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アメリカ発のインフレで、世界的な経済不安が巻き起こっています。アメリカが低金利政策をストップしその他の国々(日本以外)がその後に続いて高金利政策を打ち出した結果、次は景気後退が起こるのではないかという声が上がってきています。
今回は、過去の景気後退でビットコインや仮想通貨市場がどのように動いてきたかを初心者の方にもわかりやすく解説します。
過去の景気後退局面
ビットコインが稼働をスタートさせ、この世に誕生したのが2009年。その後、実は景気後退は1度しか来ていません。
厳密に言えばリーマンショック時の景気後退が2007年12月から2009年6月なので、そこも多少差し掛かっていると言えますが、ビットコインはリーマンショックの時に誕生した新たな通貨として有名です。さらに、その頃はまだビットコインの金融市場がまだありませんでした。そのため、今回はリーマンショックはビットコインは経験しなかったものとします。
ビットコインが経験した景気後退はコロナショックです。コロナによる景気後退は2020年2月から2020年4月でした。
ちなみに、これらの景気後退観測は全米経済研究所(NBER)が公表しているものです。
つまり、先にも述べた通りビットコインや仮想通貨市場は景気後退局面(リセッション)を1度しか経験していないということになります。
参考にするデータとしては少ないですが、とりあえずはこの1度の景気後退でビットコインがどのように動いたのかを確認しておきましょう。
景気後退でのビットコインの値動き
チャートを見てみます。
2022年2月から4月まででこのような動きを見せています。赤線ではその期間を示す線で、筆者が追加しています。
市場がショックを受けるとほぼ全ての金融資産がダメージを受けますので、ビットコインも例に漏れずダメージを受けたことがわかります。
2月1日の始値が9339ドルで4月30日の終値が8627ドル。この期間の最高値は約10485ドル、最安値は約4427ドル(約60%の下落)です。
続いて、ダウ平均の同じ期間のチャートを見てみます。
ほぼ同期間のチャートを表示しています。赤線は筆者の追加です。
2月3日(2月1.2日は土日)の始値が28319ドル、4月30日の終値が24345ドルです。最高値は約28543ドルで、最安値は約18174ドル(約40%の下落)となっています。
ちなみに、この時の金の値動きを見てみます。
パッと見てダウやビットコインとは異なる形のチャートになっていることがわかると思います。3月にはダメージをしっかりと受けてはいるものの、下げ幅や下げ方が大きく異なっています。
ここから、わかることは景気後退時にはビットコインはダウ平均と非常に似たようなチャートの値動きになるということです。もちろん、データが1つだけなので明確なことは言えませんが、そのような結果になっています。
ただし、ダウ平均は実体経済の影響を強く受けやすいため、ビットコインに比べてショック前の水準に戻るのには時間がかかります。そのため、景気後退による市場の暴落の後、反発はビットコインやゴールドの方が早く、株価の先行指標となり得ることがわかります。
金利上昇局面と下落局面
ただし、コロナショックの際の景気後退に関しては、すぐに金融緩和に国が動いたため金融市場全体が元の水準に戻るのが異常に早かったということがあります。ビットコインもその恩恵は受けており、2020年のコロナショックの後ですぐに2021年末に向けたバブルに入っていきました。
しかし、今はインフレが起きているため容易には金融緩和を行うことができない状況になっています。金利はゼロではないので金利を下げることも可能ですが、金利を下げればインフレは加速します。現金給付を行えば、これも需要を促進させるためインフレが加速します。
しかし、金融緩和をしなければ金融市場はなかなか復活することができません。このようにインフレと景気後退が起こるのはビットコインにとっても初めてのこととなるため、なかなか今後の展開を予測するのは難しいでしょう。
インフレに強いゴールドのように伸びていくか、それとも実体経済に大きく影響される株式市場のように伸び悩んでいくのか、今後の展開には注目です。ちなみに、この点については以下の記事でも詳しく分析をしているので興味のある方は確認してみていただければと思います。
最後に、金利上昇局面でのビットコインの値動きを確認してみます。
2016年12月から2018年12月までの金利上昇局面。この時はアメリカの政策金利は、0.5%から2.5%へ2年かけて上昇しています。
こちらは、ダウ平均の値動きです。
景気後退やインフレがない中での金利上昇局面では、ビットコインもダウ平均も当初値動きには大きな影響がなかったことがわかります。そして、ビットコインは2017年末から2018年始めにかけてバブルを形成し、その後暴落しています。この暴落は景気後退はなかったものの、金利上昇が行きすぎてなかなか価格を戻すことができなかった可能性があります。ダウ平均は持ち堪えていましたが、2018年末に大きな調整が起き、金利上昇はストップしました。
これらを総合すると、やはり金利上昇はどちらにしてもビットコインにとってプラスとはなり得ないことがわかります。
となると、インフレ+金利下落はビットコインにとってプラス局面、インフレ+金利上昇はビットコインにとってはマイナス局面、景気後退はビットコインにはマイナス。ただし、株価ほどマイナスではなく、ゴールドほど影響なしではない、となるでしょう。
売買の際はこれらのことを考え、判断すると一つの指標になるのではないかと考えます。
※当記事は市場を分析した結果を示しています。投資を勧めるものではありません。
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