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ビットコインは「インフレヘッジ」のために購入されることがあります。その点において、ビットコインは金(ゴールド/Gold)と同様の特徴を持っています。
ここでは、インフレヘッジとはどのような意味か?ビットコインが多くの投資家にインフレヘッジのために購入される理由は何か?について、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
目次
インフレとは何か
そもそも、インフレとは何なのかについてわかりやすく解説をしていきます。
インフレとは、インフレーション(inflation)の略で、簡単に言えば「物の価格が上がること」や「通貨の価値(価格)が下がること」です。
例えば、現在1個100円でりんごが売られていたとします。そして、1年後にりんごが1個200円で売られるようになりました。この時、1個100円だったりんごが、1年後に200円、つまり2倍に物の価格が上がっているので「インフレが進んだ」ことになります。
「りんごの価格が2倍になった」とも言えますし「円の価値が半分になった」とも言えるため、インフレは「物の価格が上がること」や「通貨の価値(価格)が下がること」となるのです。
インフレは、様々な要因で起こり得ます。例えばりんごであれば、「りんごが必要」と考える人の人数は変わらないのに、生産数が半分になってしまった場合、価格が倍になっても皆買う可能性があります。
このように、需要量と供給量が変動することによって、インフレが起こったりするのです。
ちなみに、インフレの反対は「デフレ」です。デフレとは、デフレーション(deflation)の略で、「物の価格が下がること」や「通貨の価値(価格)が上がること」です。
「物が安くなって、お金の価値も上がるのなら良いことだらけなのでは?」のように感じる方もいるかもしれませんが、物価が下がると企業の売上額も減ることになります。
売上額が減ると、企業の収益構造が悪化します。その結果、給料も伸び悩むことなどにつながり、社会全体は不景気になりやすくなる、という問題点があります。
日本経済は、1990年のバブル崩壊後、長期のデフレ状態に悩まされた過去があります。後ほど詳しく説明しますが、現在はデフレ脱却を目指して、インフレを誘導するような金融政策がとられています。
インフレになって困る人はいる?
インフレになって困るのは、現預金、つまり日本円をたくさん持っている人です。
インフレ時にはお金の価値が下がりますので、今まで貯めたお金(日本円)の価値が減ってしまうことになります。そのため、インフレというのは貯金が好きな方にとってはあまりプラスになる話ではないのです。
しかし、あんまり貯金がない人が得をするのか、と言えばそんなに簡単な話ではもちろんありません。物価が上がっても、収入が上がらない場合は、困ることになります。
そんな「物価が上がっても、収入が上がらない」というインフレの場合は、日本円をあまり持っていない方も経済的なダメージを受けることになります。
また、今まで100g入っていたポテトチップスが、70gに減っても同じ値段で売られている、というのもインフレが進むと起こり得ます。
これは「ステルス値上げ」と呼ばれており、インフレが進んでいる時に見られる値上がりの一つです。近年の日本では、企業が売っている商品をよく見ているとステルス値上げがよく行われていることがわかります。
つまり、インフレは日本円を貯めている人にとって不利な現象で、さらにインフレと同時に給料が上がらないと、多くの人にとって困る現象となるのです。
インフレヘッジとは
さて、インフレという言葉に似ている言葉で「インフレヘッジ」というものがあります。インフレヘッジとは、日本円などの通貨の価値が下落(資産価値が減少)するにあたり、それを回避するような行動のことです。
日本円の価格が下落するのであれば日本円を保有しない、というのも一つのインフレヘッジですし、金(ゴールド)のような日本円以外の資産を購入するのもインフレヘッジとなります。
