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11月に行われるとされているビットコインのハードフォーク(分裂)であるSegwit2xに対してアメリカの大手仮想通貨取引所Coinbase社は取り扱う方針を表明しております。ビットコインが非中央集権で稼働する目的で開発されたのに対し、政治的な思考等で動く事業者にコミュニティは揺れています。
Coinbase社とは
Coinbase社は2012年に創立されたアメリカ、カルフォルニア州サンフランシスコを拠点にする仮想通貨取引所です。ビットコインを始めとするイーサリアムやライトコイン等の仮想通貨を取り扱います。
Coinbase社はアメリカのBitLicenseという仮想通貨事業を行う事業者登録を受けており(2017年10月現在登録を受けているのは3社のみ)、公式発表(https://www.coinbase.com/about)では1千万人以上のユーザーを抱えるとする大手の仮想通貨取引所の一つです。
Segwit2xとは
Segwit2xは8月のビットコイン分裂騒動を収束する一つのきっかけとなったニューヨーク合意によって提案されたビットコインの仕様変更です。
Segwit2xとは⇒Segwit2xとは<初心者向け>
8月の分裂騒動とは⇒8月1日前後のビットコイン分裂問題を知ろう!(初心者向け)
ニューヨーク合意とは⇒ニューヨーク合意(NYA)とは何だったのか
8月にSegwitという実装がなされたビットコインをその後、台帳であるブロックチェーンのサイズを拡張という方針が取られていました。しかしこのブロックサイズ拡張をビットコインの開発者であるコア開発者が反対を表明した事で、Segwit2xは元のビットコインとは別のコインとして作成しなくてはならなくなりました。その結果Segwit2xを進めたい団体と拒否する開発者やユーザーの間で対立が生じました。
そして現在ではSegwit2xのビットコインが元のビットコインから分裂する事で両者がそれぞれのコインを開発する事で対立構造が作られる見込みになっております。(Segwit2xの分裂騒動の流れについてはこちらビットコインの11月分裂騒動を知ろう!をご参照ください。)
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Coinbase社の対応
そんな中でSegwit2xを進める側にいる仮想通貨取引所のCoinbase社はSegwit2xに対する発表を10月25日に行いました。
Segwit2xについて以前からの発表で取引所で取り扱う方針を発表しておりましたが、今回Segwit2x(ブロックサイズ拡張)を行ったビットコインを「ビットコイン」と呼ぶかどうかについての表明が出されました。
Segwit2xのビットコインを「ビットコイン」と呼ぶという事は元のビットコインは「ビットコイン」ではなくSegwit2xこそが「本当のビットコインである」という意思表示になります。
Coinbase社ではどちらを「ビットコイン」と呼ぶかは
We are going to call the chain with the most accumulated difficulty Bitcoin.
(参照:https://blog.coinbase.com/clarification-on-the-upcoming-segwit2x-fork-d3c0f545c3e0)
「私達は最も難易度が蓄積されたチェーンを『ビットコイン』と呼ぶ」
と宣言しました。
これはどういう事か
「最も難易度が蓄積されている」とは簡単に言えば「マイニングのパワーが最も大きい」という事を示しています。ビットコインのマイニングでは利用されるパワーが大きければ大きいほどマイニング難易度が上昇します。(難易度は「difficulty」と言います。)
マイニング難易度はマイニングをする人数とは関係ありません。マイニングは演算によって行われます。その演算をより多く、より早く行う事でマイニングが終了します。
ビットコインではこのマイニング終了時間を10分毎に自動調整してくれる機能があるのでより大きな設備で多くの演算をする参加者がいれば、その難易度は上がり10分に調整されます。
例えばビットコインAで100人で100の演算をこなす参加者がいたとしてもビットコインBに2人で150の演算をこなす参加者がいた場合はビットコインBの方が難易度は上昇します。(difficultyについてはこちらビットコイン取引を10分にするdifficulty(難易度調整)とはなどで詳しく解説しております。)
この例で言う100か150に当たる部分が多い方を「ビットコイン」と呼ぶとCoinbase社は発表したのです。
つまりSegwit2xのビットコインが仮にマイナーの支持を得て、元のビットコインよりもマイニングパワーが強くなればそれが「正当な」ビットコインとする、という事です。
これは「ビットコイン」はマイナーの支持により左右されるという宣言でもあり、取引所がこのような発言をする事は「非中央集権システム」であるはずのビットコインはユーザーではなくマイナーの意向が最も重要である事を示しています。
もちろんユーザーはどちらのビットコインを利用するかを決定する事ができますので呼び名はどのようになったとしても自己判断ができますが、ビットコインの政治的な思惑がシステムを揺らす可能性がある事の良い参考例です。世界中でSegwit2xの分裂がどのようになっていくかは分かりませんが「非中央集権とは何か」を考えるいいきっかけになるでしょう。
ビットコインという名
ビットコインの非営利公式サイトではSegwit2xに対してどのような対応をするのか、ニューヨーク合意に賛同を表明した事業者に対して明確な立場を表明するよう促しております。(Bitcoin.orgが公式にSegwit2xに対する警告を発表)
またSegwit2xを「ビットコイン」と呼ぶ事はないとも表明しております。
賛同しているのは日本ではbitFlyerという取引所で、今後の立場表明に注目が集まります。
ニューヨーク合意と政治
またこちらニューヨーク合意(NYA)とは何だったのかでも触れておりますがニューヨーク合意ではDigital Currency Group(DCG)という企業が出資した企業の合意が多く得られており、DCGの意向に強く否定できない事業者の立場もうかがえます。
仮想通貨の王様であるビットコインが政治で揺れ、どのような方向へ進むのかは仮想通貨全体にとってとても重要な事です。もしビットコインがこれでユーザーの信認を失ってしまうのであれば他の非中央集権仮想通貨も同様の見方をされてしまう可能性があります。
私はそこまで簡単にオリジナルビットコインが否定されるような事は無いと思っておりますが今後の動向には注目すると面白いでしょう。
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