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イーサリアムのレイヤー2の中で、非常に注目されている「Arbitrum(アービトラム)」というプロジェクトがあります。
仮想通貨の情報を収集していれば、一度は耳にしたこともある人も多いかもしれません。今回は、アービトラムとはどのようなプロジェクトか、そして今後どのようになっていく可能性があるかについてなどを、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
目次
Arbitrum(アービトラム)とは
Arbitrum(アービトラム)は、イーサリアムのレイヤー2プロジェクトのうちの一つです。アービトラムを利用することで、イーサリアム上アプリケーションの処理能力を向上し、安い手数料を実現することが目指されて開発されています。
正確には、ユーザーが接続するアービトラムのアプリケーション名は「Arbitrum One(アービトラム ワン)」ですが、アービトラム ワンは多くの場合「Arbitrum(アービトラム)」という名前で呼ばれます。
そのため、ここでも基本的には「Arbitrum One(アービトラム ワン)」を「Arbitrum(アービトラム)」と表記して説明します。
アービトラムは、2018年に創業されたOffchain Labs(オフチェーン ラボ)という企業によって開発されています。2021年にメインネットが公開された比較的新しいプロジェクトですが、資金ロック額(TLV)はレイヤー2プロジェクトの中で最も多く、2022年1月時点では約29億ドル(約3,300億円)となっています。
この額は、イーサリアムのレイヤー2プロジェクトの総資金ロック額の50%を占めており、いかにアービトラムが注目されている、そして既に利用されているプロジェクトかがわかります。
Arbitrumと接続されているアプリケーション
アービトラムはいくつかのアプリケーションと接続されています。
・MetaMask/メタマスク(ウォレット)
・Uniswap/ユニスワップ(DEX)
などの有名アプリケーションと接続されており、アービトラムネットワークにロックしている資金をアプリケーションで利用することなどが可能となっています。
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今後、予定されている接続先は
・Aave/アーベ(DeFi)
・Binance/バイナンス(取引所)
などです。接続先が増えれば、アービトラムの利便性が上がるため、資金ロックも増え、さらに接続先が増える、という好循環が生まれていく可能性があります。
Arbitrumのトークン
アービトラムは、2022年1月現在ではまだ独自トークンを発行しておりません。レイヤー2プロジェクトでは、独自トークンを発行しガバナンスや資金調達に利用することがあります。
しかし、アービトラムはまだそのようなことをしていないため、アービトラムプロジェクトに投資するという選択肢は一般の投資家にはありません。
今後独自トークンが発行される際に、「給付金」や「エアドロップ」と呼ばれるトークンの配布が行われる場合があります。アービトラムネットワークに資金をロックしている人がその対象となることがあるため、給付金を狙って資金をロックしてみるのも一つの手だと言えるでしょう。
実際にアーボトラムネットワークへ資金をロック(ブリッジ)する方法などは、以下で詳しく解説しておりますので、ご参考にしていただければと思います。
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Arbitrumの仕組み
アービトラムは、「ロールアップ(Rollups)」と呼ばれるレイヤー2技術を利用して開発が進められています。
以下は、「レイヤー2とは」について知識がある前提で話を進めていきます。もしレイヤー2についてあまりよくわからない、という方は以下をまずお読みいただき、理解しておくと良いでしょう。
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ロールアップは、レイヤー2でデータの計算を行い、データの証明(取引/トランザクションの証明)はレイヤー1が行う、という部分が特徴的なレイヤー2のコア技術です。レイヤー1にも、いわばセキュリティ部分を担保してもらうことにより、セキュアかつ高速なデータ処理ができるように設計します。
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そして、ロールアップには主流なモデルが2つあります。それは「ZKロールアップ(ZK Rollups)」と「オプティミスティック ロールアップ(Optimistic Rollups)」と呼ばれるモデルです。二つのモデルの大きな違いは、レイヤー2で計算したデータの証明方法です。これは、アービトラムの仕組みを理解すると理解が深まります。
アービトラムはオプティミスティック ロールアップ(Optimistic Rollups)寄りのモデルを採用して開発されています。
