【Web3.0とは[連載]】Web3.0をとにかくわかりやすく簡単に(2)〜Web2.0の思考とWeb3.0の思考〜

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Web3.0とは何か、に挑むシリーズ【Web3.0とは】

第2回は、Web3.0を第1回よりもさらに深く解説していきます。Web3.0の概要について、とにかくわかりやすく解説することを心掛けています。

第1回 「Web3.0をとにかくわかりやすく簡単に(1)〜今の世の中に問題があるという前提〜」

第2回 Web3.0をとにかくわかりやすく簡単に(2)〜Web2.0の思考とWeb3.0の思考〜

第3回 Web3.0をとにかくわかりやすく簡単に(3)〜重要な6つのキーワード〜

 

第1回で、Web3.0はWeb2.0の問題点を解決する可能性のあるWeb、ということを説明しました。ここからは、Web2.0にどのような問題点があるのか、そしてWeb2.0的思考とはどのようなものなのかを解説していきます。

それとともに、Web3.0がどのようなものかが理解できてくるでしょう。

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Web2.0とWeb1.0

Web3.0がどのような課題を解決するのか、の前にWeb2.0とWeb1.0がどのようなものなのかを簡単に解説します。

Web1.0とは
Web1.0とは

Web1.0は、1990年ごろに誕生したと言われています。(さらに前から、とする分類方法もあります)Web1.0世代では、簡単に言えばインターネットはただ「読むだけのもの」です。一方通行のインターネット、とも言えます。

この世代のWebは、情報を作成した人が配信し、受け手はそれを読むだけで終わります。メッセージをやり取りすることはできますが、相手とWeb上でメッセージを編集しあうなどの双方向性は基本的にありません。あくまでメッセージは一方通行となります。

HTMLというプログラミング言語や、URL(URI)というWebページの識別子、HTTPやWWWという概念が生まれたのがこの世代です。インターネット回線が遅かったことも、当時のWebが単純な静的コンテンツしかなかった理由の一つです。

Web2.0とは
Web2.0とは

Web2.0はSNSなどが広く普及し、双方向にやりとりができるようになった世代です。現在はWeb2.0の時代と言えます。Web1.0の時のように、ただ閲覧するだけではなくお互いに情報を発信したり、それぞれが情報を編集したりすることができるようになりました。

Twitter・Facebook・Youtubeなどを思い浮かべていただくとわかりやすいでしょう。これらのサービスでは、利用者同士が情報を作成し、お互いに配信しあうことができます。そこにコメントを入れたり、リツイートの機能で拡散することができ、一方通行のコミュニケーションではありません。

静的なサイトの閲覧だけではなく、HTMLなどのプログラミング言語を知らない人でもブログやサイトなどを作ることができるブログサービスや、サイト作成サービスも誕生しました。Web1.0からさらに情報が爆発した世代です。

回線も速度が上がり、動画や音声も多くの人が簡単に配信できるようになり、様々な形の情報が双方向にやりとりされるようになりました。

このようなWeb2.0の世代が誕生した結果、生まれたのが「GAFA」です。GAFAは、「Google(グーグル)」「Amazon(アマゾン)」「Facebook(フェイスブック)」「Apple(アップル)」の頭文字をとっており、これらの巨大企業は現代社会を象徴するサービスを展開しています。

GAFAが巨大になったおかげで、検索をすれば欲しい情報が手に入るようになりました。欲しい本があればインターネットですぐに買えます。遠く離れた友人の近況も逐一知ることができますし、ポケットにパソコンのような情報端末が入るようになりました。

一方で、ある問題点が出てきました。その問題点とは、「一部の企業が多くの個人情報を持っている」ことです。もちろん、その他にも問題点はありますがここではわかりやすくするためにひとまず、「一部の企業が多くの個人情報を持っている」という問題点に焦点を当てて話を進めていきましょう。

 

個人情報は誰のもの?

Web2.0の世界では、インターネット上のサービスを提供する企業が多く存在しています。インターネットのサービスを手軽に利用でき、便利になった一方で出てきた「一部の企業が多くの個人情報を持っている」という問題。しかし、そもそもこれがなぜ問題なのでしょうか?

個人情報とは何か、についてまずはおさらいしてみましょう。個人情報保護法では、「個人情報」は以下のように定義されています。

第二条 この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。次項第二号において同じ。)で作られる記録をいう。第十八条第二項において同じ。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)
二 個人識別符号が含まれるもの引用:平成十五年法律第五十七号 個人情報の保護に関する法律(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415AC0000000057)

噛み砕くと個人情報とは、「氏名、生年月日その他」で「特定の個人を識別することができるもの」などのことを指します。このような個人情報を、現在のWeb2.0の世界では一部の企業が大量に保有するということが起きています。

 

Web2.0的思考とは

最も分かりやすい例を出すと、Facebookというサービス。Facebookを利用する際には、様々な個人情報を入力する必要があります。それらの入力はサービスを利用するために必要なものとされていますが、入力した個人情報はどこへ行ってしまうのでしょうか?

