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仮想通貨の可能性を広げる「レイヤー2(レイヤーセカンド)」と呼ばれる技術。今後、必ずと言っていいほど普及していくであろうこの技術は、現在非常に多くの開発者によって開発が進められています。
しかし、初心者の方にとっては技術的なことなので理解が難しい、という方もいるでしょう。今回は、「レイヤー2(レイヤーセカンド)」について、初心者にもわかりやすく解説をしていきます。
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目次
レイヤー2(レイヤーセカンド)とは
レイヤー2(レイヤーセカンド)とは、レイヤー1であるブロックチェーン以外の部分でデータ処理をする際に使用されるチェーン、またはその技術のことを言います。
ビットコインやイーサリアムなどで使用されているブロックチェーンと合わせて利用することで、膨大な量のデータ処理を行うことや、よりスピード感のあるデータ処理を行うことを目的に開発されています。
レイヤー2(レイヤーセカンド)と一口に言っても、現在では様々なパターンの技術があり、いくつものレイヤー2プロジェクトが進められています。特定のデータのみを処理するために開発されているものや、すべてのデータを丸ごとレイヤー2で処理することを目指すものなどがあります。
レイヤー2の技術自体が開発段階のため、言葉の定義はその時やそのプロジェクトなどによって異なることが多いです。
ただ、大元であるレイヤー1の補完的な役割を目指していること、そしてレイヤー1以外の部分でデータ処理を行うのを目指していること、などの技術やプロジェクトが一般的にはレイヤー2と呼ばれてます。
ちなみに、レイヤー2が使われたプロダクトやプロトコルは「セカンドレイヤー」などとも呼ばれます。
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レイヤー2はなぜ開発される?
レイヤー2が開発される背景には、長年仮想通貨を悩ませている「スケーラビリティ問題」があります。
スケーラビリティ問題とは、仮想通貨で採用されているブロックチェーン、特に「パブリックブロックチェーン」と呼ばれる不特定多数の参加者によって稼働しているオープンな仮想通貨が持っている課題です。
それは簡単に言えば、膨大なデータ量を処理できない、というもの。
「パブリックブロックチェーン」では、例えて言うのであればデータを入れる箱の容量をあえて制限することで、問題なく稼働するセキュリティ体制が敷かれているような設定になっています。
そのため、逆を言えばデータを入れる箱の容量以上のデータは処理できない、ということ。つまり、世界中で仮想通貨が普及しても、世界の人がみんなでその仮想通貨を利用するとパンクしてしまう、ということ。
これが「スケーラビリティ問題」と呼ばれるもので、仮想通貨懐疑派の人によく指摘される仮想通貨の問題点です。
この問題を主に解決しようとしているのがレイヤー2技術で、2017年ごろからずっと開発が続けられています。
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レイヤー2の開発が活発な仮想通貨
レイヤー2の技術は、どのような仮想通貨でも基本的に利用することができますが、主に以下の2点の特徴を持つ仮想通貨において、有効性を発揮します。
・利用者が非常に多くいること
・セキュリティのために容量を制限していること
この2点の特徴がある仮想通貨は、レイヤー2技術の導入でさらに一段利便性が向上することとなります。これら2点の特徴がある仮想通貨の代表格は「ビットコイン」「イーサリアム」です。
ビットコイン「ライトニングネットワーク」
ビットコインは、スケーラビリティ問題に長年悩まされています。世界で最も有名な仮想通貨であるビットコインは、多くの利用者が一度に送金しようとすると「詰まり」を起こします。
すでに述べたようにビットコインは、セキュリティなどの観点からデータを入れる箱(=ブロック)の容量を一定としているため、それ以上の送金データをビットコインでは一度に処理することができません。
もちろん、時間をかければ送金することができますが、決済ツールとして送金に時間がかかってしまうことは、決定的な欠点となります。
そこで、ビットコインはレイヤー2技術として「ライトニングネットワーク」と呼ばれるプロジェクト(プロトコル)が開発されています。
ライトニングネットワークは、ビットコインのブロックチェーン上ではなく、ライトニングネットワークと呼ばれるネットワーク上でビットコイン送金のデータを処理する、という代表的なレイヤー2プロジェクトです。長年開発が行われており、すでに実用段階まで進んでいます。
ライトニングネットワークは、信頼の置ける第三者を必要としないところが特徴的です。つまり、ビットコインのように、誰か特定の権限を持った人物や組織が存在せずにスケーラビリティ問題を解決しているのです。
現在ライトニングネットワークが普及しきれていないのは、開発面や、そのネットワークをつなぐポイントとなるノード(中継点)が不足していることなどが理由としてありますが、いずれは解決し、ビットコインの利便性が向上することとなるでしょう。
イーサリアム「ロールアップ」ほか
イーサリアムも、スケーラビリティ問題に悩まされる仮想通貨の代表格です。
イーサリアムも現在は、ビットコインと同様にデータ容量を一定にしているため、多くの利用者が一度にデータ送信をすると「詰まり」のような状態になります。
ただ、イーサリアムはビットコインよりもスケーラビリティ問題について、色々な側面で解決を取り組んでいます。その理由として、決済ツールとして開発されているビットコインとは違い、イーサリアムは「ワールドコンピューター」となることを目指して開発されているからです。
つまり、決済だけではなく様々な用途にイーサリアムは利用されることを目指しています。そのため、イーサリアムのデータ処理需要は、ビットコインと比べ非常に多くのものが想定されているためです。
