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FRB（米連邦準備制度理事会）のジェローム・パウエル議長が7日、上院銀行委員会で証言しました。利上げペースの加速の可能性を示唆し、株式市場・仮想通貨市場・ゴールドなどは大幅に下落しています。
今回の発言について、そして今後の市場について考察していきます。
パウエル、利上げ示唆
パウエル議長は、7日の上院銀行委員会での発言で力強い経済と高インフレの可能性から、政策金利を上昇させるスピードを再度加速する可能性があるとの認識を示しました。
最終的な金利は、以前の予想よりも高くなる可能性があることや、データによっては急ピッチの利上げの可能性があることも述べています。3月の政策決定に関しては今週末の雇用統計や、その次に発表されるCPIなどのインフレデータを重要視するとしています。
これを受けてアメリカ株式市場・コモディティ市場・仮想通貨市場は大幅に下落しています。金利は上昇し、アメリカ国債の2年物は5%の大台を突破しました。
ドル円はアメリカの金利上昇を受けて137円台にまで円安ドル高が進んでいます。
また、パウエル議長は仮想通貨（暗号資産）にも言及しました。最近、アメリカでは規制強化の機運が高まっており、SEC（アメリカ証券取引委員会）などにより様々な仮想通貨関連企業へ捜査が行われています。
パウエル議長は仮想通貨に関し「細心の注意を払う」必要があると述べています。技術的なイノベーションを阻むつもりはないとしながらも「かなりの混乱、詐欺、透明性の欠如、リスクがある」とも述べています。
金利上昇と規制強化の機運は、ビットコインをはじめとした仮想通貨に更なる試練を与えようとしています。
ビットコイン上昇の始まり？
少しビットコインに関しては厳しい環境になってきたように思えますが、筆者はそこまで悲観していません。もちろん、短期的に見れば価格の下落はおおいにあり得ると思われるため、今後も注意が必要ではありますが、長期的にはアメリカは非常に困難な道に立たされており、今後ドルからビットコインやゴールドに資金が流れていくのは不可避なように思えます。
というのも、金利上昇でドルは上昇していますし、ビットコインやゴールドは下落していますが、金利上昇が与えるもう一つの効果は忘れてはいけません。
それは、経済へのダメージです。
金利上昇により金融資産はダメージをすぐに受けますが、遅れて経済もダメージを受けます。そもそも、インフレがおさまるように金利を上げるということは、経済がダメージを受けるまで金利を上昇させる、ということなので、パウエル議長が言っていることが本当に実現するのであれば、最終的に経済はかなりボロボロになっているはずです。
すでに5%近い金利をさらにスピードアップして、さらに上限を高くして上昇させた先には、景気後退が待っています。現在経済が強い、と言っても経済成長をぐんぐんしているような時代と比べれば、失業率が低いといった程度です。アメリカの貯蓄率は下がっていますし、財政は赤字を出し続けています。
それをインフレ退治のために急激に引き締めた場合、後から景気の急速な冷え込みがやってくる可能性がどんどん高まるだけでしょう。それは歴史が証明しています。もちろん、歴史通りになるとは限りませんが、可能性としてはそれが一番高いように思えます。
景気後退後の金融引き締めが難しい
そして、景気が急速に冷え込んだ時、それでも金融引き締め継続ができるか否か、そこにインフレ撃退できるか否かはかかっています。景気が後退し、インフレが下がりかかっている中でも金融引き締めをしなければ、インフレの息の根は止めることはできません。それは1970年代後半のインフレ退治の歴史を見れば明らかです。
しかし、それは非常に困難です。インフレは下がりそう、景気は後退している、という金利下落誰もが望む中で、誰もが嫌がる金利上昇を行わなければならないのです。その時に金融引き締めができるのか、ここにインフレ撃退できるか否かはかかっています。
ただ、そうなる前の段階では景気後退が起きています。景気後退が起きればインフレをFRBが操ることができないことが証明され、金利下落期待が生じ、ドルから資金が逃げていくでしょう。
その時、どこに資金が向かうかと言えばビットコインやゴールドだと筆者は考えます。
つまり、ビットコインやゴールドへ人々が資金を逃す前段階に現在差し掛かったと言えるのです。5%以上に急激に利上げを行うというのは、その未来に向けた加速行為だと考えています。
最終的にインフレはどのような形であれおさめなければ大変なことになってしまうので、いつか収束すると考えています。ただ、その前にドルから資金が逃げていく、つまりビットコインやゴールドへの資金集中は逃れられないのではないかと考えています。
※当記事は市場を分析した結果を示しています。投資を勧めるものではありません。
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