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2022年1月25日、国内大手の暗号資産取引所「bitbank」にメイカー(MKR)という暗号資産が日本で初上場しました。これまで日本の取引所での扱いがなかったので、あまりなじみがない人が多い銘柄ではないでしょうか。
しかしこのメイカー、世界的には暗号資産の時価総額ランキングでも上位に食い込む人気の銘柄です。またステーブルコイン「DAI(ダイ)」との関係性から、DeFi関係のサービスに参加する際に非常に有用な通貨でもあります。
メイカーは明確な目的を持って作られた暗号資産です。このページではその目的も含めメイカーの基本情報をまずお伝えし、ステーブルコインDAIとの関係、そしてメイカーを保有することで得られるメリットについてわかりやすく解説します。
暗号資産メイカー(MKR)とは?
メイカーは実は世界的に人気の高い銘柄です。2022年2月9日現在、CoinMarketCapの時価総額ランキングでは56位。順位が近い銘柄でなじみのあるものを探してみると52位にAave、55位にPancakeSwap、61位にEnjin Coin、85位にNEM、86位にSymbolなどがあります。このことからメイカーの人気の高さも伺えます。
日本での取扱いはbitbankのみですが、海外ではCoinbase、Binance、FTXといった有名な取引所に上場しています。
メイカーを開発したのはMakerDAOという企業です。
先ほどメイカーには明確な目的があると言いました。bitbankの公式ページには以下のような記載があります。
メイカー(MKR)とは、ステーブルコイン「DAI(ダイ)」の発行・管理、レンディングプラットフォームを提供するプロジェクトです。MKRはこのプラットフォーム上でのガバナンスに使用することができます。
この一文を読み解きながら、メイカーについて理解を深めていきましょう。
ステーブルコイン「DAI」とは?
さっそくメイカーの説明に移りたいところですが、メイカーを理解するためにはまずステーブルコインDAIについて説明をしなければなりません。
となると、そもそも「ステーブルコインって何?」というところから理解しないといけないですよね。まずはステーブルコインについて簡単に解説します。
ステーブルコインは「法定通貨と同じレートで交換できる」暗号資産のことです。テザー社が発行している「USDT」がステーブルコインとしては非常に有名です。
1USDTは1ドルと同じ価値を持つようにできています。つまり1USDTは1ドルと交換が可能ということです。
「同じレートで交換できるって言うけど、だったらドルを使えばよいのでは?USDTも含めステーブルコインの存在意義って何なの?」と思われるかも知れません。
この問いについては、そもそも暗号資産の存在意義を考える必要があります。昨今のNFTの盛り上がりを受けて、暗号資産でNFTを購入した経験がある方もいると思います。NFTの売買であれば使用したのは主にETHでしょうか。
そのときに「ETH=世界通貨」という感覚を持たれた方も多いと思います。全世界に対して開かれたNFTマーケットプレイスで、全世界共通で使える通貨ETHで買い物ができる。そう、そもそも暗号資産は国という枠組みを超えて世界共通で使える通貨という機能を期待されている側面があります。
ところが、この便利な暗号資産には非常に大きな問題があります。それはボラティリティ(価格変動の振れ幅)が非常に大きいこと。一晩で保有している暗号資産の価格があっという間に下落した、という経験をお持ちの方もいますよね。
「こんなに価格が上下する通貨、まともに使えないじゃないか!」ということで、そこを解決するために生まれたのがステーブルコインというわけです。
ステーブルコインの価値は法定通貨と連動しているため安定が保たれる。なおかつ、暗号資産としての利便性(世界中に送金できたり、決済できたりする)を有しています。
そして、DAIもそのステーブルコインの1種というわけです。交換レートは1DAI=1ドル。
通常、ステーブルコインのレートは連動している資産であるドルそのものによって担保されています。しかしDAIは連動しているのはドルですが、その価値はイーサリアムのスマートコントラクトによって担保されています。
ここは少し理解が難しいかと思います。例えばUSDTの場合、USDTを発行しているテザー社自身が「発行しているUSDTと同じ額の米ドル」を持っていないと価値の裏付けがないことになります。価値の担保がテザー社という中央集権的な存在1社に委ねられているというわけです。
一方、DAIの場合はイーサリアムが担保となっています。誤解を恐れずに言うと、イーサリアムネットワークによって分散的に価値を担保している。1社ではなく、世界中のみんなで価値を担保しているということになります。さすがに極論めいた説明ですので、より詳細を知りたい方はホワイトペーパーにも目を通すことをオススメします。DAIのホワイトペーパーは日本語版も用意されています。
DAIの発行・管理をするプロジェクトが「Maker」
ここでようやく「メイカー(MKR)」の話に戻りましょう。
DAIというステーブルコイン、その発行や管理を行っているのがMakerというプロジェクトであり、そのために発行されているトークンがメイカーということになります。
メイカーには、「担保付債務ポジション(CDP)」と呼ばれる独自のスマートコントラクト機能があります。この機能を利用して、DAIそのものを発行したり管理したりしています。
具体的には、わたしたちは自身の持つETHを担保としてCDPという場所に預けることにより、DAIを発行することができます。預け入れたETHの分だけDAIは発行でき、これは誰にでもできます。
このように、DAI自体の運営を管理していくプロジェクトがメイカーです。
そしてその運営方法は、先ほどのテザー社のように中央集権的な組織に任されているわけではありません。ガバナンストークンであるメイカーを保有している人たちによって分散的に行われています。
つまりあなたも「暗号資産メイカーを保有することによって投票権を持ち、ステーブルコインDAIの運営に参加できるようになる」ということ。これがメイカーという暗号資産の最大の特徴であり、最初に述べた「メイカーは目的を持った暗号資産である」という言葉の意味です。
メイカーの今後を決める要素は?
ただ単に暗号資産を購入して値上がりを期待して待つだけではなく、ステーブルコインDAIの運営に関わっていくことができる点において、メイカーはとても面白い銘柄だと思います。
また1社のみで運営されているステーブルコインと異なり、イーサリアムのおかげで分散的に運営ができている点も、投資対象として評価できるポイントです。
メイカーの今後を占うポイントを1つあげるとすれば、DAIそのものが有用性を保ち続けられるかという点があります。
DAIが広く決済等に使われるようになり、暗号資産としての利便性を強めていくことができれば、そのDAIの発行・管理に関わるメイカーの価値も高まる可能性があります。逆にDAIの成長が見込めなければ、メイカーを保有してDAIに関わっていくこと自体の魅力がなくなるかもしれません。
メイカーの売買を検討する際には、プロジェクトとしてのMakerの動向・DAIの運営もあわせてチェックしておくことをオススメします。
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