イーサリアムでは、スケーラビリティ問題に対し「イーサリアム2.0」と呼ばれるアップグレードを行うことで解決が目指されていました。イーサリアム2.0への開発は現在も進められているのですが、まだ完成は先の予定です。そのため、昨今のDeFiやNFTなどのデータ処理需要の高まりにレイヤー2技術を利用することで応えよう、という動きが活発化してきたのです。
イーサリアムのレイヤー2プロジェクトはいくつもありますが、代表的なものに「ロールアップ(Rollups)」と呼ばれる技術があります。これはイーサリアムのデータ処理を、イーサリアムのブロックチェーン上以外でも行えるようにするレイヤー2技術です。
この技術を利用したプロジェクトがいくつも開発されており、すでにユーザーに利用されているものもあります。
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イーサリアムのレイヤー2プロジェクト
イーサリアムでは、上記のロールアップと呼ばれる技術を利用したレイヤー2プロジェクトが多く存在しています。その中から、ここでは主だったものをご紹介します。
Arbitrum(アービトラム)
Arbitrum(アービトラム)は、イーサリアムのレイヤー2プロジェクトのうちの一つです。アービトラムを利用することで、イーサリアム上アプリケーションの処理能力を向上し、安い手数料を実現することが目指されて開発されています。
正確には、ユーザーが接続するアービトラムのアプリケーション名は「Arbitrum One(アービトラム ワン)」ですが、アービトラム ワンは多くの場合「Arbitrum(アービトラム)」という名前で呼ばれます。
アービトラムは、2018年に創業されたOffchain Labs(オフチェーン ラボ)という企業によって開発されています。2021年にメインネットが公開された比較的新しいプロジェクトですが、資金ロック額(TVL)はレイヤー2プロジェクトの中で最も多く、2022年1月時点では約29億ドル(約3,300億円)となっています。
この額は、イーサリアムのレイヤー2プロジェクトの総資金ロック額の50%を占めており、いかにアービトラムが注目されている、そして既に利用されているプロジェクトかがわかります。
Arbitrum(アービトラム)とは?イーサリアムレイヤー2で最も資金ロックされる要注目プロジェクト
Optimism(オプティミズム)
Optimism(オプティミズム)は2019年に発表され、2021年12月にメインネット(アルファメインネット公開は2021年1月)がローンチされました。
元々はイーサリアムのスケーリング技術(処理能力を拡張する技術)である「Plasma(プラズマ)」を開発していたPlasmaグループから派生して作られた組織です。Plasmaグループで研究を行なっていたJinglan Wang氏らによって、Optimismは創業されました。
Optimismは、仮想通貨業界で有名な投資家の一人、アンドリーセン・ホロヴィッツ(Andreessen Horowitz:通称a16z)氏からも出資を受けるなどしており、業界でも非常に注目されています。
また、Optimismの独自トークンである「OPトークン」を2022年に入り発行したことでも話題を読んでいます。
Optimism(オプティミズム )とは?Rollups(ロールアップ)技術を採用する注目レイヤー2プロジェクトをわかりやすく解説!
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zkSync(ジーケーシンク)
zkSyncも、イーサリアムのレイヤー2プロジェクトです。
送金手数料を比較するサイト「L2 Fees」によると執筆時点では、イーサリアムで送金した場合に約10ドルかかる手数料が、zkSyncを利用すると約0.5ドルで済むと表示されています。
zkSyncが特徴的なのは、レイヤー2の技術である「ZK Rollups(ZKロールアップ)」が利用されていることです。送金などに特化したZKロールアップが利用されているレイヤー2プロジェクトの中で、最も資金ロック(TVL)が多いプロジェクトです。
ZKロールアップが実装されているプロジェクトの中で、zkSyncは非常に注目されているプロジェクトなので、ZKロールアップに関心がある方は、ぜひ深くまで調べてみると良いでしょう。
zkSyncは、「Matter Labs(マターラボ)」というスタートアップ企業によって開発されています。2021年11月には複数パートナーから5,000万ドル(約50億円)の出資を受けたことが発表されています。
過去にはイーサリアム公式の非営利財団である、イーサリアム財団から助成を受けるなどしており、資金調達の面からも注目を集めていることが伺えます。
zkSyncは2020年の6月にメインネットが公開されており、現在はアップデートバージョンのzkSync2.0の公開に向け開発が行われています(2.0のテストネットは公開済)。
zkSync(ジーケーシンク)とは?注目されるZKロールアップのレイヤー2ソリューションを初心者にもわかりやすく解説!
レイヤー2で仮想通貨は一段階上へ
レイヤー2技術が開発されると、仮想通貨はまた一段階上へ進むこととなります。というのも、ブロックチェーンはトリレンマと呼ばれる「スケーラビリティ」「分散化」「セキュリティ」の3つを叶えることができない、とされてきました。
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しかし、レイヤー2の技術が実用化されることでこのトリレンマが崩れることになります。すると、様々な部分において技術革新が見られるようになり、現状の仮想通貨のユースケースは一新され、本当に世界が必要としているユースケースが乱立していく可能性があります。
レイヤー2は今後の仮想通貨を占う、非常に大切な技術です。仮想通貨に興味のある方は、情報を追っていくと良いでしょう。
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