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イーサリアムで、2021年7月ごろに「ロンドン」と呼ばれるアップデート(ハードフォーク)が予定されています。また、そのアップデートでEIP1559(イーサリアム改善提案1559)によるイーサリアムの手数料改定が行われることも予定されています。
イーサリアムの今後を変える、これらアップデートについて、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
イーサリアムのアップデート予定
イーサリアムは大きく分けて、4段階のアップデートが予定されています。
1段階目「フロンティア」2段階目「ホームステッド」3段階目「メトロポリス」4段階目「セレニティ」と呼ばれるアップデートです。
「フロンティア」・・・2015年7月に行われたこのアップデートで、イーサリアムは一般に公開されました。この時点では、バグなどがある可能性を鑑みて開発者向けのイーサリアムとなっています。
「ホームステッド」・・・2016年3月に行われた2段階目のアップデートです。安定稼働することが確認され、アップデートが無事行われました。
「メトロポリス」・・・メトロポリス1段階目の2017年と、メトロポリス2段階目の2019年に行われた、2つのアップデートの総称です。最終(4段階目)アップデートのセレニティに向けたアップデートで、いくつか仕様が変更されました。
「セレニティ」・・・2020年12月から始まった、まだ完了していないイーサリアムの最終(4段階目)アップデートです。この最終アップデートでは、イーサリアムがさらに使いやすくなります。当初予定していたスケジュールから後ろ倒しになっていますが、着実に完成に近づいていることは確かです。
これら大きなアップデートと、小さなアップデート、攻撃に備えるための修正などを繰り返しながらイーサリアムは今まで成長してきました。
上記4段階のアップデートが完了すると、イーサリアムは「イーサリアム2.0」と呼ばれるイーサリアムへ変わります。イーサリアム2.0は、イーサリアム上のアプリケーション(Dapps)がさらに使いやすくなるなど、機能が向上する予定です。
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ロンドンアップデート(ハードフォーク)とは
ロンドンアップデート(ロンドンハードフォーク)は2021年8月4日に行われる予定の、イーサリアムのアップグレードです。ハードフォークによって仕様のアップグレードが行われますが、イーサリアムが分裂することはなく、単なるアップグレードとなる予定で進められています。
イーサリアムは既に述べた、予定されている4段階の大型アップデートの他に(時には内包される形で)様々なアップデートが行われながら開発が進められています。2021年4月に、イーサリアムの大型アップデート「ベルリンアップデート(ベルリンハードフォーク)」が行われましたが、ロンドンアップデートはその次に行われる大型アップデートです。ベルリンやロンドンのハードフォークは、現在のイーサリアム(イーサリアム2.0ではない)の仕様変更が行われるアップグレードです。
ロンドンアップデートでは、いくつかの仕様変更が行われますが、最も注目されている仕様変更は「EIP1559」と呼ばれるイーサリアムの手数料体系の改定です。イーサリアム上でイーサを送受金する際や、Dappsを動かす際などにユーザーが支払っていた手数料決定のルールが変更される予定となっています。この仕様変更が行われると、イーサリアムの利便性が向上するため、イーサリアムの今後についてプラスの影響を与えるのではないかと言われています。
なお、ロンドンアップデートの後には上海アップデート(上海ハードフォーク)と呼ばれるアップデートも予定されており、イーサリアムの利便性を向上するためのアップグレードが次々と控えています。
EIP1559とは
ロンドンハードフォークで実装される予定の、注目されているEIP1559とは何か、わかりやすく解説していきます。
そもそも、EIPとは「Ethereum Improvement Proposals(イーサリアム改善提案)」の略で、イーサリアムをより良くするための提案です。提案は、EIPという形で誰でも行うことができます。EIPの後に続く番号は、その改善提案のナンバーで、一目でどの提案のことなのかがわかるようになっています。
EIP1559は、イーサリアム改善提案の一つで、イーサリアムの手数料ルールの改定に関する提案が行われています。イーサリアム創始者のヴィタリック・ブテリン氏が、他の開発者と提案しました。具体的にどのような提案なのかと言えば、今までのイーサリアムの手数料決定方法を「入札方式」から「基本料金システム」へ変更する、といった内容になっています。
イーサリアムではイーサリアム上でイーサを送受金する際や、Dappsを動かす際などにはユーザーが手数料を支払う必要があります。その手数料は現在、基本的にはユーザー側が設定するか、使っているサービス(例えば、送金に利用するウォレット)が自動的にその時に適した手数料を算出し、支払っています。
イーサリアムは、常に取引や動作を処理できる容量が決まっているため、世界中で多くの人が利用しようとすると、パンク状態になってしまいます。パンク状態になるとどうなるかというと、手数料が多く設定された取引や動作から優先して処理されるようになります。つまり、パンク状態になると、手数料を非常に高く設定しなければ処理されないため、多くの人が多額の手数料を支払って利用することになります。
このようなルールだといつ手数料が高くなり、いつ手数料が安くなるかがわからないため、ユーザーや開発者にとってはイーサリアムが扱いにくい一つの要因となっていました。
そこで考えられたのがEIP1559です。EIP1559では、従来のように手数料をユーザー側(支払う側)が設定するのではなく、まずプロトコル側(イーサリアムのシステム側)が「基本料金(BASEFEEと呼ばれます)」の設定をします。その基本料金に、チップのような形で手数料をプラスするかどうかをユーザーは決めます。つまり、今までのような完全入札型から、基本料+チップで支払う体系へ変更になるのです。
基本となるBASEFEEはイーサリアムの使用状況によって、少しずつ上下されます。そのため、今までのような急激な手数料高騰などは少なくなり、安定したイーサリアムの運用が可能となる予定です。
EIP1559によって、イーサリアムの利便性は向上すると言えるでしょう。
EIP1559でイーサの価格が上がる?
EIP1559は、利便性の向上だけではない意味を持っていると言われます。それは基本料金(BASEFEE)がイーサで支払われた後、そのイーサは焼却(バーン:消滅すること)されるからです。今までのイーサリアム手数料では、ユーザーが支払った手数料は、全て取引を確認しているマイナーと呼ばれる参加者の報酬となっていました。
しかし、EIP1559では手数料のうちの基本料金部分が消滅することになるため、今までになかったイーサの減少、つまり希少価値が高まる、という事態が発生します。これによりイーサの価格が上昇する可能性がある、という見方があります。
実際には消滅するイーサがそこまで多くない可能性もあることから、どこまで希少価値が高まるかわからないですが、今までとは異なるルールに投資家からは期待の声が上がっています。
なお、マイナーへの手数料報酬はチップの部分のみとなるため、手数料報酬の全てがなくなるわけではないのですが手数料報酬が少なくなる、ということで一部マイナーは反発の意を示しています。ただ、マイナーの中にはイーサリアムの価値が高まる(利便性が向上する)ことで結果的にマイナーにとってプラスになるという意見もあります。
実装は既に決まっているので、このEIP1559がイーサリアムにどのような結果をもたらすのか、注視していくといいでしょう。
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