ビットコイン上昇。なぜパウエル議長発言で市場が安堵したか

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日本時間2月8日に行われたFRBのパウエル議長インタビューを受け、多くの市場が上昇、ドル円は円高方向へ振れました。強い労働市場と、金利動向に注目が集まる中、FRBの動向で市場が反応しています。今回は、現在の市況とパウエル氏の発言について、初心者の方にもわかりやすく解説します。

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パウエル議長の発言で市場が反応

ワシントンで行われたインタビューで、FRBのパウエル議長が現在の経済状況と今後の金融政策について発言しました。

主な内容は、利上げの継続と強い労働市場についてでしたが、発言を市場は好感しました。米株市場・コモディティ市場・仮想通貨(暗号資産)市場は軒並み上昇し、ドル円は円安へ振れました。

今までパウエル氏が発表してきたものと特に大きな変わりはありませんでしたが、その変わりがない発言に市場が安堵したものと思われます。先週末の雇用統計では、大きなサプライズを市場へ与えました。失業率が低下し、新規雇用者数が大幅に上昇したことで、金利上昇懸念が広がったのです。

雇用統計はサプライズ。ビットコインは下落で次のCPIは要注目

パウエル氏の変わらない発言が安堵をもたらすほど、市場には今強い労働市場に対する懸念(期待)が広がっていることが今回の反応でよくわかりました。

 

強い労働市場について

ここまで市場を揺らしている「強い労働市場」とは、一体何者なのか、今回は少し詳しく解説していきます。

まず、前提として、アメリカは現在インフレ率が低下してきているものの、2022年から発生したインフレが懸念材料として残っています。特に、サービス業のインフレ率が下落をいまだに見せていないため、インフレ率の低下を抑止してしまうのではないかとの懸念が広がっています。

サービス業のCPIチャート(https://fred.stlouisfed.org/series/CUSR0000SASLE#)

2022年の3月から始まった政策金利上昇ですが、間も無く一年経つ今でもサービス業のインフレ率を低下させることができていません。しかし、これは一概に悪いこととも言えません。

なぜなら、インフレ率が低下しないということは労働市場にしっかりと需要がある、ということになります。需要がたくさんあるということは、働き手も安い賃金で働く必要はなく、しっかりとした給料をもらえる場所で働くことができます。

反対に、需要がたくさんある、ということは企業側も働き手を欲しているということです。働き手を欲しているというのは、しっかりと売上があり、さらに売上を伸ばすために働き手を募集しているということでもあります。つまり、しっかりとした給料を出してでも働き手を確保したいor確保する必要がある、という構図になります。

そうなれば、サービス業の中核をなす人件費(=賃金)は下がることがなくなり、サービス業のインフレ率も高くなります。

失業率が下がること、そして雇用者数が増えることは、強い労働市場=需要がたくさんある市場=インフレ率は低下しない、ということを示しています。働き口がたくさんあるのは労働者にとっては非常に良いことなので、FRBとしては満足です。しかし、インフレ率が上昇してしまうのは国民にとっては良くないことなので、FRBは難しい局面に立たされているのです。

そして、その難しい局面でどのような立ち振る舞いをするのか、市場は注目しているため、パウエル議長の発言で大きく反応することとなるのです。

 

金利低下圧力とはならなかった

このような背景がある中での発言で、市場は盛り上がりましたが、今のところ先週末の雇用統計からの流れを変えるほどのパワーはなかったのではないかと考えます。

多くの市場で盛り上がりを見せたのは、パウエル氏が雇用統計を受けて来月予定されているFOMCで25bpsの利上げから、50bpsの利上げを見せてくる可能性があった中で、それが無いと思わせられ安堵したことからだと考えられます。

しかし、アメリカ短期金利である2年物国債の金利は発言を受けて一時は低下したものの、結局は同じ水準まで現在は戻しています。

アメリカ国債2年物金利チャート(https://jp.tradingview.com/chart/XPSdKPJL/?symbol=TVC%3AUS02Y)

債権市場は今回の発言にあまり影響を受けていない、ということです。つまり、このまま強い労働市場が続き、インフレ率の低下率が和らいでくるようであれば、金利上昇の可能性もあり得る、ということを示していると考えられます。

パウエル氏の発言も短期では重要となりますが、やはり3月のFOMCまでは2回のCPIと1回の雇用統計が重要となってきます。その結果でその後の金利がどうなっていくのか、占うことができるでしょう。

※当記事は市場を分析した結果を示しています。投資を勧めるものではありません。

 

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