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2022年5月、ステーブルコインの一種であるUSTの暴落により、「価格が安定している」とされてきたステーブルコインの価格維持の機能に対して疑惑の目が向けられました。
これを受けてUSDTの価格も、極めて一時的でしたが下振れしました。
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しかし、これら一連の出来事からステーブルコインの価格維持機能について一切信用ができないと判断するのは早計です。
ステーブルコインにも様々な種類があり、またコインを発行している企業にもそれぞれ独自の特徴があります。
本ページでは、複数あるステーブルコインの価値担保の仕組みの中でも、比較的珍しい「暗号資産担保型」によって成り立っているDAI(ダイ)について解説します。
ステーブルコイン自体は、今後のWeb3業界の発展において欠かせない存在です。
特に、暗号資産(仮想通貨)を担保にイーサリアムのスマートコントラクトで価格を保つ仕組みを構築しているDAIは、技術的にも今後より注目されるでしょう。
ぜひDAIに関する基本的な知識を学び、ご自身の暗号資産投資や事業に活かしていただければ幸いです。
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目次
DAIとは
名称 | DAI |
ティッカーシンボル | DAI |
発行体 | MakerDAO |
発行上限 | 6,642,283,546DAI |
時価総額 | 約8,445億円(第15位) |
公式サイト | https://makerdao.com/en/ |
※2022.5.30時点
DAI(ダイ)は、アメリカドルに価格固定されたステーブルコインです。アメリカドルと同様の値動きを目指して発行されています。
最大の特徴として、DAIは「MakerDAO(メイカーダオ)」というDeFiプロジェクトによって発行・管理がされている点が挙げられます。
また、イーサリアムのERC-20という規格のトークンとして発行されています。つまり、イーサリアム上でDAIは発行されているため、イーサリアムに対応したアプリやサービスでのユースケースも期待されています。
2022年5月末現在、DAIを取り扱っている日本の取引所は多くありません。CoinBestとGMOコインの2社が扱っており、いずれも上場したのは2022年と比較的最近のことです。
なお、DAIに関連した仮想通貨としてMKR(メイカー)があります。これはDAIを発行する、Maker Protocolのガバナンストークンとして発行されています。MKRについて詳しくは以下をご覧ください。
メイカー(MKR)とは?DAI(ダイ)との関係や、ステーブルコインの仕組みについて初心者にもわかりやすく解説!
ステーブルコインの基礎知識
DAIの解説の前に、まずステーブルコインについて解説します。
ステーブルコインは、ある特定の資産に対し、安定した価格を維持できるように設計された暗号資産です。
暗号資産は基本的に価格変動が激しいという特徴があり、これはビットコインやイーサリアム等の主要銘柄も例外ではありません。
暗号資産が持つデジタル資産としてのメリットは残しつつ、価格変動が激しい点などを改善した通貨としてステーブルコインは誕生しました。
その多くは、日本円やドルといった法定通貨と価格が連動するように設計されています。今回紹介するDAIも、1DAIの価値が1米ドルとなるように作られています。
米ドル自体も価格変動は生じますが、一般的な暗号資産に比べれば値動きの幅は小さいため、その米ドルに連動した値動きをするDAIも「ステーブル(=比較的値動きが小さく価格が安定した)コイン」とされています。
〜ステーブルコイン一覧〜通貨名(連動) | 発行体 | 通貨詳細 |
USDT(米ドル) | テザー社 | 詳細 |
USDC(米ドル) | Circle社/Coinbase社 | |
DAI(米ドル) | MakerDAO | 詳細 |
JPYC(日本円) | JPYC社 | |
ジパングコイン|ZPG(ゴールド) | 三井物産社 | 詳細 |
DAIの特徴
それでは、DAIが持つ特徴をより具体的に見ていきましょう。
暗号資産担保型のステーブルコイン
ステーブルコインは、その価値を担保する方法により、大きく4種類に分けられます。
- 法定通貨担保型
- 暗号資産担保型
- コモディティ担保型
- 無担保型
