【Web3.0とは[連載]】Web3.0をとにかくわかりやすく簡単に(4)〜ゼロ・トラスト・インタラクション・システム〜

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第3回では、一般的にユーザーが触れるアプリケーションについて解説することで、Web3.0をより身近な例として理解することを試みました。

さて、続いては話を一度大きな枠組みに戻して、Web3.0とは結局なんなのかについて深掘りしていきたいと思います。

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ゼロ・トラスト・インタラクション・システム

第1回で、Web3.0の定義としてギャビン・ウッド氏の記事を引用し、Web3.0とは「ゼロ・トラスト・インタラクション・システム」である、と紹介しました。ここでは、ゼロ・トラスト・インタラクション・システムについてより詳しく掘り下げていきます。

Web3.0の一つの解がゼロ・トラスト・インタラクション・システムだとするのであれば、ゼロ・トラスト・インタラクション・システムを理解することで今後世界に訪れるかもしれないWeb3.0の姿が見えてくるはずです。

ゼロ・トラスト・インタラクション・システムは、少し意訳すると「相信用が必要のない仕組み」と読むことができます。そしてさらに「信用が必要のない仕組み」とは、「誰かを無条件で信用しなくても利用できる仕組み」と言い換えることができます。ここの言い換えについては、議論になり得ますが、私はこのように言い換えられると考えています。

「ゼロ・トラスト」や「トラストレス」という言葉がよく使われます。「信用が必要ない」と訳されることがほとんどですが、実はこれは少し誤解を生む原因となっています。これらの言葉はWeb3.0の中では「信用が必要ない」のではなく「無条件に信用することがない」という意味で使われているのだと、私は考えています。

信用はアプリケーションなど、どのようなサービスでも必要なものです。ビットコインの仕組みは、「信用が不要だ」と言われていますが、実際はビットコインが「今後も稼働していく」という”信用”をしている人たちがビットコインを動かしているため、”信用”は存在しています。

しかし、ビットコインなどの真のWeb3.0アプリケーションにおいては、「誰かを無条件で信用」する必要ありません。なぜなら、サービスのルールとも言える核のソースコード(プログラム)は自分の目で確認することができるからです。

そして、ビットコインがプログラム通りに動いているのかも確認することができます。ここでは話が難しくなるため、どのように確認するのか、何を確認すればいいのかは省略しますが、ビットコインはその全てに透明性があり、全てを確認することができるのです。ビットコインがもしプログラム通りに動かなかった場合、それを誰かが発見した瞬間にシステム崩壊が待ち受けています。崩壊していない、ということは少なくともプログラム通りに動いている、ということです。

ビットコインの公開されたソースコードと取引台帳であるブロックチェーン、そしてマイニングする人の経済的なインセンティブがそれを可能にしています。

無条件にビットコインのシステムを信用してビットコインに触ることはできますが、やろうと思えばビットコインのシステムを自分の目で隅から隅まで確認することができるのです。このような意味で、ビットコインはWeb3.0の定義の一つであるゼロ・トラスト・インタラクション・システムを再現していると言えるでしょう。

ちなみに、仮想通貨の中で2番目に有名なイーサリアムのシステムも、ゼロ・トラスト・インタラクション・システムと言えます。仮想通貨の中でゼロ・トラスト・インタラクション・システムを実現できているものは意外と少ないので、仮想通貨=Web3.0とも言い切れません。

このように、Web3.0とはゼロ・トラスト・インタラクション・システム、つまり「誰かを無条件で信用しなくても利用できる仕組み」が採用されているサービスで作られるものなのです。巷ではWeb3.0というバズワードの元、Web3.0”関連”サービスが多く広まっています。それらは必ずしも、「誰かを無条件で信用しなくても利用できる仕組み」というわけではありません。

もちろん、それらの関連サービスが悪い、というわけではないですが、Web3.0を正しく理解するためにはまず「無条件に誰かを信用する必要がない」のかどうかを一度立ち止まって考えるといいでしょう。

なぜなら、誰かを無条件で信用する必要があるサービスはWeb3.0でもなんでもなく、Web2.0のサービスで、Web2.0のサービスならば既に多くの素晴らしいプロダクトがこの世に溢れているからです。わざわざ少し使いづらい新しいWeb3.0関連サービスを利用する必要はないのです。

 

Web3.0はオープンソースでしかあり得ない?

今お話してきたような側面からWeb3.0の説明をすると、Web3.0はオープンソース、かつパブリックブロックチェーンでしか実現し得ないのではないか、という議論が自然と生じます。

この問いに対する答えは、私は「Yes」です。

Web3.0は今やさまざまな定義があるので、それぞれの定義において、この問いに対する答えはあるでしょう。しかし、原理主義的な考え方では大方Yesとなるはずです。オープンソース、つまりソースコード(プログラム)が一般的に公開されていること。さらにパブリックブロックチェーン、つまり誰もが閲覧・参加することができるブロックチェーンでしか「誰かを無条件に信用する必要がない」仕組みを作ることができません。

公開されていて、透明性のある状態でなければ元々言われていたWeb3.0は実現できないのです。

しかし、現実問題としてそのようなWeb3.0アプリケーションが必要なのか、そしてそのようなサービス群がWeb2.0サービスを圧倒していくか、という話はまた別の話になります。

例えば、ビットコインがこの世に必要かどうかは私たちが決めることです。人によっても今は答えが異なることでしょう。これから変わっていく世界、そしてこれから変化していく人間にとってWeb3.0が必要かどうか。これを考えることは、これからWeb3.0がどのような形で私たちの前に現れるのかを想像するヒントをくれるでしょう。

そして、もしそこまで厳密なWeb3.0サービスが必要ではない、となった場合(私はそうなる時期がまず到来すると予想します)は、Web3.0サービスは必ずしも全ての側面において「無条件に誰かを信用する必要がない」という必要は無い、という状態(世の中の雰囲気)がやってくるでしょう。

ある程度は情報が公開されていて、自分の目で信用に値するアプリケーションかを確認できる。そして、ある部分では運営を信用する。運営は多くの情報が公開されているなかで、信用を勝ち得るための行動を取る。これからは、そんなサービスが増えていく時期を経る可能性は高いでしょう。既に、そのような時代に足が入っているとも言えます。

Web3.0はあくまで言葉です。言葉の定義は時代や環境によって変化します。時代の流れと共に、Web3.0を考えていくと、Web3.0をより理解しやすくなるでしょう。

 

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