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緊迫するウクライナ問題。ロシアのウクライナ侵攻が世界中で注目される中、金融市場もそれに左右されています。日本ではあまり「戦争」「侵攻」といった言葉は馴染みがないですが、ウクライナ問題が悪化することで日経平均が下落するなど、日本の金融市場にも影響が出てしまうことが明確になっています。
一方で世界共通通貨とも言われる仮想通貨(暗号資産)は、ウクライナ問題のような有事にはどのような動きを見せるのでしょうか?
今回は、ウクライナ問題で仮想通貨はどうなるのか、そして地政学リスクと仮想通貨の関係性について初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
ウクライナ問題(侵攻)とは
まずはウクライナ問題・ウクライナ侵攻について簡単に理解をしておきましょう。
ウクライナ問題(ウクライナ危機・ウクライナ侵攻)は、ウクライナにロシアが侵攻(攻撃)しようとしている一連の軍事危機のことを指します。ウクライナはロシアの隣に位置する国で、元々はソビエト連邦の一員でした。
2014年からロシアはウクライナへ侵攻を続けており、2014年にはウクライナの「クリミア半島」(上の画像内の一番下にある出っ張った半島)をロシアは併合(ロシアのものとしてしまうこと)しています。それ以来、ずっと両国の緊迫感は続いてきました。
ウクライナは、独立国家であるものの、ロシアという国家に常に「頭があがらない」とも言える状態が続いてきたため、EU(欧州連合)やNATO(北大西洋条約機構)といった、欧米グループに入りたいとの意向を常々見せてきました。
今回はウクライナがNATOへ加盟するのを阻止する目的で、ロシアはウクライナ侵攻を行うのでは、という見方がなされています。
ちなみにNATO(北大西洋条約機構)は、アメリカやヨーロッパを中心とした政治的・軍事的同盟です。ウクライナが欧米グループに入ってしまうのを、ロシアは必死に止めようとしているのです。
市場がウクライナ問題に反応
ウクライナ問題が世界的に警戒されるようになってきたのは、2021年12月ごろです。ちょうどその頃から、株式市場は乱高下をするようになります。
ちなみに、米国のCPI(消費者物価指数)と呼ばれるインフレ率の指数も2021年1月発表分(12月分)から7%という高値になっており、利上げも懸念されるようになったため、必ずしもウクライナ問題だけが要因で上下しているわけではないことには注意が必要です。
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2022年2月13日から15日にかけては、ウクライナ侵攻が目前と報道され、株式市場は下落しました。(日経平均は-2%)
このように、ウクライナ問題に対し、株式市場をはじめとした金融市場が少なからず反応していることがわかります。さて、本題となる仮想通貨(暗号資産)はどうなのか、解説していきます。
仮想通貨もウクライナ問題には影響か
仮想通貨も、ウクライナ問題の影響を少なからず受けている金融資産となっています。仮想通貨は2021年11月につけた最高値の後、下落に転じました。そのため、ウクライナ問題が顕在化する前には下落しており、ウクライナ問題に影響を強く受けた結果の下落かどうかはわかりません。
しかし、2021年11月の下落以降、ウクライナ問題の緊迫化が報道され、株式市場が下落を見せる度に仮想通貨市場も全体的に下落を見せている状況から、仮想通貨もウクライナ問題の影響を受けていると言わざるを得ません。
仮想通貨は世界共通通貨ではない?
このように、最近は「株式市場と連動してしまっている」とも言える仮想通貨ですが、値動きだけを見れば「仮想通貨は世界共通通貨として機能していない」と言われてしまっても仕方がないと言えるでしょう。
世界共通で利用される「通貨」であれば、情勢には関係なく人々の必需品としてここまで大きく株式市場などの金融市場に連動はしないでしょう。
まだ、仮想通貨を決済などの買い物で利用するユーザーはほとんどいません。基本的には投資家や投機家が、値上がり益を求めて売買をする金融商品となっています。そのため、利上がりや、地政学リスク(地理的な政治リスク)などによって、金融市場の暴落が恐れられると一斉に売りに出されてしまい、仮想通貨の価格は乱高下してしまう、というのが実情です。
そのため、仮想通貨が今後世界的にどのような立ち位置になっていくかはわからないものの、今のところでは単なる投機対象としてしか見られておらず、ビットコインが「金(ゴールド)」のような存在になるのはまだ先であると言えるでしょう。(ビットコインは「デジタルゴールド」と呼ばれています)
仮想通貨を通貨として認めるロシア
そんな中で、ロシアは仮想通貨を通貨として認める方向で法律を作成しているという報道も出ています。
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これは、経済制裁に対する一つの防御策である、との見方もされています。というのも、ウクライナ侵攻などで欧米によるロシアへの経済制裁が加えられた場合、ロシアの経済や金融がマヒする可能性があります。しかし、「仮想通貨を通貨として経済活動に使える」というロシアの態度は、欧米に対し「経済制裁にも対応できる策がある」との意思表明にも取れるためです。
仮想通貨は世界的に同じ価格で利用することができ、さらにインターネット上の送金が可能、そして検閲耐性がある(権限を持つものに止められたりしない)ため、確かに他国の圧力から逃れる方法の一つとしては有効な側面を持っています。
そんな状況もあってか、ビットコインに次ぐ時価総額を誇るイーサリアムの創設者であるビタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏はロシアへTwitterで侵攻をしないようメッセージを送っています。
Нападение на Украину может только навредить России, Украине и человечеству.
Вернется ли ситуация на мирный путь или будет война, сейчас может решить не Зеленский, не нато, а @KremlinRussia
Надеюсь что выберут мудро.
— vitalik.eth (@VitalikButerin) February 11, 2022
検閲耐性があることなどを、軍事利用されることは仮想通貨にとってはあまり良いこととは言えません。ウクライナ問題が長引き、仮想通貨が政治的・軍事的に利用されるとなれば仮想通貨に対する疑念が多くの人の中で生じる可能性があります。
そうなればビットコインという決済利用の仮想通貨のみならず、さらに多くのことを成し遂げようとしているイーサリアムなどの仮想通貨にも少なからず影響が出てきてしまうでしょう。
仮想通貨が革新的な技術から誕生したものであっても、利用するのはあくまで人間、ということを思い出させてくれるウクライナ問題。
今後、このような事態を受けて、世界的に仮想通貨がどのような流れで取り入れられていくのか、そしてどのようなルールが整備されていくのか、Web3.0や暗号資産にビジネスとして、投資として関わる方は注目すると良い出来事だと言えるでしょう。
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