アービトラムの技術はアービトラム ロールアップ(Arbitrum Rollup)と呼ばれていますが、オプティミスティック ロールアップの原理と非常によく似ています。
先ほども述べたとおり、一般的にロールアップ技術ではレイヤー2でデータの計算を行い、データの証明(取引/トランザクションの証明)はレイヤー1が行うということが行われます。
アービトラム ロールアップでもそれは同様で、アービトラム ワンと呼ばれるレイヤー2ネットワーク内でまずデータの処理が行われ、その結果がレイヤー1であるイーサリアムブロックチェーンに書き込まれます。
この時、オプティミスティック ロールアップもアービトラム ロールアップも書き込まれる際にそのデータが正しいかどうかは検証が行われません。一旦正しいものとして書き込まれます。このように一旦正しい、として書き込むことを「Optimistic(=楽観的)」なイメージがあることから「オプティミスティック ロールアップ(Optimistic Rollups)」と呼ばれています。
そのデータは、一定のチャレンジ期間が設けられることになります。このチャレンジ期間では、アービトラム ワンから書き込まれたデータが不正のないものか、チャレンジャーは指摘することができます。もし不正だった場合にはそのデータは削除されるとともに、書き込んだバリデーター(Validator/検証者)は罰則が与えられることになります。そしてチャレンジャーは見事指摘することができると、報酬が与えられます。
このようにして、アービトラム ロールアップでは、レイヤー2で計算を行って早いデータ処理速度と安価な手数料を叶えつつ、不正を防止する仕組みになっています。
なお、書き込まれたデータには一定のチャレンジ期間が設けられます。このような不正を防止する仕組みは「fraud proof(フラウド プルーフ)」と呼ばれ、オプティミスティック ロールアップでも同様に利用される仕組みです。
fraud proof(フラウド プルーフ)があるモデルは、レイヤー2からレイヤー1へ資金を移動する際などに時間がかかります。なぜなら異議申し立てができるチャレンジ期間が必要だからです。そのため、この移動時間がオプティミスティック ロールアップもアービトラム ロールアップの欠点の一つと言われています。
ZKロールアップ(ZK Rollups)
ZKロールアップ(ZK Rollups)では、レイヤー1への書き込み部分の証明の方法が少し違います。
オプティミスティック ロールアップやアービトラム ロールアップでは、正しいものとしてレイヤー1へ書き込んで後で検証する「fraud proof(フラウド プルーフ)」、という方法が取られますが、ZKロールアップでは、レイヤー1へ書き込む際に「ゼロ知識証明」と呼ばれる手法を利用して、不正がないかどうかを証明します。
この部分がオプティミスティック ロールアップと、ZKロールアップの大きな違いになります。
ZKロールアップについて詳しくは以下をご覧ください。
ZKロールアップ(ZK Rollups)とは?大注目のイーサリアムのレイヤー2についてわかりやすく解説!
Arbitrumの将来性
アービトラムは、現状では非常に有望視されているレイヤー2プロジェクトです。資金ロック額のシェアが50%という数字からもわかるように、多くの人が既にアービトラムネットワークへ資金を集めています。
そのため、短期的な将来としては、レイヤー2がメインストリームになる過程で非常に注目されることになるでしょう。ただし、長期的にはまだまだ未知数です。というのも、レイヤー2で使用される技術で、注目されているものは先にも述べている通り
「オプティミスティック ロールアップ(Optimistic Rollups)」
「ZKロールアップ(ZK Rollups)」
の二つがあります。アービトラムはオプティミスティック ロールアップ系ですが、長期的にはZKロールアップが支持されていくだろうと予測する人が多くいます。
まだどちらの技術も開発段階で完璧ではありませんが、今後ZKロールアップが主流になっていく場合には、アービトラムも技術的な修正を求められることになるため、レイヤー2の競争で苦戦を強いられることになるかもしれません。
ただ、アービトラムは実はZKロールアップの技術を取り入れていく事を発表しています。また、Arbitrum Nitro(アービトラム ニトロ)と呼ばれる、アービトラム ワンの進化系とも言えるプロジェクトを進行中としています。
アービトラム ニトロでは、アービトラム ワンよりさらに早い処理速度と安い手数料が実現するとしています。
このように、まだ技術的な部分が未完成であるレイヤー2の将来は、技術的なことに注目すると将来のことが少し見えやすくなってくるでしょう。
以上、アービトラム/アービトラム ワンの仕組みや現状について解説しました。アービトラムが今後さらに多くの人に利用されるプロジェクトになれるかどうかは、技術的なことを含めて情報収拾していくと良いでしょう。
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