Web3.0プロトコルには規制をかけることはできない。アプリやクライアントに規制がかかる可能性

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世界的なWeb3.0系ベンチャーキャピタルのa16z cryptoのMiles Jennings氏が、公式レターにてWeb3.0の規制について語っています。内容は今後のWeb3.0の規制のあり方を考える上で非常に興味深いものでしたので、紹介をするとともにWeb3.0規制について考察していきます。

 

プロトコルには規制をかけることはできない

Miles Jennings氏は、これまでのインターネット規制を例に出すと共に、Web3.0分野でもプロトコルには規制をかけることはできない、と述べています。

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プロトコルレベルの規制が望ましくない、さらに言えば実行不可能である理由はいくつかある。第一に、プロトコルが規制に準拠することは技術的に不可能であり、しばしば定義不可能で主観的な判断を要求されるからです。第二に、プロトコルがグローバルな規制を取り入れることは非現実的であり、規制は法域によって異なり、衝突する可能性もある。第三に、アプリやクライアントがより上位の技術スタックの規制に準拠できることを考えると、ウェブの技術的基盤を書き換えることは不要であり、逆効果です。

引用:https://a16zcrypto.com/web3-regulation-apps-not-protocols/(訳:DeepL)

現在利用されているWebでも、プロトコルには基本的に規制がかけられておらず、アプリケーション層に規制をかけることで犯罪などを防止するよう努められていること、そして、プロトコルに規制をかけることはそもそも上記引用箇所のような理由から難しい、ということを述べています。

確かに、現在のインターネットでは規制されている部分とオープンになっている部分が存在しています。HTTPなどの規格は「こうでなければならない」と法律で決められているわけではなく「こういう風にしようね」とされている一方で、「著作権侵害コンテンツを配信すれば〇〇の罰則があります」というように、法律によって定められている部分があります。

つまりMiles Jennings氏は、Web3.0でもプロトコルは一定の規格を保持しつつ、アプリ層などでしっかりと法律を定めていくことが大切だ(むしろそうするしかない)と述べているのです。

具体的な例としてはメールのスパムを挙げ、どのメールがスパムになるかは主観でしかなく世界的な規制を設けるのは難しい。そしてそれはDEXのトークンにも当てはまるもので、そのトークンが違法かは国際的に取り決められるものではない、と述べています。

 

Web3.0の規制のあり方は

以前からもWeb3 PRESSでは述べてきましたが、Web3.0分野にも規制は必ずかけられますし、その規制は次のステージに行くためには必要なものです。規制により一定のダメージが仮想通貨の価格には与えられますが、その後の躍進のために、一般層への普及のためには、規制は超えるべきハードルです。

Web3.0では、現在すでにレイヤー1〜アプリケーション層までの階層が組み立てられつつあります。

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今回紹介したMiles Jennings氏によるWeb3.0規制のあり方を適用させた場合、イーサリアムなどのレイヤー1、さらにはDEXなどのプロトコルを規制させるのは困難です。これは非常に納得のいく考え方で、分散化されたプロトコルではそのレイヤー1を「こうしなさい」と国が決めること、さらにほとんどの国がそれに賛同することは不可能に近いように思えます。

今の世界情勢からもわかるように、西側だけで足並みを揃えるのも難しい状況下で中国やロシア、そしてその他新興国が同じ規制を作っていく(守っていく)のは非常に困難です。

もちろん、何かしらの思惑の下で、アメリカがレイヤー1に規制方針を示すことで大きなダメージを与えることはできますが、そのようなことは可能性としては大きく無いように思えます。というのも、アメリカが先行しているWeb3.0分野でそのようなダメージを大きく与えることはアメリカにとって得策とは言えず、アメリカが規制をもうけて出遅れれば、他の国がその利権を奪っていこうとするはずです。そして、それはアメリカも危惧しているところでもあります。現に大統領令でデジタル資産分野の成長は戦略として掲げられていますし、規制に関してアメリカは非常に慎重になっています。

となれば、やはり実害を生む個別規定できるものに対しての規制、というのが最も可能性が高くなるように思えます。例えばステーブルコイン発行を免許制にして、信頼できる発行体だけにその権限を与える(通貨発行を操作できるようにしておきたいアメリカの思惑もあります)、アプリケーション利用のためにはKYCを必須にし、何かあった際に直接、法で働きかけられるようにする、などの規制が考えられます。(すでにそれは行われつつあります)

イーサリアムなどのスマートコントラクトプロトコルが国によって直接閉鎖されるということはほぼ起こりえなくなっており、もっと表面的なレイヤーでの規制はどうするべきか、という話に世界は早く移行すべきです。

レイヤー1からレイヤー2、さらにアプリケーションへと開発の主戦場は移行していますが、それと共に規制の主戦場もアプリケーション層へと移行すべきでしょう。

 

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