メタマスクのユーザーデータ取得は仕方がないこと?分散型システムと規制の付き合い方

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メタマスクを運営する企業Consensysは、メタマスクユーザーのIPアドレスとETHアドレスを収集していることを公表しました。メタマスクはイーサリアム関連で最も有名なウォレットで、利用者も非常に多くいます。

今回の一件で、耐検閲性を重視するユーザーから批判の声が上がっています。今回の一件について、分散型システムと規制の付き合い方を初心者の方にもわかりやすく解説していきます。

 

メタマスクのユーザー情報取得

メタマスクは仮想通貨ウォレットで、使用にあたっては本人確認などは不要です。アプリケーションをインストールすることで、誰でもすぐにイーサリアムのウォレットを保有することができる手軽さ、そして対応するDapps(分散型アプリケーション)の多さなどがユーザーに高評価されています。

そんなメタマスクは「infura」と呼ばれるRPCプロバイダーを使うと、IPアドレスとETHアドレスが収集される、ということを運営企業が発表しました。infuraは非常に簡単に言えばイーサリアムブロックチェーンとメタマスクの仲介役。メタマスクというアプリケーションが、イーサリアムの仮想通貨のやり取りを記録しているブロックチェーンを参照するためのシステムです。

infuraはメタマスクと同様にConsensysという企業が運営しており、多くのサービスで用いられています。現状では、Web3.0サービスにはブロックチェーンとアプリケーションをつなぐinfuraのようなサービスが必要ですが、そのinfuraのようなサービスは中央集権的に展開されているため、分散型のサービス開発の必要性が叫ばれています。

 

なぜユーザー情報を収集するのか?

Consensysがユーザー情報を収集する理由は明確には発表されていません。しかし、おそらくは規制との兼ね合いであることが予想されます。

仮想通貨は簡単に多額の資金を移動できるため、国による資金移動の管理が難しいです。そのため、基本的には誰が何の目的で資金を移動しようとしているのかや、急な差し押さえなどができるように仮想通貨アドレスなどを把握しておくシステムを構築する方向で各国は進めています。

最も規制が厳しい日本では、取引所は国に登録を行わなければいけませんし、利用者は本人確認書類などの提出が求められる他、資金移動の際には住所や目的の申請が必要です。

このように、ユーザー情報の収集は検閲と密接に絡んでいることが簡単に予想できます。国の方針に従わない場合にはサービスの停止が求められるなどするため、サービス運営者は基本的には国の方針に従うことになります。

これは中央集権型運営の宿命で、課題が浮き彫りになっているWeb2.0の世界です。Web2.0の世界の課題などについては以下の記事でも詳しく紹介していますが、その課題を克服するために誕生したWeb3.0サービスの筆頭とも思われていたメタマスクがユーザー情報と収集するとなればそれはもはやWeb3.0の世界観ではなくなります。

Web3.0とは?初心者にもわかりやすく簡単に解説!実例や長所、課題、何が可能になるかについても紹介

もちろん、規制があることが悪いとは一概には言えません。犯罪防止などの役割を担いますので、一定の規制は必要です。しかし、全ての情報を国に管理されるのであればWeb3.0の存在意義はなくなるでしょう。非中央集権、分散型こそがWeb3.0・仮想通貨の存在意義であるため、どのように規制と付き合っていくかは永遠に課題と言えるでしょう。

 

アプリケーションに規制、より分散的に

先ほども述べたように規制はおそらくゼロにするのは不可能です。というよりも社会的に規制の枠組みは必要です。しかし、Web3.0に求められる規制は、Web2.0のものとは異なるものである必要があります。

仮想通貨やWeb3.0というものがこの世に誕生し、それがここまで大きくなっている以上、それらを最も上手く扱うことができる人たち(国であれその他の組織であれ)はおそらく新たな規制の枠組みを考えることができる人たちでしょう。単に規制をかけ、潰してしまうような枠組みでは仮想通貨やWeb3.0とのいたちごっこは終わりません。

運営が分散的に行われるWeb3.0サービスでは、ユーザー情報の管理も分散的に行われる必要があります。暗号技術を取り入れながら、今までの規制よりも自由な規制を受け入れる必要はあるでしょう。しかし、それが結果的にWeb3.0サービスの繁栄といった形で、自由な規制を取り入れた人たちにメリットをもたらすはずです。

また、infuraのような仲介サービスにも分散性が求められます。現状ではまだ流行はしていませんが、DFINITYを筆頭に多くのインフラとしての分散型サービスが開発されています。

多くの部分が分散的になり、より自由な規制枠組みの中でWeb3.0サービスが隆盛するのはまだ先のことかもしれませんが、おそらくそのような時代がいつか到来することでしょう。

 

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