢の構築(2)上記(1)に関する業務改善計画を、平成30年3月22日までに書面で提出(3) 上記(2)の業務改善計画の実施完了までの間、1ヶ月毎の進捗・実施状況を翌月10日までに書面で報告
GMOコインでは仮想通貨取引をする画面において勝手に約定してしまうなどのシステム障害が複数回発生していました。この障害に対しGMOコイン側は改善対応しているとの発表を行ってきましたが金融庁はこれを認めず不十分だったとしています。
システムリスクの管理態勢強化を行う業務改善命令が下されています。
コインチェック
<コインチェックの業務改善命令>
資金決済に関する法律第63条の15第1項に基づく報告、同法第63条の16に基づく業務改善報告、立入検査により当社の業務運営状況を確認したところ、取り扱う仮想通貨が内包する各種リスクを適切に評価しておらず、例えば、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与リスクなど各種リスクに応じた適切な内部管理態勢を整備していなかったことに加え、昨年秋以降、業容が急激に拡大する中、業容拡大に応じた各種内部管理態勢及び内部監査態勢の整備・強化を行っていないことが判明した。
これは、取締役会において顧客保護とリスク管理を経営上の最重要課題と位置付けておらず、経営陣の顧客保護の認識が不十分なまま、業容拡大を優先させたことによるものであり、また、監査役も機能を発揮していないなど経営管理態勢及び内部管理態勢等に重大な問題が認められたことから、本日、以下の内容の業務改善命令を発出した。(1) 適正かつ確実な業務運営を確保するための以下の対応
ⅰ.経営体制の抜本的な見直し
ⅱ.経営戦略を見直し、顧客保護を徹底
ⅲ.取締役会による各種態勢の整備
ⅳ.取り扱う仮想通貨について、各種リスクの洗出し
ⅴ.マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に係る対策
ⅵ.現在停止中の取引再開及び新規顧客のアカウント開設に先立ち、各種態勢の抜本的な見直し、実効性の確保
(2) 顧客との取引及び顧客に対する補償に関し、当局に対し適切な報告
(3) 上記(1)に関する業務改善計画を平成30年3月22日までに、書面で提出
(4) 業務改善計画の実施完了までの間、1ヶ月毎の進捗・実施状況を翌月10日までに、書面で報告
コインチェックではZaifやGMOコインよりも厳しい内容の業務改善命令が下されています。仮想通貨NEMで顧客資産を流出させてしまった問題もあり監視が強く行われています。
顧客保護やリスクの管理を怠っていながらも規模拡大を目指したとし、それらの改善に加え経営戦略・取り扱い仮想通貨のリスク洗い出し・さらにマネーロンダリングやテロ資金供与に関わる対策までも改善内容に含まれています。
これはコインチェックの扱う匿名で取引できる仮想通貨(DASH・Monero・Zcash)も指摘されていると考えられ、当局はこのような仮想通貨の取り扱いを慎重に行っていこうとする意図が感じられます。
今回の業務改善命令によりコインチェックのサービス再開は遅れてしまう事が予想されます。
仮想通貨はまだ発展段階
今回の件で一層仮想通貨に対する目は厳しくなったと考えられます。仮想通貨取引所のここまで大きな業務改善命令は今回が初めての事で合計して7社が対象になりましたが今後更に増えていく可能性があります。
実際どの仮想通貨取引所を見ても株式やFX業者と比べれば規制が少ない中で運営している事もあり不透明な部分は多くあります。現在運営されている仮想通貨取引所は今後規制の中で運営していかなければならず経営的にも厳しくなってくる取引所が出てくる可能性があります。
もちろんそのような事がある事で仮想通貨取引業界が健全に向かっていく事はありますが渦中にいる私たちは気を付けなければなりません。
現在仮想通貨は投資として多くの人が見ていますが本来仮想通貨は投資対象として誕生したわけではなく取引所を介さずとも利用する事ができます。自己責任の世界ですので知識をつけて保有・利用するのが本来の在り方です。
今後知識が無くても便利に利用できるサービスなどが誕生する可能性がありますが現在ではその段階には至っていませんので仮想通貨を購入したい・興味がある方はまず知識をつけましょう。
取引所に業務改善命令が下りてもビットコイン・仮想通貨のテクノロジーは止まらず今後も進化していきます。是非幅広い視野を持って仮想通貨を追っていけば必ず役立つものが待っていると考えます。
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