法定通貨担保型は、ドルや円などの法定通貨を裏付け資産に持つことで価値が担保される通貨です。USDCやUSDTなど、代表的なステーブルコインは法定通貨担保型であることが多くなっています。
コモディティ担保型は原油や金などの商品を担保にしています。無担保型は、先日価格が暴落したUSTのように、担保となる資産を持ちません。代わりにアルゴリズムによって価格を維持しています。コモディティ担保型、無担保型ともに、法定通貨担保型に比べれば種類は多くありません。
そして、同じくあまり例が見られないのが暗号資産担保型のステーブルコインです。そして、DAIはこれに該当します。
また、DAIは複数担保の通貨でもあります。
当初、DAIはイーサリアムのみを担保とする単一担保でしたが、2019年11月からBAT(ベーシック・アテンション・トークン)を担保に追加できるようになりました。
これによりイーサリアムへの依存度を下げ、仮にイーサリアムが暴落した場合、DAIも連動して価格を下げてしまうリスクを低減しています。
発行・価格調整がスマートコントラクトで自動化されている
通常、ステーブルコインには発行主体が存在します。発行主体とは、担保資産を管理し、価格を調節している組織です。しかしDAIには、単一の発行・管理主体が存在しません。そのため、DAIは「分散型」または「非中央集権型」のステーブルコインであるとも言われています。
DAIの発行・管理は、分散型アプリケーション「Makerプロトコル」によってコントロールされています。
DAIの新規発行はMakerプロトコル内にあるスマートコントラクト「Maker Vault」を通して行われます。具体的には、Makerプロトコルにアクセスし、プロトコルにより承認されたイーサリアムベースの資産(ETH、BATなど)を担保としてロックすることでDAIの発行が可能になります。
過剰担保
DAIのような暗号資産担保型ステーブルコインの多くは、過剰担保によって価値が裏付けられています。
過剰担保とは、借入の際に借入額以上の担保資産を預け入れることを指します。つまり1DAIを発行するには、1DAI以上の価値がある資産を担保として預けなければいけません。
例えば、ETHを担保にDAIを発行する場合、145%の最低担保率が設定されています。これは、1DAI(=1ドル相当)を発行するには1.45ドル以上の価値を持つETHが担保として必要であることを意味しています。
ロスカット(強制清算)
過剰担保とあわせて知っておくべき概念が、ロスカットです。
上記の通り、DAIを発行するには発行額以上の担保資産を預け入れる必要があります。しかし、担保資産の市場価格が下がった場合、発行できるDAIの上限額も下がります。
例えば、100DAIを発行するために145ドル相当のETHを担保として預け入れているケースを想定します。ここで仮に、ETHの市場価値が100ドルまで下がった場合、引き続き100DAIを発行を維持するには45ドル分のETHを追加で預け入れ、145ドル相当の担保を預け入れておく必要があります。
しかし、追加の預け入れを行わなかった場合、自動的にロスカットが執行され、担保が没収されてしまいます。
ロスカットが生じた場合、発行者には清算手数料というペナルティも生じるため、基本的には追加担保を預け入れることが推奨されます。
このように、過剰担保とロスカットという仕組みを用いることで、常に一定以上の裏付け資産が確保され、1DAIが1ドル以上の価値を持つように価格調整がなされています。
価格を維持できなくなるリスクは?
法定通貨担保型のステーブルコインに比べると、暗号資産担保型のDAIは、1ドル相当の価値を維持できなくなるリスクはやや高めであると言えます。
市場における担保資産の価格の急変や、イーサリアムネットワークの混雑によって価格調整機能がうまく働かなくなることがあり、これは暗号資産担保型に特有のリスクだと言えるでしょう。
しかし、新たな担保資産の追加や清算時の仕組みの改善により、こうした懸念は以前よりも弱まっています。
まとめ
暗号資産担保型のステーブルコインであるがゆえに、DAIは他のステーブルコインにはない強みを持っています。
安定した価格維持はもちろんのこと、スマートコントラクトで発行される仕様ゆえに、DeFi周辺で活用できる機会は他のステーブルコインに比べても多いでしょう。
一歩踏み込んだ暗号資産投資をしてみたい方は、ぜひDAIについて学びを深めてみるとよいかもしれません。
TOP画像:https://makerdao.com/en/
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