ビットコインがインフレヘッジになる理由
ここまでお読みいただいた方は、もうお分かりになられると思いますが、ビットコインがインフレヘッジになる理由は、日本円(国が発行する通貨=法定通貨)の価格が下がると、ビットコインの価格は相対的に上がる可能性がある、というものです。
すでに述べたようにインフレとは、「物の価格が上がること」や「通貨の価値(価格)が下がること」です。現在は、世界的に見て日本円や米ドルなどの法定通貨(国が発行する通貨)の価値が下がっていると言われています。
つまり、世界的にインフレが起きていると言われています。(日本はそこまでのインフレはまだ起きていません。詳しくは後述します。)
なぜ法定通貨の価値が下がっている(インフレが起きている)のかと言えば、低金利政策や、法定通貨の大量発行により、市場への通貨供給が過剰になってしまった、という要因があるから。
それに対し、ビットコインは発行数量が2100万BTCと決められており、その上限は増える見込みがありません。そうなると、市場に溢れて価値が下がった法定通貨に比べ、数に限りのあるビットコインの価値(価格)は相対的に上昇していく可能性が高い、と見られているのです。
今後の金融政策で法定通貨の供給過剰が終わる可能性もありますが、現状はまだ明確な終わりが見えていないため、法定通貨を貯めておくよりも、ビットコインのような数量が増えない資産を持っておくことでインフレに対するヘッジ(回避行動)ができる、という考え方が広まってきているのです。
金(ゴールド)もビットコインと同様に有限で、古くから投資家にインフレヘッジとして購入されてきました。すでに、現在の金価格は歴史的に見ても高騰しています。
ビットコインの安全性が年々証明され、人々を魅了するようになったことで、金(ゴールド)と同じようなインフレヘッジ資産として認められてきているのです。
世界と日本はインフレが起きている?
さて、世界や日本では本当にインフレが起きているのでしょうか?
世界各国では、様々な経済指標を発表しています。その中のインフレに関する指標を見ることで、インフレが起きているかどうかが判断できます。
例えばアメリカ。アメリカでは月に一度、消費者物価指数(CPI)という指標を出しています。この指標は、主に国内物価の上下を表す指標で、インフレ率を分析する際によく使用されます。つまりCPIが上昇しているということは、物価上昇=インフレを示します。
2021年11月発表のCPIは前年同月比6.2%となり、これは非常に高いインフレ率として認識されています。というのも、2021年3月までは前年同月比約2%以内で推移していたためです。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
21年 | 1.4 | 1.7 | 2.6 | 4.2 | 5 | 5.4 | 5.4 | 5.3 | 5.4 | 6.2 | ||
20年 | 2.5 | 2.3 | 1.5 | 0.3 | 0.1 | 0.6 | 1 | 1.3 | 1.4 | 1.2 | 1.2 | 1.4 |
19年 | 1.6 | 1.5 | 1.9 | 2 | 1.8 | 1.6 | 1.8 | 1.7 | 1.7 | 1.8 | 2.1 | 2.3 |
18年 | 2.1 | 2.2 | 2.4 | 2.5 | 2.8 | 2.9 | 2.9 | 2.7 | 2.3 | 2.5 | 2.2 | 1.9 |
17年 | 2.5 | 2.7 | 2.4 | 2.2 | 1.9 | 1.6 | 1.7 | 1.9 | 2.2 | 2 | 2.2 |
アメリカCPIの推移(出典:https://info.finance.yahoo.co.jp/fx/marketcalendar/detail/9052)
このようなことが各国で起きています。もちろん、国によってインフレ進行度に差はあるものの、現在は世界的に見たインフレ状態と言われているのです。
そんな中で、日本はどうでしょうか?
