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DeFi(デファイ:分散型金融)では、仮想通貨を保有するだけではなく、仮想通貨を運用することで仮想通貨を増やす・稼ぐことができる市場が形成されています。そのDeFiの稼ぎ方の一つに「流動性マイニング」と呼ばれる手法があります。
流動性マイニングとは何か?そしてリスクやデメリットを、初心者にもわかりやすく解説していきます。
目次
流動性マイニングとは
流動性マイニングとは、DEX(Decentralized Exchange:分散型取引所)と呼ばれる管理者のいない仮想通貨取引市場で、流動性を提供することで仮想通貨を報酬として受け取る行為・手法のことです。
取引市場は買い手と売り手が多数存在することで活性化し、適正価格での取引が成立します。そのため流動性が高いことは取引所にとって、非常に重要なポイントとなります。そこで、DEXでは流動性を提供してくれる人に、報酬を与えるというインセンティブ設計を行うことで流動性を高める仕組みが採用されています。流動性を高めるため、仮想通貨を提供してくれる人へ報酬を与えるシステム、そしてそれを行うことで仮想通貨を増やす手法が「流動性マイニング」と呼ばれています。
そもそもDEXとは?
そもそも、管理者がいないDEX(分散型取引所)とは何か?について解説します。分散型取引所とは、特定の管理者なしで運営される仮想通貨取引所です。
分散型取引所は従来の企業などが管理・運営している取引所とは異なり、全て自動的に取引が行われます。あらかじめ定められたプログラムに則って、仮想通貨Aと仮想通貨Bの交換がCさんとDさんの間で行われます。
DEXの特徴として、管理者がいないこと、365日24時間稼働し続けること、などが挙げられます。また、企業などが営利目的で運営している取引所とは異なり(多くのDEXが非営利団体によって運営されています)、ユーザーの取引履歴や個人情報を企業が管理しない点も特徴的です。個人情報を提供せずに利用できるため、流出被害などは起こりません。
ただし、DEXでも従来の企業が運営する仮想通貨取引所でもハッキングなどのリスクがゼロになるわけではないので、利用の際はリスクやデメリットを認識している必要があります。
流動性マイニングは主にAMMで行われる
DEXは今まで、流動性を高めることができずなかなか多くの人に利用される市場にはなりませんでした。しかし、近年にかけて「AMM(Automated Market Maker:自動マーケットメイカー)」と呼ばれる仕組みが開発され、流動性を高め、多くの市場参加者を呼び込むことに成功しました。
AMMは、あらかじめDEX内に仮想通貨ペアをプールしておき、そのプールされた仮想通貨の中から自動的に交換が行われるという仕組みにすることで、流動性の高い取引市場を実現します。
例えばイーサリアムとUSDC(ドルのステーブルコイン:価格がドルとほぼ一致する仮想通貨)がプールされていれば、誰かがそのプールされたペアからイーサリアムとUSDCを交換することができます。プールされた仮想通貨が多ければ多いほど、多くの人が正常価格で取引を行うことができ、そのDEXが活性化します。
AMMでは、仮想通貨のペアをプールしてくれる流動性提供者に、報酬として手数料の一部や、DEXが発行するトークンを渡すことで流動性提供者を呼び込む仕掛けが取り入れられています。このようにすることで、多くの人が流動性を提供し、交換したいユーザーも流動性の高い取引市場で取引を行うことができるようになります。
このように、流動性を提供して、手数料の一部に加えDEXのトークンをもらうことが「流動性マイニング」と呼ばれ、DeFiの稼ぎ方の一つになりました。(DEXのトークンをもらうことのみを指して「流動性マイニング」と呼ぶこともあります。)
〜AMMについてもっと詳しくはこちら〜
AMM(Automated Market Maker)とは?DeFiでの稼ぎ方、DEXのルールを初心者にもわかりやすく解説!
