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中央銀行デジタル通貨(CBDC)という言葉を聞いたことはありますか?
仮想通貨や民間各社が発行する電子マネーが普及するにつれて、CBDCの名前をニュースで見る機会も増えてきました。
しかし「CBDCとは一体何か?」と聞かれて正しく答えられる人は意外に少ないのではないでしょうか。実はCBDCはデジタル通貨ではあるものの、仮想通貨や電子マネーとは全くの別物です。
また、CBDC関連の話題は増えてきていますが、主要国でCBDCを実際に発行している国はほとんどありません。多くの国や地域では、CBDCはまだ導入を検討している段階です。
このページでは、仮想通貨とも電子マネーとも異なる新しいデジタル通貨であるCBDCについてわかりやすく解説します。
中央銀行デジタル通貨(CBDC)とは?
中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)は、デジタル通貨の一種です。
同じデジタル資産である仮想通貨や電子マネーとは似て非なるものです。具体的には、以下の3つの特性を満たすものがCBDCであるとされています。
- デジタル化されていること
- 円などの法定通貨建てであること
- 中央銀行の債務として発行されること
3で定義されている通り、CBDCは中央銀行が発行する「中央銀行の債務(負債)」です。わたしたちが日常的に使用する通常の通貨と同じく、決済の手段として用いることが想定されています。
また、発行している国の法定通貨建てで発行される特性から、当該国内で商品やサービスの価値を図る価値尺度としても機能します。
つまりシンプルに言えばCBDCとは、現状において「現金」として扱われている金融資産をデジタルな取引で扱おうという試みになります。
現金の代わりになるデジタル通貨を中央銀行が発行することについては、現在多くの国や地域が検討を行っています。
しかし2022年4月現在、正式にCBDCを発行している国はバハマおよび東カリブ海諸国の一部の国々に限られます。そして主要国では中国の中央銀行である中国人民銀行が、2022年2月に行なわれた北京五輪で、外国人向けに初めてデジタル人民元を提供しました。これは、主要国によるCBDC発行の最先端の取り組みとして世界から注目を集めています。
このように、一部の国々ではすでにCBDCは発行されていますが、多くの中央銀行は慎重な姿勢を維持しています。というのも、民間銀行の預金や資金仲介への影響など検討すべき点も多いためです。日本銀行も検討はしていますが、現時点でデジタル通貨を発行する計画はありません。
CBDCの機能
多くの国が、CBDCの発行をいまだ検討中としているのは理由があります。この点を理解するために、CBDCが持つ機能、そしてCBDCで実現できることについて考えてみましょう。
CBDCが導入されると、以下のような点で利便性が高まります。
- すでに普及が進んでいるスマートフォンを用いることで決済の幅が広がる
- 国際送金をはじめ送金の低コスト化
上記と同様の利便性を提供する技術として、ブロックチェーンを基盤とした仮想通貨が考えられます。しかし、仮想通貨は必ずしも法定通貨建てではなく、中央銀行が発行しているわけでもありません。
このため、法定通貨連動型で比較的価格が安定したステーブルコイン以外の仮想通貨は、日々の値動きの幅が大きく、日常の決済手段としては信頼性や利便性に不安が残るのが現状です。
これに対して、中央銀行が発行するCBDCであれば、デジタルでありながら物理的な通貨と同等の信頼性を備えているため、日常の決済等にも活用しやすいと考えられています。
CBDC導入の目的
仮想通貨に比べて、日常的なユースケースへの適用がしやすいように見えるCBDC。事実として、物理的な通貨を利用していることで生ずる問題の中には、CBDCを導入することで解決できるのではないか、と考えられるものが多数あります。ここで、各国の具体的なCBDC導入目的の事例を紹介します。
- 民間の電子マネーが圧倒的に普及し、中央銀行のガバナンスが低下していることへの対応手段(中国)
- キャッシュレス化が急速に普及し、現金利用者(高齢者や銀行口座を持たない人)が不便な状況に陥ったことへの対応(スウェーデン)
- そもそも銀行の預金口座を持つことができない国民への対応(カンボジア)
- 一つの国で島々が点在しており、インフラ整備が進んでいないことへの対応(バハマ)
このように、CBDCを導入することで解決できるかもしれない問題の種類は多岐に渡ります。
しかし、裏を返せばCBDCを導入するには「解決したい課題が明確に存在する」ことが必要であるとも言えます。
日本は、わざわざ既存のシステムを変えてまでCBDCを導入する必要があるのかという点は、かねてから議論にあがっています。日本ではほぼ全ての国民が銀行口座を持つことができ、高度で信頼性の高い決済システムが整備されています。
実は、これは世界的には珍しいことです。発展途上国の中には、銀行口座を持つことすらできない国民が大勢いるような国もあります。
そういった国と比較すると、日本はCBDCを積極的に導入する理由が乏しいため、導入に向けてはかなり慎重な検討が行なわれています。
世界各国の最新状況
既存の金融システムが発達している国は導入に慎重であるとはいえ、各国でCBDC導入の検討は進んでいます。ここでは2つの事例を紹介します。
デジタル人民元(中国)
中国では北京五輪を機に、すでに外国人に対してCBDCが提供されました。
2020年12月に、蘇州市でデジタル人民元のオフライン決済の大規模な実証実験を実施。2022年2月の北京五輪において公開され、今後本格的な実用化を検討しています。
国内資金の流れの把握、及び人民元の国際化や基軸通貨である米ドルに対抗する狙いがあると言われています。
また、中国ではキャッシュレス決済が7割を超えているという社会的な背景があることや、5Gの整備など技術的な環境が整っていることもCBDC発行を後押ししています。
デジタルユーロプロジェクト(EU)
デジタルユーロプロジェクトは欧州中央銀行(ECB:European Central Bank)を中心に、欧州各国の中央銀行により2020年9月にスタートしたプロジェクトです。
2021年7月公表のレポートではCBDCの実装形態として以下のような形態の検証結果が掲載されました。
- 従来の中央集権型
- 分散台帳型
- 中央集権型と分散台帳型のハイブリッド
いずれも実現可能という結果が公表されましたが、引き続き検証を進め、2023年度には発行の可否を判断し、発行する場合はそこから3年以内で発行するとしています。
デジタルユーロプロジェクトでは、データの商業的利用や不当なプライバシー侵害を防止するためのプライバシー保護を重視しています。
さらに、マネーロンダリングや犯罪組織への資金供与といった違法行為防止のため、ヨーロッパの規制に準拠した適切かつ透明性が高い方法で、正当な当局のみがユーザーデータにアクセスできる仕組みも構築されるとのことです。
CBDCに期待されること
CBDCには多くの利点があります。デジタル化による送金や決済手数料の低コスト化は各国民が広く恩恵を受けることができます。特に国際間の少額送金は時間的・金銭的コストが大幅に抑えられるはずです。
また、仮想通貨に代表されるブロックチェーンの技術とも相性がよいと考えられています。イーサリアムに代表されるスマートコントラクト機能をCBDCにも応用できれば、決済の利便性は飛躍的に向上するでしょう。
仮想通貨とは異なる特性を持つCBDCですが、技術的な面で相互に影響し合うことで、金融システムのさらなるイノベーションに貢献することが期待されます。
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