私たちユーザーは、実は深く考えずに個人情報の入力を行ってます。私たちが入力した個人情報は、Facebookを運営するメタ・プラットフォームズ(以下、メタ社。「フェイスブック」から2021年に改名されました。)という会社へ提供され、管理されるのです。

もちろん、メタ社は提供された個人情報を紙に記載して管理しているわけではありません。「サーバー」と呼ばれる、データの”管理BOX”のような場所で管理をしています。Facebookの利用者数は世界で30億人とmメタ社は発表しています。(参考:2021年4Q決算 https://s21.q4cdn.com/399680738/files/doc_financials/2021/q4/Q4-2021_Earnings-Presentation-Final.pdf)となると、メタ社のサーバーには30億人分の個人情報が入っているということになります。

さらに、FacebookはSNSなので投稿された内容にも個人情報は含まれます。そのため、単純計算で言えば30億人分以上の個人情報がメタ社に集まっていることになります。膨大な個人情報が、一つの企業の手の中にあるのです。

「でも、企業も信頼を無くしたくないから、悪用しないし、管理も適切に行うでしょ?別に問題はないのでは?」

そう思ったあなた。その考え方こそが「Web2.0的な思考」なのです。Web2.0では、特定の組織が個人情報などのデータを管理するのが当たり前です。そのため、ユーザーもその組織が適切な管理をすることを前提として情報提供を行います。

しかし、どのような組織でも様々なリスクが存在するため、個人情報が流出してしまうということはあり得ます。どの企業も適切なデータ管理を行おうとしていますが、情報漏洩事件は世界で後を絶ちません。内部犯行、サイバー攻撃、人為的ミスなどが原因で起こり得ます。

「個人情報の漏洩くらい」と思う方もいるかもしれませんが、個人情報は現代社会では守られるべき個人の財産です。個人情報が悪意のある人の手に渡ってしまえば、あなたの個人情報を利用した詐欺をあなたの知人へ行うかもしれません。また、あなたへあの手この手を使って悪さを仕掛けてくるかもしれません。

漏洩だけではなく、もう一つ問題点があります。それは個人情報を利用してさらにサービスを開発できる、という点です。これは善悪として語るべきものではありませんが、Web2.0について深く掘り下げるためにあえて問題点として挙げています。

例えば、あなたの個人情報とAmazonでの購入履歴は全てAmazon社が握っています。これを全ユーザー分集めて、分析すれば、あなたと似たような属性の人が購入している物をあなたへおすすめすることができます。統計的に購入確率が高いものをおすすめするので、購入の可能性は高くなるでしょう。すると、雪だるま式にAmazonでの購入履歴と、売り上げが増えていくことになります。

結果、Amazonのライバルはいなくなり、独占状態に。EC業界では誰もAmazonに逆らえない、という状態になるのです。

独占に関しては、法律や国の政策にもよりますので、先にも述べたとおりこれをWeb2.0の問題点とするかどうかは議論の余地があります。しかし、Web2.0的思考である「企業も信頼を無くしたくないから、悪用しないし、管理も適切に行うでしょ?別にそこに問題はないのでは?」が、このような結果を生み出す一つの要因となっていることは間違いないでしょう。

この思考に疑問を投げかけるのがWeb3.0なのです。

Web3.0では「企業も信頼を無くしたくないから、悪用しないし、管理も適切に行うでしょ?別にそこに問題はないのでは?」というWeb2.0的思考を良しとしない所から始まります。Web3.0では、「無条件に企業(国)を信頼してはいけないのでは?」という問いから思考が始まります。

これが、第1回で紹介したWeb3.0の定義をしたギャビン・ウッド氏が

「As we move into the future, we find increasing need for a zero-trust interaction system.」

訳:未来に向かうにつれて、ゼロ・トラスト・インタラクション・システムの必要性が高まっていることがわかります。

のゼロ・トラスト・インタラクション・システムの元となる考え方です。さらに、詳しくはまた別の場所で紹介しますが、Web3.0の起源となったビットコインシステムの「中央管理者不在の決済ネットワーク」という特性から広まった考え方でもあります。

Web2.0では、国や企業を信頼するところから始まります。しかし、Web3.0は国や企業を信頼しないところから始まるのです。

ただし、「一切信頼しない方が世界は平和だよ」と筆者は言いたいわけではありません。あくまでもWeb2.0とWeb3.0の思考の違いの根本はここにある、という話です。これを理解することで、Web3.0をより深く理解することができるのです。

 

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Web3.0をとにかくわかりやすく簡単に(3)〜重要な6つのキーワード〜

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