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ビットコインやイーサリアムを長年悩ませている「スケーラビリティ問題」。仮想通貨業界ではよく聞く言葉ですが、具体的にどのような問題なのかよくわからないという方もいることでしょう。
今回は「スケーラビリティ問題」について、初心者の方にもわかりやすく解説をしていきます。
スケーラビリティ問題とは
スケーラビリティ問題とは、仮想通貨で採用されているブロックチェーン、特に「パブリックブロックチェーン」と呼ばれる不特定多数の参加者によって稼働しているオープンな仮想通貨が持っている課題です。
それは簡単に言えば、膨大なデータ量を処理できない、というもの。
「パブリックブロックチェーン」では、例えて言うのであればデータを入れる箱の容量をあえて制限することで、問題なく稼働するセキュリティ体制が敷かれているような設定になっています。
そのため、逆を言えばデータを入れる箱の容量以上のデータは処理できない、ということ。つまり、世界中で仮想通貨が普及しても、世界の人がみんなでその仮想通貨を利用するとパンクしてしまう、ということ。
これが「スケーラビリティ問題」と呼ばれるもので、仮想通貨懐疑派の人によく指摘される仮想通貨の問題点です。
ブロックサイズを大きくすればいい?
このように聞くと、ビットコインなどのブロックチェーンのデータを入れる箱(ブロックサイズ)を大きくしてしまえばいいのではないか、という発想が出てきます。
しかし、もちろんそんなに単純なものではありません。例えば、ビットコインは全員が全員を監視することでその正当性を確立するネットワーク通貨です。
そのため「ノード」と呼ばれるネットワーク参加者は、全てのブロック(データ)をその端末に入れておかなければなりません。全てのデータを確認することで、正当性を確立しているからです。
つまりブロックサイズを単純に大きくしてしまうだけは、膨大な量のブロックを保存できるだけの大容量端末が必要になってしまうので「誰でも参加できる」という、ビットコインなどパブリックブロックチェーンの大きな特徴が失われてしまいまうのです。
解決策
そんな仮想通貨を悩ませているスケーラビリティ問題を、解決すると近年注目を集めているのが「レイヤー2(セカンド)」と呼ばれる技術です。
レイヤー2(レイヤーセカンド)とは、「レイヤー1」であるブロックチェーン以外の部分でデータ処理をする際に使用されるチェーン、またはその技術のことを言います。
ビットコインやイーサリアムなどで使用されているブロックチェーンと合わせて利用することで、膨大な量のデータ処理を行うことや、よりスピード感のあるデータ処理を行うことができるとされています。
レイヤー2(レイヤーセカンド)と一口に言っても、様々なパターンの技術があり、いくつものレイヤー2プロジェクトが進められています。特定のデータのみを処理するために開発されているものや、すべてのデータを丸ごとレイヤー2で処理するものなどがあります。
レイヤー2の技術自体が開発段階のため、言葉の定義はその時やそのプロジェクトなどによって異なることが多いです。
ただ、大元であるレイヤー1の補完的な役割を目指していること、そしてレイヤー1以外の部分でデータ処理を行うのを目指していること、などの技術やプロジェクトが総称して「レイヤー2」と呼ばれてます。
レイヤー2によってスケーラビリティ問題は解決されるのではないか、と言われ、近年注目を集めています。
〜レイヤー2について詳しくはこちら〜
レイヤー2(セカンド)とは?仮想通貨の今後を占う最新技術を初心者にもわかりやすく解説!
ビットコイン「ライトニングネットワーク」
ビットコインは、スケーラビリティ問題に長年悩まされています。世界で最も有名な仮想通貨であるビットコインは、多くの利用者が一度に送金しようとすると「詰まり」を起こします。
ビットコインは、セキュリティなどの観点からデータを入れる箱(=ブロックサイズ)の容量を一定としているため、それ以上の送金データをビットコインでは一度に処理することができません。
もちろん、時間をかければ送金することができますが、決済ツールとして送金に時間がかかってしまうことは、決定的な欠点となります。
そこで、ビットコインはレイヤー2技術として「ライトニングネットワーク」と呼ばれるプロジェクト(プロトコル)が開発されています。
ライトニングネットワークは、ビットコインのブロックチェーン上ではなく、ライトニングネットワークと呼ばれるネットワーク上でビットコイン送金のデータを処理する、という代表的なレイヤー2プロジェクトです。長年開発が行われており、すでに実用段階まで進んでいます。
ライトニングネットワークは、信頼の置ける第三者を必要としないところが特徴的です。つまり、ビットコインのように、誰か特定の権限を持った人物や組織が存在せずにスケーラビリティ問題を解決しているのです。
現在ライトニングネットワークが普及しきれていないのは、開発面や、そのネットワークをつなぐポイントとなるノード(中継点)が不足していることなどが理由としてありますが、いずれは解決し、ビットコインの利便性が向上することとなるでしょう。
イーサリアム「ロールアップ」ほか
イーサリアムも、スケーラビリティ問題に悩まされる仮想通貨の代表格です。
イーサリアムも現在は、ビットコインと同様にデータ容量を一定にしているため、多くの利用者が一度にデータ送信をすると「詰まり」のような状態になります。
ただ、イーサリアムはビットコインよりもスケーラビリティ問題について、色々な側面で解決を取り組んでいます。その理由として、決済ツールとして開発されているビットコインとは違い、イーサリアムは「ワールドコンピューター」となることを目指して開発されているからです。
つまり、決済だけではなく様々な用途にイーサリアムは利用されることを目指しています。そのため、イーサリアムのデータ処理需要は、ビットコインと比べ非常に多くのものが想定されているためです。
イーサリアムでは、スケーラビリティ問題に対し「イーサリアム2.0」と呼ばれるアップグレードを行うことで解決が目指されていました。イーサリアム2.0への開発は現在も進められているのですが、まだ完成は先の予定です。そのため、昨今のDeFiやNFTなどのデータ処理需要の高まりにレイヤー2技術を利用することで応えよう、という動きが活発化してきたのです。
イーサリアムのレイヤー2プロジェクトはいくつもありますが、代表的なものに「ロールアップ(Rollups)」と呼ばれる技術があります。これはイーサリアムのデータ処理を、イーサリアムのブロックチェーン上以外でも行えるようにするレイヤー2技術です。
この技術を利用したプロジェクトがいくつも開発されており、すでにユーザーに利用されているものもあります。
〜ロールアップについて詳しくはこちら〜
ロールアップ(Rollups)とは?イーサリアムを躍進させる技術の仕組みについて初心者にもわかりやすく解説!
スケーラビリティ問題は解決するか?
スケーラビリティ問題は、常にビットコインなどのパブリックブロックチェーンを悩ませてきました。しかし、開発者はこの問題と向き合い、一歩ずつ解決に向けて進んでいます。
実際に解決するかどうかは神のみぞ知るところですが、解決した場合には、仮想通貨のさらなる飛躍は間違いない、と言えるでしょう。
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