流動性マイニングのやり方
流動性マイニングでは、仮想通貨のペアをDEXへ預け入れます。そのため、まずはそのDEXが募集している仮想通貨のペアを保有している必要があります。ペアの数量はその時によって異なりますので、もし流動性マイニングを行いたい場合にはあらかじめどの程度の数量が必要か調べておくといいでしょう。
例えば、イーサリアム上のDEXの一つ「Uniswap(ユニスワップ)」で執筆時点のペア数量を確認します。
DAI(ドルのステーブルコイン)が1に対し、イーサリアム(ETH)が約0.0005ETH必要になります。これら両方の数量+手数料(いくらかのETH)を保有していれば、プールへ流動性を提供することができ、流動性マイニングを行うことができます。
仮想通貨のペアは、イーサリアム上のDEXであればイーサリアム上で発行されている仮想通貨のペアが基本となります。ビットコイン+イーサリアム、などは現在のDEXでは流動性供給することができません。(ビットコインのステーブルコインなどのペアであれば可能です)
流動性を提供すると「LPトークン」と呼ばれる、流動性提供者の証となるトークンを受け取ります。LPトークンも交換したりすることができますが、LPトークン保有者へ報酬が送られる仕組みになっているため、LPトークンはむやみに人に渡したりしてはいけません。流動性を提供し、LPトークンを所有した後は、特にすることはありません。
流動性マイニングで得られる報酬
流動性マイニングでは以下の報酬を受け取ることができます。
・取引手数料の一部
・DEXのトークン
これらは仮想通貨で受け取ることができるため、仮想通貨取引所を利用して法定通貨(日本円やドル)へ換金することができます。
手数料の一部
流動性マイニングを行うと、手数料の一部を報酬として受け取ることができることがあります。先に例として挙げたユニスワップでは、ユニスワップを利用して仮想通貨を交換した人から0.3%の手数料(ETH/USDCの通貨ペアなどの場合)を徴収しています。その手数料は流動性提供者へ、提供している仮想通貨の数量によって分配されます。
そのため、ユニスワップが多くの人に利用されればされるほど、流動性提供者の受け取ることができる報酬は増えていくことになります。
DEXのトークン
流動性を提供すると、上記で述べた手数料の報酬とは別にDEXで発行されるトークンを受け取ることができる場合が多くあります。ユニスワップでは「UNI」というトークンを受け取ることができます。このトークンは「ガバナンストークン」と呼ばれており、トークンを保有しているとユニスワップの仕様変更などの際に投票ができる機能を持っています。
UNI自体も市場で取引されているため、手数料報酬にプラスしてトークンも法定通貨へ換金できる利息として考えることができます。
流動性マイニングのデメリット・リスク
流動性マイニングは、以下のデメリットやリスクを認識するようにしましょう。
・プロトコルのバグで仮想通貨が流出してしまう可能性がある
・IL(Impermanent Loss)により損失が出る可能性がある
どのような投資にもリスクやデメリットはつきものなので、それらを認識した上で利用するようにしましょう。
プロトコルのバグで流出してしまう可能性がある
流動性マイニングをしている場合、そのDEX内に仮想通貨がロックされている状態になります。その際、DEXにバグや脆弱性が見つかることで流動性提供していた仮想通貨が流出してしまう、などの危険性があります。
どのようなサービスもそうですが、預けている先のサービスは完璧ではない可能性があるため、そのリスクに関しては認識した上で適切な数量を預け入れるといいでしょう。
IL(Impermanent Loss)により損失が出る可能性がある
流動性マイニングでは、IL(Impermanent Loss:一時的変動損失)と呼ばれる特有のリスクがあります。ILとは、流動性マイニングをした仮想通貨ペアのどちらか一方が価格変動した際に被る損失です。
ある仮想通貨ペアを提供している場合、提供をやめて引き出す際にはその数量で戻ってくるわけではなく、プール内の仮想通貨ペアの数量に応じた数量が調整されて戻ってきます。
例えば、1ETH=2000USDCのレートの時に、1ETHと2000USDCを提供したとします。その提供により、プール内の数量が5ETHと10000USDCになった場合、プール合計数量の20%分の数量を提供したことになります。このケースでは、引き出す際にもプールの20%分を引き出すことができるようになります。(引き出すことができる権利であるLPトークンを受け取ります)
その後1ETH=4000USDCまで1ETHの価格が上昇した場合、プール内の数量は、裁定取引により調整されることになります。結果、2.5ETHと10000USDCがプール内に残ったとします。(1ETH=4000USDCのため)
その後、プールの20%分を引き出す場合、1ETHと2000USDCを受け取ることはできず、残っている2.5ETHと10000USDCのプールの中から、20%分の0.5ETHと2000USDCが返却されることになります。
