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イーサリアムのスケーリング問題を解決すると言われる「レイヤー2(セカンド)」。そのレイヤー2の中に非常に注目されるモデル「ZKロールアップ(ZK Rollups)」があります。
ZK ロールアップとは何か?そして、実用化が進むとどのようなことが待っているのかなどについて、初心者の方にもわかりやすく解説をしていきます。
目次
ZKロールアップ(ZK Rollups)とは
ZKロールアップ(ZK Rollups)とは「ゼロ知識証明」を利用した、イーサリアムのレイヤー2で使用される技術、またはそのモデルです。レイヤー2プロジェクトである「dYdX」や「zkSync」などで実装されています。他にもZKロールアップを実装しているプロジェクトはいくつかあります。
ZKロールアップを実装するレイヤー2プロジェクトは、イーサリアムと繋がることで、イーサリアム上で作成されたアプリケーションのデータ処理速度を向上させるなどが可能になります。
ZKロールアップについての、技術的な話は後ほど初心者の方にもわかりやすく解説をします。初心者の方は、技術的なことを理解する前に、まずZKロールアップを実装するプロジェクトについての概要を理解するといいでしょう。
ZKロールアップ関連プロジェクト
ZKロールアップは、先ほども述べたようにいくつかのイーサリアムレイヤー2プロジェクトで実装されています。主なプロジェクト(プロダクト)は以下のようなものがあります。
・dYdX(分散型取引所)https://dydx.exchange/
・zkSync(ウォレット)https://zksync.io/
・Loopring(分散型取引所/ウォレット)https://loopring.org/#/
これらはイーサリアムと連携しているアプリケーションです。どれもレイヤー2の技術を利用しているため、イーサリアムブロックチェーン(レイヤー1)を利用しているアプリケーションよりも処理が早く、手数料(ガス)が安いという特徴があります。
また、ZKロールアップの関連プロジェクトとは言っても、それぞれが独自にプロダクトを開発しているため、ZKロールアップ以外の部分では技術的な違いがあります。
ZKロールアップの現状
ZKロールアップは、現在イーサリアムコミュニティでも活発に開発が行われている分野です。いくつか課題はあるものの、非常に将来を有望視されています。
先ほども述べた「dYdX」というZKロールアップを利用している、レイヤー2プロジェクト(DEX)には、すでに多くの利用者がいます。
dYdXによれば、2022年1月の執筆時点では直近24時間で10億ドル(1100億円)以上の取引高、13万以上の取引が行われているとしています。
ただ、ZKロールアップにも問題点があります。それはまず、テクノロジーとして複雑な作りになっていることが挙げられます。他のレイヤー2モデル、特にZKロールアップと同様のロールアップ系である「オプティミスティック(Optimistic rollups)」に比べて、複雑なテクノロジーを利用しているのです。
そして、レイヤー2部分での処理計算にコストが比較的かかってしまう、ということも問題点です。そのため、レイヤー2技術としては非常に注目されているとは言え、現状ではまだまだ発展の余地がある技術と言えるでしょう。
ZKロールアップ関連のトークン
ZKロールアップは、レイヤー2の技術なのでそれ自体が仮想通貨(トークン)を発行している、というものではありません。ZKロールアップに関連した仮想通貨と言えば、ZKロールアップを実装するプロジェクトが発行する仮想通貨がそれに該当します。
現在、主要なZKロールアップ採用のレイヤー2プロジェクトで独自の仮想通貨(独自トークン)を発行しているのは以下のプロジェクトなどがあります。
※()内はティッカーシンボル(トークン名)
・dydX(DYDX)
・Loopring(LRC)
・ZKSwap(ZKS)
ZKロールアップを実装するレイヤー2プロジェクトの中でも、有名な「zkSync」は、2022年1月執筆時点では独自トークンを発行していません。
ZKロールアップの仕組み
ここからは、なるべく初心者の方にもわかりやすくZKロールアップの仕組みについて解説をしていきます。
ロールアップ系
ZKロールアップは、レイヤー2で使われる「ロールアップ(Rollups)」と呼ばれるコア技術の流れを汲んで誕生しています。
そもそも、レイヤー2とは、「レイヤー1」であるブロックチェーン以外の部分でデータ処理をする際に使用されるチェーン、またはその技術のことを言います。レイヤー2は、ブロックチェーンで生じるスケーラビリティ問題を解決するために開発が進められています。
スケーラビリティ問題とは、簡単に言えば多くのデータをパブリックなブロックチェーンは処理しきれない(処理スピードが遅い)という問題です。
スケーラビリティ問題とは?仮想通貨の課題と解決する技術について初心者にもわかりやすく解説!
