バイナンスのSBT「BABトークン」とは、から考えるSBTの今後

本ページはプロモーションが含まれています

 

大手仮想通貨取引所のバイナンスが2022年9月に初のSBT(ソウルバウンドトークン)を発行しました。バイナンスのSBT「BABトークン」とはどのようなものか、そしてSBTが今後どのような動きをしていくかの考察について、述べていきます。

GMOコイン

 

バイナンスのSBT「BABトークン」

バイナンスが発行するSBT(ソウルバウンドトークン)は、BAB(Binance Account Bound)トークンと呼ばれ、1アカウントにつき1つ発行することができます。

そもそもSBTとは、”譲渡することができない”NFTのこと。2022年にイーサリアム創始者のヴィタリック・ブテリン氏らがSBTに関する論文を発表したことでその名が広まりました。

SBTについての基本的な解説は以下でも行っておりますので、参考にしていただければと思います。

SBT(Soulbound/ソウルバウンドトークン)とは?Web3.0を形作る”魂”のNFTを分かりやすく解説

バイナンスが発行するBABトークンも、通常のSBT同様、譲渡することができません。つまり売買して値上がりや値下がりを狙うことはできず、「保有し続ける」か「バーンする(削除する)」ことしかできないのです。

ちなみに、BABトークンをミント(鋳造)するためには1BUSD必要になります。BUSDは1ドルに価格固定されたコイン。要するに、BABトークンを作成するためには1ドルかかる、というわけです。

作成にあたってはバイナンスのアカウントの他、暗号資産のウォレットが必要になります。アカウントとウォレットを連携して、ミントすることでBABトークンがもらえる、とアナウンスされています。

 

BABトークンは何のためにあるの?

BABトークンはSBTなので、売買することができません。そうなるとNFTのように売上が上がるわけでもありませんし、暗号資産のように値上がり益を狙うこともできません。

それでも、もちろんSBTが作られるのには理由があります。バイナンス公式によれば、BABトークンは以下の用途があるとしています。

ユーザーは、BNB Chain上のBABトークンをID資格情報として発行し、複数のプロジェクトの構築に参加して報酬を獲得することができます。

(参照:https://www.binance.com/ja/support/announcement/0fe1e7c8781844e29f56cb674231dfd7)

BNB Chainとは、バイナンスが運営するブロックチェーンのこと。BNB Chain上ではDeFiなど、様々なプロジェクトが開発されています。

つまり、BABトークンはバイナンスのアカンウトを保有しているという証明になり、バイナンスの様々なプロジェクトに参加する際にBABトークンを持っていると、BNBトークン保有者だけがもらえる報酬などを受け取ることができる、ということです。

SBTは参加証明になる、などのユースケースが考えられていましたが、それをいち早くバイナンスが取り入れたのです。

 

SBTでバーチャルワールドは加速する

バイナンスは一企業が運営するサービスで、BNB Chainはプライベートブロックチェーンと呼ばれる、特定の管理者がいるブロックチェーンです。

そのようなコミュニティの中でのSBTは一見すると「必要があるのか?」と思われるかもしれません。それはその通りで、もし一企業が管理するサービスの中でのアカウント証明であればSBTはそこまで必要がないでしょう。そのユーザーがアカウントを保有しているかどうかの情報は、企業のサーバーに集約されているからです。

しかし、SBTはパブリックブロックチェーンやDapps(分散型アプリ:管理者不在のアプリケーション)では、非常に有効に働きます。

例えば、あるパブリックブロックチェーン上に展開されている「A」というDappsのSBTがあったとして、AがヘビーユーザーだけにSBTを配ったとします。そのSBTを保有しているかどうかは、パブリックブロックチェーン上に記載されることになるので誰でも確認することができます。

そのようなSBTのユースケースとしては

  • AがSBT保有者へ還元として報酬を付与する(Aのヘビーユーザーになると良いことがあると周知できる)
  • Aに権威がついていけば、SBT保有者はそのヘビーユーザーということで権威がつく(保有者の仕事の発生や承認欲求を満たす)
  • Aに関連するサービスBを開発する人が、Bの利用呼び込みのためにSBT保有者へ何かしらのキャンペーンを行う

簡単に考えられるだけでも、これらのことがあります。さらに、Dappsではなく教育機関がSBTを付与すれば、それは学歴証明に。国がSBTを付与した場合、SBTが国籍証明になる、という未来も考えられます。

そのような証明が特定の管理者がいないプラットホーム、つまりパブリックブロックチェーンでできる、というのはこれまでにはなかった透明性のある社会を作り出すことになります。結果的にバーチャルの世界の信頼性や流動性を高めていくことになるでしょう。

SBTはバーチャルなもの、そしてブロックチェーンの改ざんできないという特性があることでメタバース内でも有効に働くことができます。あるアバターが嘘をついていないことを、SBTを見せるだけで証明できるのです。SBTはアバター内での経済活動において、有効に利用することができるでしょう。

 

SBTは盛り上がり、そしてまた収束していく

SBTはまだ始まったばかりの技術です。そのため、未来の想像が膨らむ反面、誰でも発行できる、という部分がSBTの弱みにもなるでしょう。

SBTは誰でも発行が可能です。パブリックブロックチェーンは誰でも参加でき、誰でもその中で活動できることが大きな特徴です。ということは、SBTが実際に使われ出した時には非常に多くのSBTが発行されることが目に見えています。

もちろん、淘汰は起きるでしょう。不要なSBTはバーンされることになります。

しかし淘汰よりも発行されるSBTの方が多くなる可能性は高いです。SBT発行には費用(ガス代)がかかるものの、今後のイーサリアムアップデートやレイヤー2技術の発展でガス代は縮小していくことが予想されます。そうなればSBTがもらえる、ということで威力を作ろうとするDappsやNFTプロジェクトが乱立することになるでしょう。

そうなれば、どのSBTが本来保有すべきSBTかがわからなくなり、混沌とした世界が訪れます。現在のNFTのような事態になるのです。詐欺のような事例も発生することが予想されます。そのようにしているうちに、SBTへの信任は下がり、人々が離れていくことになる可能性があります。

短期的には盛り上がりを見せる可能性が高いと思われるSBT。長期的には一度収束を迎える必要があるのだろうな、と予想しています。

TOP画像:https://www.binance.com/ja/support/announcement/0fe1e7c8781844e29f56cb674231dfd7

 

関連記事

レイヤー2は次なるトレンドとなるか?レイヤー2が本当に必要なものなのかを今一度確認する

【Web3.0とは[連載]】Web3.0をとにかくわかりやすく簡単に(4)〜ゼロ・トラスト・インタラクション・システム〜

コインチェック

スポンサー