流動性提供をしていなければ4000USDC(1ETH)+2000USDC=6000USDCの価値になっていたはずだったものが、戻ってきたものは2000USDC(0.5ETH)+2000USDC=4000USDCの価値になっているのです。そのため、ILの損失が2000ドル分発生してしまう、ということになります。
この例は非常に極端なもので、実際のDEXの計算式ではここまで大きな損失は発生しませんが、価格変動の際には必ずILが発生します。ユニスワップでは、価格が2倍になった場合には約5%のILが発生する計算式が採用されています。ただ、ここに手数料報酬やトークン報酬がプラスされるため、損失はここまで大きくはならないこともあります。
細かく計算すると「どうなったらどうなる」という想定はつきますが、初心者の方はまずはこのようなリスクが存在することを認識してから、利用するといいでしょう。
流動性マイニングができるDEX
流動性マイニングは以下のDEXで行うことができます。(主なものを記載)
<イーサリアムDEX>
・Uniswap(ユニスワップ)
・Sushiswap(スシスワップ)
<バイナンススマートチェーンDEX>
・PancakeSwap(パンケーキスワップ)
<SolanaDEX>
・Raydium(レイディウム)
DeFiが最も盛り上がっているのはイーサリアムですが、近年ではバイナンススマートチェーンやSolanaなどのブロックチェーン上でも非常に盛り上がっています。ブームは一旦収束したようですが、それでもDeFiが無くなるというわけではないため、興味がある方は注目していくといいでしょう。
なお、ビットコインはスマートコントラクトと呼ばれるプログラムに対応していないので、ビットコイン上にはDEXなどはありません。DEXやDeFiが気になる方はイーサリアムや、スマートコントラクト対応のブロックチェーンについて勉強するといいでしょう。
〜スマートコントラクトについて詳しくはこちら〜
イーサリアムのスマートコントラクトをわかりやすく解説!実例も紹介
流動性マイニングの今後
流動性マイニングが登場したことにより、DEXが非常に利便性の高いものになり、そしてDeFiのブームが発生しました。流動性マイニングは、管理者がいないプラットホームで参加者が利息を受け取ることができ、参加するインセンティブを生み出します。
DeFiのブームは一旦2021年前半で落ち着きましたが、DeFi自体に何か問題があったわけではないため、今後も流動性マイニングなどを利用してDeFiで利息を得ることは引き続き可能です。(先述したリスクもそのまま存在しています)
今後もAMMや、さらにその発展した形態が出てくることは十分考えられるため、今後のためにも引き続きAMMやDEXに注目していくと良いでしょう。ただし、市場が大きくなるにつれて機関投資家も参入してくるため、個人投資家の立ち回り方は難しくなることが予想されます。規制との兼ね合いもあるため、流動性マイニングに全てを賭ける、ということではなく、選択肢の一つや勉強のために利用してみるのがいいでしょう。
流動性マイニング以外での仮想通貨の稼ぎ方
流動性マイニング以外にも仮想通貨を稼ぐ方法はあります。もちろん、リスクが必ず存在しますので、むやみやたらに資金を投じることはしない方が無難です。
流動性マイニング以外では、以下のような方法で仮想通貨を増やすことができます。
<DeFi>
・レンディング
<ネットワークへの参加>
・ステーキング
<利息>
・貸暗号資産(レンディング)
DeFiでは、流動性マイニングの他に「レンディング」と呼ばれる手法で仮想通貨を増やすことができます。「Compound(コンパウンド)」「Aave(アーベ)」などはイーサリアム上でレンディングが行うことができ、管理者不在のプラットホームです。
ステーキングは、仮想通貨ネットワークへ仮想通貨を預け入れることにより報酬を受け取る方法です。金融市場へ参加するわけではないため、ステーキングはDeFiと区別されるのが一般的です。
後は、仮想通貨取引所や事業者による仮想通貨の貸出しサービスを利用して、利息を受け取る方法があります。これは管理者が企業となっており、従来の形態で賃借料を受け取る仕組みです。
どれもメリットやデメリットがあります。初心者が最も手を出しやすいのはおそらく貸暗号資産だと思います。例としてGMOコインでの貸暗号資産のやり方を解説したページを参照しておきます。
GMOコインの貸暗号資産(貸仮想通貨)はおすすめ?やり方・利回り・デメリット・評判について解説!
まだまだ未成熟な市場のため、リスクやデメリットに馴染みのないものもありますが、仮想通貨業界は成長しています。興味がある方はDeFiや流動性マイニングの情報に注目していただければと思います。
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