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日経新聞にて、海外ステーブルコインの国内流通が検討されているとの報道が出ています。(参考:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB23DU80T21C22A2000000/)
日本でのステーブルコインは、2023年に施行予定の資金決済法での規制によって定められているだけで、海外で発行されたステーブルコインなどの規制は未だ未定となっています。今後、様々な面で仮想通貨(暗号資産)に対する規制が定められていく見通しとなっており、Web3.0について興味のある方は注視していくといい話題です。
今回は、この件について初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
ステーブルコインとは?
そもそもステーブルコインとは、簡単に言えば「何かに価格固定された仮想通貨(暗号資産)」のことです。一般的にはステーブルコインと言えばドルや金に価格固定されている仮想通貨のことですが、日本国内の法律では円と価格固定されていても「ステーブルコイン」ではない、などの厳密な定義は少し複雑になっています。
初心者の方の理解としては、まずは「ステーブルコイン=日本円やドルと価格固定された仮想通貨」という認識でいいでしょう。
そして、そのステーブルコインは日本国内では海外発行されたものに関しては明確な規制がありませんでした。今回の報道によれば、国内発行のステーブルコインについてと同様に、海外発行のステーブルコインについても発行者に発行総額を資産保全するよう義務付けるなどするとされています。
また、マネーロンダリング対策として送金金額の上限なども設定されるとしており、今後海外ステーブルコインについての規制枠組みの設定が進むと見られています。
なぜステーブルコインに規制が必要か?
そもそも、ステーブルコインの規制設定を国が急いでいる背景はどのようなものがあるのでしょうか?
ステーブルコイン、特に法定通貨(日本円やドルなどの国が発行する通貨)と価格固定されている仮想通貨は、法定通貨と同様の働きをさせることができます。というのも仮想通貨は、ビットコインから歴史が始まっており、ビットコインは決済のために作られているからです。
つまり、仮想通貨を物品の売買に使うことなどは容易で、ウォレットと呼ばれるアプリケーションがあれば誰でも簡単にやり取りをすることができてしまいます。
ステーブルコインには、例えばドルと価格固定されている「USDC」などがありますが、このUSDCはほぼドルと同じ価値を持っており、ほぼドルと同様の使い方が可能になっています。
そうなると、USDCの発行者はドルを発行する権限を保有していることになります。ドルを発行することができる、ということはもし規制が何もなければドルを無限に発行することができることになります。ドルを無限に発行できるのであれば、それは国と同様の権限を持っていることになります。国は通貨発行権を保有しており、その権限は多くの利益・利得を生んでくれるため、他者に譲るわけにはいかないのです。
もちろん、ステーブルコイン利用者の保護、という側面もあります。発行体に何か起きてステーブルコインが利用できなくなった場合、規制が何もなければ利用者は泣き寝入りをするしかないからです。ただし過去、利用者保護の側面は何か問題が起きてから規制が制定される、という流れが主流でしたので、やはりステーブルコインの規制を急ぐ背景には通貨発行権という権限を守りたい、というものが大きいと考えられます。
実際には規制はかなり難しい
しかし、ステーブルコインに規制を上手にかけ、さらにWeb3.0のサービスを日本でも盛り上げていくというのは非常に難しいと考えられます。
というのも、規制とイノベーションは表裏一体だからです。海外ステーブルコインにしろ、どのようなものでもWeb3.0領域は現状では規制の中からイノベーションは生じていません。むしろ規制とは関係のない部分からイノベーションが生じ、多くの人を魅了するプロダクトやプロトコルが誕生しています。ビットコインやイーサリアム、NFTなどは規制とは別の場所で生まれました。
仮に海外ステーブルコインについて、発行体が100%発行コインの裏付け資産を保有するという規制を設けたとしても、DAOで運営され、さらに仮想通貨で担保を作るステーブルコインに対してどのように規制を適用するのかはグレーな部分があります。
つまり、現状の規制では現状出てきている手法を使ったサービスにしか対応できず、その手法の移り変わりが非常に激しいWeb3.0領域では規制が単にイノベーションを阻害してしまうだけ、となる可能性が高くなっています。
規制に合わないステーブルコインは利用できない、そして日本に入って来ない、その間に新たな手法で作られた海外ステーブルコインが海外で流行り、日本は置いてかれてしまう、ということが起こり得ます。現に仮想通貨では、この現象が起こっており、許可されていない仮想通貨が日本では多いため利用者は多くの仮想通貨にアクセスできない、という事態になっています。
日本で許可される頃には時代遅れになってしまっていたり、そもそも規制の枠組みに入らずいつまでも日本では利用できない、ということも起きています。
ステーブルコインにも、利用者保護の規制が必要なのは頷けますが、従来とは異なる柔軟な枠組みを作っていかなければWeb3.0領域でも日本が遅れをとってしまう、という流れは変えることができないでしょう。
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