しかし、イーサリアムで使用されているブロックチェーンとレイヤー2を合わせて利用することで、膨大な量のデータ処理を行うことや、よりスピード感のあるデータ処理を行うことができるとされています。
そして、ロールアップはレイヤー2において、使用されている技術(コア技術)の中の一つで、そのコア技術を利用して開発されているのがZKロールアップなのです。
〜ロールアップについて詳しくはこちら〜
ロールアップ(Rollups)とは?イーサリアムを躍進させる技術の仕組みについて初心者にもわかりやすく解説!
ゼロ知識証明
ZKロールアップにおいて、非常に重要なキーとなるのが「ゼロ知識証明」と呼ばれる手法です。そもそもZKロールアップのZKは、「Zero-Knowledge」(=ゼロ知識)の頭文字から来ています。
ゼロ知識証明とは、暗号学の分野における手法の一つで、「A」を自分が持っていることを証明したい時、「A」を相手に明かさずに、自分が「A」を持っていることを証明できる手法です。
例えばゼロ知識証明を使えば、あるもののパスワードを自分が知っている時に、そのパスワード自体を相手に明かさずにパスワードを自分が知っていることを証明することができます。
ゼロ知識証明を簡単に理解する例としては、よく洞窟の例が利用されます。ある人(Aさん)が洞窟内にある扉のパスワードを知っていることを、Bさんに証明しようとします。
Aさんは洞窟の1か2から入り(入るところはBさんは見ていない)、入ったところでBさんに来てもらい、洞窟の中に向かって叫んでもらいます。Bさんは「1or2から出てきてくれ」と叫びます。この時、何度試してもAさんがBさんの言った通りの出入り口から出てきた場合、Aさんは洞窟内の扉のパスワードを知っていると言えます。
1から入って2から出る、2から入って1から出る、の時は鍵が必要になります。(1から入って1から出る、2から入って2から出る、は鍵が不要)そのため、Aさんが入った方と逆の出口をBさんが指定する確率は一定(1/2)にも関わらず、毎回指定の入り口から出てくる、となればBさんはAさんが鍵を持っていると信じて問題ない、(Aさんは鍵を持っていることを証明できた)と言えるからです。
これがゼロ知識証明の一例で、ZKロールアップではこの手法を使って、レイヤー2で行われた処理(計算)が正しいことを証明します。
ZKロールアップを含む、ロールアップから派生しているレイヤー2技術では、すべての処理や証明をレイヤー2で行うのではなく、簡単に言えば一定の計算や処理をレイヤー2部分で行い、その結果をレイヤー1であるブロックチェーンに残すことで処理能力の向上を目指します。
そのため、レイヤー2部分で正しい処理が行われていることをどう証明するかが、ロールアップ系の技術では問題となります。ZKロールアップでは、それをゼロ知識証明によってクリアすることを目指します。
ZKロールアップでは、レイヤー1に残すデータについて、レイヤー2で行なった計算が正しいことをゼロ知識証明で証明します。レイヤー2での計算が正しいということを、その計算をすべて公開することなくレイヤー1で証明できるため検証作業や、残すデータが限定的になり、処理がスムーズになります。
ゼロ知識証明を使うことにより、レイヤー2からレイヤー1に残されたデータを検証する必要がなくなるため、検証に要する時間は短くなるとされています。
実際には、レイヤー2で計算されたデータが確定するためには、次の計算データがたまるまで時間を要するため、そこまで早い確定が行われている訳ではないですが、これはそのプロダクトの利用者が増えれば増えるほど早くなり、解決していくと思われます。
ZK ロールアップとオプティミスティック ロールアップ
ZK ロールアップに対し、注目されるレイヤー2のモデルとして「オプティミスティック ロールアップ(Optimistic Rollups)」と呼ばれるものがあります。オプティミスティック ロールアップも、ZK ロールアップと同様にRollupsのコア技術から派生したもので、イーサリアムの手数料を下げ、処理速度を加速させます。
今後のイーサリアムレイヤー2について、学んでいきたい方は、オプティミスティック ロールアップについても調べてみるといいでしょう。
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