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ビットコインなどの仮想通貨で採用されるシステム「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」は環境に悪いと言われ、「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」が注目されています。プルーフ・オブ・ステークはイーサリアムの完成形であるイーサリアム2.0で採用される予定となっており、イーサリアムや仮想通貨の今後を占う重要なシステムであると言えます。ここでは、プルーフ・オブ・ステークについて、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
目次
プルーフ・オブ・ステークとは
プルーフ・オブ・ステーク(PoS)は、仮想通貨などのブロックチェーンで採用される、コンセンサスアルゴリズム(合意形成アルゴリズム)の一つです。プルーフ・オブ・ステークは、仮想通貨を保有(預け入れ)している人から選ばれた参加者が、ブロックチェーンの処理についての合意を取ります。
コンセンサスアルゴリズムとは?仮想通貨の特徴を決める重要なキーワードを初心者にもわかりやすく解説!
この説明では初心者の方には少しわかりづらいため、ブロックチェーンのシステムについて少し紹介します。
ビットコインやイーサリアムなどの公開されたブロックチェーンを利用した仮想通貨では、特定の運営者が存在しないため、不特定の参加者による不正の検閲や取引の承認が行われます。参加者には誰でもなることができますが、その参加者が不正を働いてしまってはシステムが成り立たないため、参加者の不正を防止するルールが必要になります。
このルールが「コンセンサスアルゴリズム(合意形成アルゴリズム)」と呼ばれます。ブロックの中に記載された記録について、どのように合意を取るか(正しいとするのか)を決めるルールです。
プルーフ・オブ・ステークは、仮想通貨を多くそのネットワークに預け入れている参加者の中から、処理を承認する人を選出する、というコンセンサスアルゴリズムです。
<プルーフ・オブ・ステークとは?>
プルーフ(Proof)=「証明」
ステーク(Stake)=「掛け金(出資)」
⇒Proof of Stake「掛け金の証明」
プルーフ・オブ・ステークは、いくつかの仮想通貨で採用されているコンセンサスアルゴリズムで、その中身は「仮想通貨を多くそのネットワークに預け入れている参加者の中から、処理を承認する人を選出する」という点以外は、細かい違いがあります。
例えば、預け入れる仮想通貨の最低数量が決まっていたり、預け入れてから引き出すことができない期間が定められていたりします。
プルーフ・オブ・ステークのルールの中で選出された参加者は、正しく処理承認を行うことで、その仮想通貨を報酬として受け取ることができます。このようになっていることで、預け入れた仮想通貨と、受け取った仮想通貨の価値が失われてしまわないよう、参加者が正しく承認を行うインセンティブを生み出し、不正のない取引や処理を行う仕組みになっているのです。
ステーク(ステーキング)とは
ちなみに、プルーフ・オブ・ステークで仮想通貨システム内に仮想通貨を預け入れることを、「ステーク」「ステーキング」と言います。
ステークは基本的に誰でも行うことができますが、取引承認をするための設備を持っている人しかステークできない場合と、取引承認をする人を選出するために設備なしでステークできる場合があります。
ステーク(ステーキング)は、仮想通貨システムのセキュリティを向上する行為のため、一定期間ステークをすると報酬を受け取ることができます。仮想通貨取引所では、ステーク代行を行なっている取引所もあり、仮想通貨をステークすることで保有しつつも利息を受け取ることができる場合があります。(貸株のようなイメージですが、ステーキングならではのリスクもあります)
〜ステーキングについて詳しくはこちら〜
ステーキング(ステーク)とは?ステーキングできる取引所/リスク/インカムゲインを得る方法/を紹介!
プルーフ・オブ・ワークとは
コンセンサスアルゴリズムには、プルーフ・オブ・ステークの他に「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」があります。プルーフ・オブ・ワークは、最初の仮想通貨であるビットコインで採用されているコンセンサスアルゴリズムで、プルーフ・オブ・ワークの派生形がプルーフ・オブ・ステークです。(コンセンサスアルゴリズムは他にもあります)
プルーフ・オブ・ワークは、「最も早く演算を行った参加者が、取引の承認者として選出される」というルールです。演算を早く行うためには、コンピューターと消費電力が必要なため、環境問題の懸念などが指摘されています。
※参考:マイニングの消費電力はどのくらいか ビットコイン普及の課題
プルーフ・オブ・ステークは、プルーフ・オブ・ワークの弱点を克服できるとされており、今後の仮想通貨を支えるコンセンサスアルゴリズムとして注目を集めています。
〜プルーフ・オブ・ワークについて詳しくは以下で解説しています〜
プルーフ・オブ・ワーク(PoW)とは?ビットコイン/仮想通貨のコンセンサスアルゴリズムの問題点を初心者にもわかりやすく解説!