日本のインフレ率も、国が発表している消費者物価指数(CPI)から見ることができます。
2021年10月は前年同月比0.1%となっています。グラフを見ていただければお分かりになりますが、アメリカと比べると非常にインフレ率は低いことがわかります。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
21年 | -0.6 | -0.4 | -0.2 | -0.4 | -0.1 | 0.2 | -0.3 | -0.4 | 0.2 | 0.1 | ||
20年 | 0.7 | 0.6 | 0.4 | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.3 | 0.2 | 0 | -0.4 | -0.9 | -1.2 |
19年 | 0.2 | 0.2 | 0.5 | 0.9 | 0.7 | 0.7 | 0.5 | 0.3 | 0.2 | 0.2 | 0.5 | 0.8 |
18年 | 1.4 | 1.5 | 1.1 | 0.6 | 0.7 | 0.7 | 0.9 | 1.3 | 1.2 | 1.4 | 0.8 | 0.3 |
17年 | 0.4 | 0.3 | 0.2 | 0.4 | 0.4 | 0.4 | 0.4 | 0.7 | 0.7 | 0.2 | 0.6 | 1 |
日本CPIの推移(出典:https://info.finance.yahoo.co.jp/fx/marketcalendar/detail/7031)
日本は90年代に起きたバブル崩壊後に、長期に渡るデフレを経験してきました。そこから、アベノミクス政策などで2%のインフレを目指す政策が取られてきたのですが、以前としてインフレが起きているとは言い難い状況が続いています。
世界がインフレになっているのはすでに述べたとおり、低金利政策や量的緩和(市場にお金をばらまく)政策が大きな要因の一つとなっています。そのため、すでにアメリカではインフレの極度な進行を防ぐために、それらの政策の終わりを考え始めています。
しかし、日本ではインフレがなかなか進まないため、終わりが見えていない状況です。
適度なインフレは、デフレと違い好景気を生み出すことがありますが、極度のインフレになってしまうと「ハイパーインフレ」と呼ばれ、お金の価値が一気に暴落し、社会が混乱に陥ります。国としては好景気を生み出しつつ、社会の混乱を生じさせないような政策をとりたい、と考えているので、現在の政策の良い面と悪い面の折り合いをつけていくことが非常に大切になります。
インフレ対策として他にできることはある?
もしインフレが加速し、お金の価値が下がっていく場合には、ビットコインを購入する以外に、対策はあるのでしょうか?
インフレ時に日本円やドルなどの法廷通貨の価値が下がっても、資産としての価値が変わりにくい株式や、債券、不動産、金などを所有していると比較的資産を守りやすくなります。
また自国でハイパーインフレが起こってしまった場合に備えて、自国の通貨だけでなく、ドルやユーロなどの外貨を、分散して所有しておくという対策もあります。
ただ、一つの先進国がハイパーインフレなどになってしまうと連鎖的に金融不安が他の国にも飛び火します。そうなると経済は混乱することになり、法定通貨や株式・不動産の価格にも大きな影響が出るでしょう。
そのような意味ではインフレヘッジになり得るのは金(ゴールド、または貴金属)やビットコイン、とも言えます。しかし、これらの資産も量的緩和政策によって市場にあふれた資金から購入され、高騰している背景もあることを考えると、ハイパーインフレなどが起きた場合に全くの無傷でいられることは難しいと言えるでしょう。
ハイパーインフレは起きる?
すでに紹介しましたが、インフレが極度に進行した状態、つまり短期間で物価が高騰する状態を「ハイパーインフレ」と言います。
ハイパーインフレは3年間で100%以上の物価上昇が基準とされています。日本に住んでいる私たちにはあまり現実的では無いですが、実際にハイパーインフレが起きている国もあります。
アフリカのジンバブエという国では、近年ハイパーインフレが起きています。ジンバブエの通貨は1980年に1単位約300円だったのが、2008年には約0.000000000001円になってしまったという報道もあります。つまり、使えないくらい暴落してしまったということです。
これが現代のジンバブエで実際に起こったことです。また、少し昔の話ですが戦後ドイツでもハイパーインフレは起こっています。パンひとつ買うのにも、リアカーでお札を運んでいかないと、買えないほどにまで価値が下がっていたと言われます。社会の教科書などで、お金を積み上げて、パンと交換するような風刺画を見たことがある方もいるでしょう。
もちろん、先進国にハイパーインフレが起こる可能性は非常に低いです。そのため、極度に不安に思う必要はありません。ただ、可能性の一つとして、そしてインフレヘッジとして、貯金以外の資産を持つ、ビットコインを保有する、という選択肢を考えても良いでしょう。
今後、インフレがどのように進行していくのか、またインフレは止まるのかは誰にもわかりません。ただ、大切なことはインフレという概念を知り、自分の資産をどのように守っていくのかを考えることです。
ビットコインは今やインフレヘッジの選択肢の一つになっています。ぜひ、興味のある方はビットコインについて深く調べ、自身の判断で購入を検討していただければと思います。
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