貨幣の実態から見る仮想通貨の基礎③ <基軸通貨ドル>

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貨幣の実態から仮想通貨を考察していきます。今回は基軸通貨という点でビットコインのような世界共通の仮想通貨が基軸通貨となり得るかどうかを考えます。

前回記事はこちら⇒貨幣の実態から見る仮想通貨の基礎② <最適通貨圏とは>

 

 

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基軸通貨ドル

基軸通貨は現在ではアメリカの発行するドルが担っているとされています。実際基軸通貨としての力がアメリカ・ドルにあるのかは別としても世界で最も信用がある貨幣はドルだと言われます。

 

ドルが基軸通貨として成立するまでは金(ゴールド)が世界の基軸通貨としての役割を担っていました。

金本位制が設定され、ドルと金を固定する事などで金の保有量を元に紙幣を発行する制度(ブレトンウッズ体制)が世界的に採用されておりましたが金本位制が崩壊する事になった1971年のニクソンショックなどによりその後世界は変動相場制に突入していきます。

金は世界の基軸通貨の地位をドルに明け渡す事になりました。ドルの弱体化は叫ばれていますが現在に至るまでドルは基軸通貨としての地位を守っているという見方をするのが大勢です。

 

ドルという紙幣はアメリカが統治する、関係の強い国では自国通貨の価格の指標として用いられます。日本でも円相場を考える際には1ドル=〇〇円、というようにドルを用いて考えるのが一般的な事からも分かります。

 

そのように考える理由はドルが世界の基軸通貨として価格が大きく変わらない(紙幣が紙クズになる事はない)と思われている為でもあります。しかし、ドルは実際変動相場制に突入してから大きく価格を変動させてきました。様々な理由があるものの、基軸通貨であるドルの価格が変動してきたのは事実です。

 

ニクソンショック当時の360円からドル価格は下落しており2017年12月現在では約120円付近で推移しています。もちろん近年では100円前後を推移している為に今後落ち着く可能性はありますが、ドルの価格形成の元はアメリカにある事は間違いありません。

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アメリカの経済力

紙幣の価値は経済力や軍事力といった国力に基づいて生じるものとの見方は過去からされています。つまり現在の基軸通貨はアメリカの国力によって形成されているという事です。アメリカの国力が安定していれば基軸通貨は安定する事になりますし不安定であれば基軸通貨も不安定な動きをする事になります。

 

基軸通貨が不安定になれば世界経済は不安定になります。特に対アメリカに貿易を行っている国では経済に大きな不安定がもたらされます。日本も例外ではありません。ドル価格が安くなる事は自国通貨高になるという事なので輸出産業には大きな痛手になる事になり貿易黒字も減少する可能性があります。

 

このように考えるとすれば多くの国がアメリカという一国に経済の命運が握られているとも言えます。もちろんアメリカやその他の国は為替が大きく一方向に変動しないよう金融政策を打ちますがその効果も1ドル=約70円まで下落してしまった過去を見ればその限界を感じます。

 

金(ゴールド)であればその価格は一国に握られている訳ではありませんが人の需要と供給に大きく左右される事・金融政策を金自体で行えない(採掘量が有限である)事から不安定になってしまう可能性があります。

 

仮想通貨と基軸通貨

このように考えた場合、仮想通貨が基軸通貨となるかどうかは為替の安定が求められる事が分かります。

ビットコインなどの中央管理者のいない仮想通貨はどちらかと言えば金に似ています。発行量が定められており、一国にその価格の動向を握られている訳ではないからです。

 

ただし、金融調整機能はもちろんありません。ドルなどの紙幣のようには発行量を増やしたり抑えたりして安定をさせる事ができません。

つまりビットコインは世界共通ですが基軸通貨としての機能は果たす事ができないと言えます。

 

ただし、これが発行主体のいる仮想通貨である場合はどうでしょうか。例えばリップル(XRP)という仮想通貨があります。リップルはリップル社が発行しており、発行上限は1000億XRPと定められていますがこの上限を減らす事・増やす事はリップル社の一存で可能です。

 

となれば一定の金融調整機能があり、且つ世界共通で利用できる通貨というのは存在する事が分かります。これは歴史にあったような民間の銀行が紙幣を発行しそれを人々がお金として扱っていた事を想起させます。

となれば信用の増幅が起こる可能性があります。民間によって発行された仮想通貨がお金となればその価格は発行主体の信用が元で価格が形成されていきます。価格が上昇(需要が上昇)するという見込みがあれば他の資産(法定通貨)を売って仮想通貨を購入します。

そして発行主体が利益を上げるのであればそれに伴い発行主体の株価も上昇する事になり(発行主体が株式会社であれば)仮想通貨で株式を購入する事になり結果信用だけが増大していきます。これはミシシッピー会社が行っていた紙幣発行を想起させます(ジョン・ローのミシシッピー会社計画についてはこちら南海バブルと仮想通貨の相違点 <仮想通貨はバブルか?>で解説しています。)。

 

歴史から分かるように結末はバブルの崩壊です。つまり民間が発行する仮想通貨が基軸通貨とはなり得ません。利益を追求してしまうからです。利益ではなく相場の安定をいつまでも継続できる団体による仮想通貨の発行が基軸通貨たり得ると考える事ができます。

 

一つの国が仮想通貨を発行してもそれは法定通貨と同様で一国が全ての国の経済を握る基軸通貨を生み出すだけです。だとすれば世界が共同して仮想通貨を発行する。これが仮想通貨が基軸通貨になる一つの解です。ただ、これは前回記事で述べたように世界が「最適通貨圏」でなければまた経済危機が生じます。

 

仮想通貨の未来

このように考えると仮想通貨は世界で協力して経済危機・格差をなくすためのきっかけとなるツールになるのかもしれません。今までの通貨という固定された概念を突破し、世界中でより自由な経済・より貧困のない社会を形成する為には国という概念を突破しなければならない事が貨幣の実態から仮想通貨を見る事で考察する事ができます。

 

Back⇒貨幣の実態から見る仮想通貨の基礎② <最適通貨圏とは>

 

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