プルーフ・オブ・ステークのメリット
プルーフ・オブ・ステークのメリットとしてまず挙げられるのは、先述したプルーフ・オブ・ワークよりも電力消費が少なく済む、という点です。電力消費が少なく、セキュアな取引承認ができることで、環境に優しいシステム作りができるようになります。昨今では、ESG投資の観点から環境問題を重視する投資家も多く、環境に優しい設計が可能というのがプルーフ・オブ・ステークのメリットの一つです。
環境問題以外でも、電力消費が必要ないことから、大規模な設備投資を行わなくてもいい、というメリットもあります。プルーフ・オブ・ワークでは、高機能なコンピューターを動かす電気が必要で、さらに動かしたコンピューターが熱を持ってしまうことから冷却設備も必要になります。涼しい地方が冷却に有利なことや、大規模な設備が必要なことから、地理的に参加者が分散されづらい、という課題がありますが、プルーフ・オブ・ステークではそのようなことが起こりづらいため、参加者が地理的にも分散された状態になりやすいのがメリットです。(参加者は分散された方が、仮想通貨のセキュリティは向上します。)
他にも、プルーフ・オブ・ステークでは、大量の電力消費ができる参加者がシステムを攻撃する、などを防ぐことができます。ステークしている(ネットワークに仮想通貨を預け入れている)参加者からランダムに取引承認者を選ぶ、などのルールがプルーフ・オブ・ステークでは多く採用されているため、権限が一極集中するのを防ぐことができるのがメリットです。
プルーフ・オブ・ステークのデメリット
プルーフ・オブ・ステークのデメリットとしてまず挙げられるのは、そもそも参加者が分散化された状態でセキュアなシステムを保ち続けることができるのか?という疑問が残る点です。プルーフ・オブ・ワークは、ビットコインが2009年から稼働して以来、システムをセキュアに保ち続けることができるという証明がされていますが、後発のコンセンサスアルゴリズムであるプルーフ・オブ・ステークは、ビットコインと同等に世界中に参加者が多く分散された中でも、正しい承認をし続け、正常なシステムを保ち続けることができるのかが実証されていないという点が、一つの課題(デメリット)として挙げられます。
他にもデメリットとして挙げられるのは、ステークする量によって承認者として選ばれる確率が高くなるルールが採用されている場合が多いため、資本を最初から持っている人がさらに富む、という構造になりやすい、ということです。プルーフ・オブ・ワークと違い、地理的な分散がしやすいのが特徴ですが、逆に言えば資本さえ持っていれば誰でも参加できてしまうが故に、最初に資本を持っていた人がさらに有利になる、という構造になりやすく、プルーフ・オブ・ステークでも、プルーフ・オブ・ワークとは異なった「持続可能性」の問題が出現する可能性があるでしょう。
プルーフ・オブ・ステークを採用する注目仮想通貨
1 イーサリアム2.0(Ethereum2.0)
イーサリアムは2013年に、ヴィタリック・ブテリン氏(Vitalik Buterin)というカナダ人プログラマーによって考えられた「色々なアプリケーションを作成・開発できるプラットホーム」です。このイーサリアムがアップグレードされた、「イーサリアム2.0」ではプルーフ・オブ・ステークが採用される予定になっています。現在のイーサリアムはプルーフ・オブ・ワークが採用されています。
現在のイーサリアムでは一つの土台(ブロックチェーン)で処理が行われています。これを複数の土台で処理を行う、という変更がイーサリアム2.0では行われる予定です。(「シャーディング」と呼ばれます)
今まで一つの土台で、不正がないか確認をしながら処理していたイーサリアムが、一気に複数の土台で複数の人が確認しながら処理を行うため、処理スピードは早くなります。設備や電力消費が必要なプルーフ・オブ・ワークでは、複数の土台で承認者選出を行おうとすると、一つ一つの土台のセキュリティが弱くなってしまうことから実現することが難しいとされており、プルーフ・オブ・ステークによって実現することを目指しています。
〜イーサリアムについて詳しくはこちら〜
イーサリアム(ETH)とは?初心者にわかりやすく、購入方法・今後・将来性・歴史・仕組みを解説した入門ページ
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2 ポルカドット(Polkadot)
ポルカドットは、ブロックチェーン技術を基盤とした仮想通貨やサービスをつなぎ、「Web3.0」の実現を目指しているエコシステムです。また、そのプロジェクト全体を指してポルカドット、とも呼びます。
非常にわかりやすく、そして簡単に言うと、ビットコインやイーサリアムなどのブロックチェーンの、プラットホームになることを目指したプロジェクトです。ポルカドットも特定の運営者がいるわけではなく、非中央集権型のプロジェクトです。
イーサリアムを共同で創設した、ギャビン・ウッド(Gavin Wood)氏らによって2016年に考案されました。2020年5月から稼働が開始されています。
2021年現在、仮想通貨やブロックチェーンプラットホームはそれぞれ独立して存在しているため、同じ土俵で利用することが困難です。例えば、ビットコインとイーサリアムは異なるブロックチェーン基盤の仮想通貨のため、イーサリアムの送金手数料の支払いにビットコインを利用することは通常できません。
しかし、ポルカドットが両者を結ぶことで、イーサリアムの送金手数料支払いにビットコインを利用できるようになる、などが実現する可能性があります。今まで実現しなかった、異なるブロックチェーン同士を利用したアプリケーションの構築などが可能になります。
ポルカドットもイーサリアム2.0と同様に、複数のブロックチェーンを正常に稼働させるためなどの理由から、プルーフ・オブ・ステークが採用されています。ポルカドットでは、プルーフ・オブ・ステークの取引を承認する人を指す「バリデーター(Validator)」を選出する参加者である「ノミネーター(Nominator)」という役割が設定されているため、「ノミーネーテッド・プルーフ・オブ・ステーク(NPoS)」とも呼ばれています。ノミネーターは、ポルカドットをステーキングするだけで、設備などは不要なため、誰でもなることができます。
〜ポルカドットについて詳しくはこちら〜
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まとめ
以上、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)についてわかりやすく解説しました。プルーフ・オブ・ステークは仮想通貨の投資目線だと、ステーキングという預け入れによって報酬を得ることができるため、受け入れやすいルールであるとも言えます。
ただ、実際に大切なのはコンセンサスアルゴリズムがその仮想通貨のセキュリティを守れるかどうかで、仮想通貨を保有する場合はコンセンサスアルゴリズムがどのようになっているのかをしっかりと調べ、見極めることが重要であると言えるでしょう。
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