貨幣の実態から見る仮想通貨の基礎① <通貨の基本的機能>

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ビットコインや仮想通貨は世界共通通貨です。ビットコインが世界の基軸通貨となる、という夢のような話もありますがそれが実現可能かどうかを貨幣の実態を紐解く事で考察します。

 

 

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貨幣と通貨

貨幣とは「お金」そのものの事を言います。例えば現在、江戸時代のお金を指して「貨幣」と呼ぶ事があります。それに対し「通貨」はある圏内で流通していて物やサービスの交換に用いる事のできる貨幣を指します。

 

江戸時代の貨幣を「江戸時代の通貨」と呼ぶ事は正しいですが現代では通貨としての機能はない為「通貨」と呼ぶ事はありません。現代では日本では日本円が通貨、アメリカでは米ドルが通貨です。また預金なども預金通貨と呼ばれます。預金通貨も現代ではある圏内で物やサービスの交換に用いる事ができるからです。

このように通貨は紙幣などの「現金通貨」と銀行預金などの「預金通貨」に大きく分ける事ができるのです。

 

通貨の基本的機能

通貨の本来的機能は価値の尺度・交換手段・価値保蔵と言われます。

 

「価値尺度」とは物の価値を表す事です。例えば日本円ではリンゴ1個100円や家1軒5000万円などというように物の価値を表す尺度としての機能の事を言います。日本円は例のように「数字+円」でほとんどの物を表す事ができます。

 

「交換手段」は物を交換する時に利用できるかどうかです。この交換の事を「決済」とも呼びます。物と物を交換する物々交換時代では大きな物を持っていく事が大変であったり、需要と供給がマッチする事が必要でしたがお金を物と物の間に入れる事でそれらの問題が解決しました。日本円で商品を買う事ができる、これが交換手段としての機能です。

 

「価値保蔵」は一定期間保存できる、という機能です。生もの(例えば魚などの食べ物)をお金として扱おうと思えば腐ってしまいます。これでは一定期間保存をしておくことができません。日本円は1000円札を持っていれば明日も同様に1000円札として使用できます。このように一定期間保存できるものが通貨としての機能を持ちます。

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仮想通貨は通貨か? 

このような通貨の基本的機能を見てきましたが仮想通貨はどうでしょうか?基本的機能を仮想通貨に当てはめてみます。

 

価値尺度・・・仮想通貨も「数字+単位」で物や商品の価値を表す事ができます。ビットコインであれば〇〇BTCというようにその商品が現在どのくらいの価値なのか一目で分かります。

交換手段・・・仮想通貨は交換手段になり得ます。もちろんまだ普及しているとは言えませんが既に店舗の商品を購入する事ができます。ビックカメラで商品を購入する、ネットショップでビットコイン支払いを行う、というような事ができます。つまり交換手段になる事は充分考えられます。

価値の保蔵・・・仮想通貨は価値の保管は可能です。ブロックチェーンという台帳に記載されていれば現状それを破壊する事はできません。そしてそれを移動する時(所有権を渡す時)は「秘密鍵」という自身にしか分からない暗号が必要です。明日無くなる可能性が低い事、ブロックチェーンが急に破壊される可能性が低い事は仮想通貨が続けば続くほど証明され続けていきます。

 

このように仮想通貨も通貨として機能する事が貨幣論から見ても分かります。ただし、実際に仮想通貨が通貨になるのかには問題があります。

 

圏内とはどこか?

仮想通貨が通貨となる、という事はある特定の圏内で流通・決済の手段として用いられる事を意味します。

ではその圏内はどこなのでしょうか?日本・アメリカ・中国か、はたまた世界か。これが実は通貨として仮想通貨を見た時の最も難しい問題となります。

 

何故なら既に各国では通貨を持っているからです。しかもその通貨は国が発行するものです。もし国の立場であるならば自国の通貨発行権を放棄してまで仮想通貨を決済の手段として受け入れるでしょうか?受け入れるとすれば国の運営はどのようになっていくのでしょうか?ここに仮想通貨の通貨として機能していく問題があります。

 

日本ではビットコインの決済導入が進んでおりますが、全て利用したビットコインは日本円で換算され、購入時点よりも高い価格が付いていた場合には課税対象となります。(一定の条件はありますが)

このように決済を課税対象とされてしまう場合、納税の処理が煩雑になる事・日本円を増やすよりも損失が発生してしまう事で決済利用はあまりメリットがありません。となれば交換手段として日本で機能していくでしょうか?日本という圏内ではなかなか「通貨」となる事が難しいと言えます。

 

であれば世界はどうでしょうか。世界中でビットコインや仮想通貨を利用できる。そうすれば世界中が圏内の決済手段として通貨となり得ます。ですが世界でも日本と同様に国が通貨発行権を中々手放す事はありません。通貨発行権は国を運営していく上で重要な権限だからです。通貨発行権で国は経済調整や財政再建(できるかどうかは別として)を試みます。このように仮想通貨を通貨とする事はどの国にとっても一大事である事が分かります。

 

つまり仮想通貨をどこで使うか、という問題は仮想通貨を通貨とする場合にとても重要な問題になってくる事が分かります。

もし、仮想通貨が本当に通貨として正常に機能するとすればそれはもはや国が無くなった時であるかもしれない、という事も言えます。もちろん国が無くなる事は現実的に考えにくいですが、逆に仮想通貨の力はそこまであるとも言えるでしょう。

 

もちろんこれは仮想通貨を通貨として基本的機能に着目した場合です。仮想通貨は通貨だけではなくゴールドのような安全資産としての機能(特にビットコイン)があるのでこれだけで仮想通貨の存在意義は断定できません。ですが本来の仮想「通貨」の存在意義はなかなか難しいものがある、という事はご理解いただけるのではないかと思います。

 

Next⇒貨幣の実態から見る仮想通貨の基礎② <最適通貨圏とは>

 

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