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ロシアのSWIFT排除
ロシアのウクライナ侵攻から一連の流れを受け、欧米によりSWIFT(国際銀行間通信協会)からロシアの一部銀行が排除されました。「SWIFT」は、国際的に利用されている銀行間のメッセージをやり取りする通信網。一部銀行が排除されることにより、ロシアの国際決済の利用が一部制限されることになります。
SWIFTは一日に約600兆円もの取引が行われる、国際貿易・国際決済の要で、そのネットワークから排除されることにより、経済に大きなダメージが与えらることとなります。
ロシアの通貨「ルーブル」にとって大きな打撃を受けるほか、制限をする国側やその他の国も打撃を受けることとなります。欧米に続き、日本もSWIFT排除の対応を決定しているため、日本経済も多少の打撃は受けることとなると考えられています。
過去にはイランがアメリカとの戦争により、SWIFT排除を強いられ経済的な打撃を受けています。ロシアのSWIFT排除により、資源の豊富なロシアとの経済が滞る国は原油高などの影響を受ける可能性もあります。金融市場の影響も少なからずあるでしょう。
暗号資産とSWIFT
そんな中、暗号資産(仮想通貨)は国際的な決済網としても考えられている側面があります。暗号資産、例えばビットコインはどこかの国が発行しているわけではなく、誰でもインターネット環境さえあればどこからどこへでも送金することができます。
今回、ロシアをSWIFTから排除することが決まったことで、暗号資産とSWIFTの関係も注目されていますが、現状では「SWIFTが使えないなら暗号資産を使えばいい」ということは現実的ではありません。
というのも、ビットコインは世界的に利用されているとは言え、まだまだ貿易で利用できるほどの浸透はしておらず、決済時間の短縮が可能になる「ライトニングネットワーク」の普及も多くはありません。
そのため、すでに作られている国際決済網と比較すれば、そのネットワークは微々たるもので、実用性には乏しいと言わざるを得ないでしょう。
さらに、ビットコインやイーサリアムなどの発行体がいない暗号資産は、今回のような有事の際に「特定の国を排除する」ということができません。今回、侵攻を行ったロシアに対し、欧米諸国は常に国際的に経済制裁の姿勢をとってきました。
最終的に、大きな制裁となる「SWIFTの排除」という方針を固めましたが、これがもしビットコインが普及している世界であれば「ビットコインネットワークから排除」ということはできません。
つまり、大きな経済制裁の切り札を各国は失うことになります。もちろん、その他の経済制裁もありますが、軍事行為に対する武器を一つ世界は失うことになるでしょう。
このことから、ビットコインやイーサリアムのイデオロギーである「対検閲性(誰にも止めることや制御することができない性質)」が、国際的にどのようなルールのもと運用されていくべきなのかは、今後議論が加速していくでしょう。
国際決済網を作る暗号資産
ちなみに、暗号資産の一つである「リップル(通貨名:XRP)」は、SWIFTのような国際決済網を作るプロジェクトです。世界中の銀行と提携し、ブロックチェーン技術を応用したものを利用しながらSWIFTのような国際決済網を構築しています。
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リップルは、特定の誰かが止めることのできないビットコインに対し、今回のような制御が可能なネットワークを構築しています。暗号資産の中では、少し特徴的な立ち位置にいるリップルですが、今回の件でその特徴がどのように生かされるのか気付かされた方も少なからずいるかもしれません。
制御可能な決済ネットワークと、制御不可能な決済ネットワーク、どちらもメリットデメリットがあります。暗号資産がもっと人々に広く利用されるには、それらのバランスの中で規制やルールを乗り越え、使いやすい形になっていく必要があるでしょう。
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